開議午後1時00分
○議長(鈴木喜明)これより、本日の会議を開きます。
本日の会議録署名議員に、中村吉宏議員、中村誠吾議員を御指名いたします。
日程第1「議案第1号ないし議案第38号及び報告第1号」を一括議題といたします。
質疑及び一般質問を一括し、これより会派代表質問を行います。
それでは、通告がありますので、順次、発言を許します。
(「議長、15番」と呼ぶ者あり)
○議長(鈴木喜明)15番、濱本進議員。
(15番濱本進議員登壇)(拍手)
○15番(濱本進議員)今定例会は、平成27年4月に市民から負託をいただいた我々議員にとって任期最後の定例会であります。また、平成の時代の最後の定例会であると同時に、新しい元号、そして迫市長による行政経営が実質的にスタートする節目の定例会でもあります。自由民主党を代表して、この任期の最後となる定例会において質問をいたします。
冒頭に一言申し上げます。今期をもって勇退される我が会派の横田前議長、公明党の斉藤前副議長を初め各議員の皆様には、長年にわたって市政の発展、市民の安全・安心のために、ひたむきに、真摯に、そして情熱を持って日々の議員活動、議会活動に取り組んでおられたことに心より敬意を表しますとともに、市民の1人として深く感謝を申し上げます。
特に平成27年4月の統一地方選挙後の5月から平成30年7月25日までの前市長の在職中の混乱した、そして困難な状況の中、言いかえるならば不幸ともいえる3年3カ月の間、小樽市自治基本条例に規定されている議会の権能を、議会を構成する議員として、また市民の負託を受けた議員として、矜持を持って責務を全うされてきた姿を間近で見たことは、私のこれからの人生にとって大きな財産であります。
本年4月の選挙後、議会を構成する新人議員を初め全ての議員が、勇退される皆様の姿、思いを継承すべき責務があると改めて実感しています。御勇退される議員の皆様におかれましては、健康に十分御留意されて、今後もそれぞれのお立場で、これまでの御経験、御見識を生かされて、小樽市の発展に、そして市民の皆様のために御尽力いただき、御活躍されることを御期待申し上げます。
それでは、第1項目め、都市経営、行政経営に関して質問いたします。
昨年8月に迫市長が市民の皆様の負託を受けその職に就任してから、平成30年第3回定例会及び第4回定例会が開催されました。前市長が就任してからの平成27年第2回定例会から辞任する直前の平成30年第2回定例会までの議会とは打って変わって、市長としての資質を疑うような行動や発言に起因した市政の混乱、混迷のきわみともいえる議会の空転や会期の延長もなく、落ちついて本来の議会の姿である市民のための政策議論を行うことができました。
このことは間違いなく、市長が市民に、そして議会に対して誠実に、謙虚に、かつ真摯に向き合っているからであり、同時に、市長としての資質、見識、能力が備わっているからこその結果であると言えます。そして、誰もがこの認識に対して異論を唱える余地などみじんもないと断言しても決して過言ではありません。改めて、前市長在任中の3年3カ月が小樽にとってどのような時間だったのか自問自答しております。
私は、市政が混乱し、停滞し、そして後退した3年3カ月の不毛な時間であったと認識しています。市長も同様の認識であるからこそ、「おたる再起動」を市民の皆様に訴えてこられたと理解しています。市長にはこれからも小樽を確実に再起動するために、議会との信頼関係の密度をより高め、また、広く深く多くの市民と対話しながら、情熱を持って、そして勇気を持って、大胆にかつ着実に職務を遂行していただくことを期待しています。
さて、我が会派、そして私は、平成27年第3回定例会から平成30年第1回定例会までにおいて、都市経営もしくは自治体経営などについて、前市長にその認識と、それぞれについての市長の役割について質問してきました。
そもそもかつては、市政運営、自治体運営、行政運営という語句が一般的に使われてきました。これらの語句は、人口増加を基調とした右肩上がりの経済成長を背景に、そしてそれを前提としていましたが、平成11年の地方分権一括法や平成18年の地方分権改革推進法の成立などにより、地方分権が進展すると同時に、人口減少、少子高齢化などの人口問題の顕在化、自治体財政の悪化などを背景にして、平成16年の地方分権推進会議の最終報告において、地方自治体の行政改革手法として推奨されたこれまでの運営から、自治体は民間企業における発想や経営手法を可能な限り行政分野に活用するNPM、ニュー・パブリック・マネジメント、新公共経営の考え方、PFIなどの手法を取り入れてきた結果、都市経営、自治体経営、地域経営、行政経営などの語句が定着してきたと言えます。
しかしながら、小樽市においては、平成21年度からスタートした第6次小樽市総合計画の基本構想では、市政運営三つの基本姿勢の一つで、効率的な行財政運営の推進は掲げていましたが、明確に都市経営、自治体経営、地域経営、行政経営などについて言及していませんでしたし、当然、NPM、ニュー・パブリック・マネジメントについての記載はありませんでした。
私が知る限りでは、都市経営の語句やNPM的考え方について記載されていたのは、小樽市顧問であった小樽商科大学元学長の山田家正氏、そして当時は企画部企画調整担当主幹であった迫市長を初めとする11名の職員で組織された小樽ジェットプロジェクト研究会が平成14年9月から23回の研究会、28回の自主勉強会の成果として、平成16年3月に公表された報告書「小樽の将来都市像を求めて」においてのみです。
この報告書は、平成10年からスタートした第5次総合計画の6年目に公表され、報告書の第5章第1節では、第5次総合計画の将来都市像、「未来と歴史が調和した安心、快適、躍動のまち」の実現に向けた市政の各分野を等質のものとして網羅している総合的な計画であると定義しています。
研究会ではSWOT分析の手法を用いて、内部環境である小樽市の資源と特質、外部環境としての社会的トレンドを分析して、長期持続的な活力の維持を目的として、都市経営の視点から導いた将来都市像「はぐくみ交流都市・おたる」を提唱して選択と集中を主張している点が総合計画と本質的な相違であると述べ、都市経営について言及しています。
そして第2節では、行政がさまざまな課題、問題を解決するために、民間の経営手法を取り込んでいく姿勢が求められると述べ、市民の役割として、行政サービスに対する応分の受益者負担に対する理解も必要であると述べています。また、行政、市民、企業がまちづくりに対して、自己決定、自己責任に基づく当事者意識を高めるとともに、それぞれがよりよいパートナーシップを発揮することが求められていると述べています。これはまさにNPM、ニュー・パブリック・マネジメントの考え方であると同時に、現在の自治基本条例の考え方であるとも言えます。
私は、この報告書が公表されてから15年過ぎた現在においても、その内容、考え方は決して色あせていないと断言できますし、非常に先進的であったと捉えています。しかし、残念ながら、当時は余りにもその分析手法や内容が先進的であったがゆえに、十分に生かされなかったのではないかと思います。
市長はこの報告書の作成に携わった1人として、そして現在市長としては、その内容、考え方にどのような所感をお持ちなのか、また、市長としてこれからのまちづくりに生かしていく点があると考えているのかお聞かせください。
一般的に民間企業などの経営体においては、その活動は、基本となる価値観や信条、目指すべき理想などを表現した経営理念、次に経営理念の考えを実現するための具体的方策である経営方針、次に経営方針の具体的、客観的な指標である経営目標、そして次に経営目標を実現するための人員やコスト計算などの詳細な分析をもとにした経営戦略、そして最後は、組織を構成する全員が持つべき経営理念に基づいた行動を促す原則である行動指針によって階層的な構造で成り立っています。
このような経営の概念を踏まえて、小樽ジェットプロジェクト研究会の報告書が公表される前年の平成15年2月に既に宇都宮市では行政経営指針を策定して、行政経営とは、行政の究極の目的である市民満足の向上を図るために、すぐれた企業の経営理念、手法を積極的に取り入れながら、市民の視点に立って、みずからの判断と責任で行政活動を展開していくと定義しています。
この定義をもとに、「私たち職員は、市民との協働を通じ、限りある経営資源で、最大の効果をあげる行政サービスを提供し、市民満足の向上を目指します。」と経営理念を定め、「市民満足の向上」を図るために、「分かりやすい行政経営」「市民と共に歩む行政経営」「市民の期待に応える行政経営」「すばやい行政経営」「ムダのない行政経営」の五つの行政経営像を定めています。そして、この五つの行政経営像を実現するために、「市民との協働の推進」「成果重視の行政経営」を二つの取り組みの方向性として位置づけ、それぞれ三つの改革の柱を挙げて行政経営指針を策定しています。
また、平成18年5月に下田市では下田市行政経営指針を策定し、当然ながら、基本理念、行財政改革の進め方、行財政改革の具体的取り組みなどを述べるとともに、特筆すべきは、総合計画との関連、人材育成基本方針、定員適正化計画などの他の行政上の計画との関連についても述べています。
また、神奈川県綾瀬市では、平成18年3月に策定した経営戦略プランの前文において、社会経済状況や地方自治体を取り巻く環境が著しく変化しており、これまでの行政運営から、成果主義、顧客志向、競争原理の導入などの民間の経営手法を取り入れ、限られた経営資源の中で戦略を定め、自律した行政を行う、つまり行政経営へ移行することが必要と記載されています。
つまり、平成10年代の中ごろから、行政運営から行政経営へのパラダイムシフトがなされたと言えます。その後も、特に平成20年のリーマンショック以降、人口減少、少子高齢化、市税収入などの歳入の減少、扶助費を初めとする義務的経費など歳出の増加、さらには老朽化した公共施設の更新などの将来負担に対応するために、さまざまな自治体が持続可能な、そして自律する都市経営、自治体経営、行政経営の実現を目指して大綱、指針などを策定しています。
例えば平成25年6月に相模原市では、さがみはら都市経営指針を策定し、この中で新・相模原市総合計画との関係について、基本構想に定める都市像と基本目標の実現に向けた三つの基本方針を受け、都市経営指針及び実行計画を策定して、総合計画を着実に推進するための下支えをすると述べています。
しかし、残念ながら小樽市においては、平成20年代の第6次総合計画の期間中に、都市経営、行政経営などに関する指針などは策定されてきませんでした。私は、中松元市長の時代に他の自治体のような指針を策定しておくべきだったと今は認識していますし、同時に、議員として、指針の策定の必要性について、その期間に議会において明確に言及してこなかったことを悔やんでいます。
市長は、中松元市長時代に、市職員として、都市経営、行政経営などに関する指針の策定が小樽市にとって必要だったとお考えでしたでしょうか。また、現在はどのような見解をお持ちですか、お聞かせください。
我が会派は、平成27年9月の第3回定例会の代表質問において、自治体経営の新たなモデルの構築に際してはNPM、ニュー・パブリック・マネジメント、マーケティング戦略、経営戦略などを導入して、限られた経営資源を有効活用し、最適化を意識しながら投入、配分して、多様な行政サービスを市民の幸福、福祉の向上という成果を得るために提供すべきであり、自治体経営が単に効率化を追求する企業化ではなく、行政部門と個人、法人、企業、各種団体などの民間部門、そして民間部門内での強いパートナーシップ、協働を前提とした経営の社会化を目指す必要があると指摘しました。
平成30年10月に策定された岩手県金ケ崎町の自治体経営改革大綱では、自治体経営は行政経営と地域経営から成り立っていることを明確に規定して、それぞれのマネジメントの向かうべき方向、ビジョンを定めています。
また、人口減少、歳入の減少、歳出の増加など縮小時代における自治体経営の目指す姿は、地域の自立と自治体の自立であると述べています。地域の自立とは、地域の資源を十分活用し、地域のあらゆる主体が住民協働に積極的にかかわり、自立した活動を継続的に行っていくような地域づくりに取り組むことにより実現し、自治体の自立とは、行政経営にかかわるさまざまな問題を自治体みずからの役割と責任において解決するとともに、住民と行政との協働を前提に地域経営を進めていくことにより、持続可能な自治体経営が実現すると述べています。このことは、我が会派がこれまで指摘してきた協働の姿そのものであります。
今後策定される第7次小樽市総合計画基本計画をより確実に実現するために、また、相模原市のように総合計画を下支えするために、市長は他の自治体が策定しているような自治体経営、地域経営、行政経営に関しての指針などを策定するお考えはありますか、お聞かせください。
次に、市長をトップとする行政組織の経営についてお聞きします。
さきに述べた宇都宮市の行政経営指針では、成果重視の行政経営において、トップマネジメントの強化、行政サービスの水準の維持・向上、健全な財政基盤の確立などの柱からなる仕組みの改革、市民との協働にふさわしい組織、柔軟で機動的な組織などの柱からなる組織の改革、マネジメント能力の強化、自律行動型職員の育成、能力に応じた職員の配置などの柱からなる人の改革を行うと述べています。他の自治体においても、多少の表現の違いはあってもほぼ同様の記載があります。
市長は昨年、除排雪の充実のために一部組織の再編を行っています。宇都宮市は、成果重視の行政経営のために組織の改革が必要であると述べていますし、小樽市の第5次、第6次、そして第7次の総合計画においても、組織について記載されています。つまり、組織のあり方、見直し、再編は常に必要であり、完成形や終着点はないと言えます。
市長は、NPM、行政経営の観点から今後どのような組織に編成すべきとお考えなのかお聞かせください。
また、組織再編を行うとすれば、どのような工程で行うつもりなのかお聞かせください。
さらに、人の改革の必要性についても宇都宮市は述べています。小樽市においては、個別の計画として小樽市人材育成基本方針が平成19年8月に初めて策定され、平成30年4月に全面改訂されました。私は、平成28年4月18日開催の総務常任委員会において、平成19年8月に策定された小樽市人材育成基本方針について、社会情勢などの外的要因や提供する行政サービスの多様化、財務状況などの内的要因によって求められる職員の資質、能力、また育成の手法などが時代に即していないにもかかわらず、大幅な見直し、改訂もないままに策定から8年余り経過していることを指摘しました。さらに、平成28年6月の第2回定例会一般質問でも改訂の必要性について指摘した結果、平成30年4月に全面改訂されました。
改訂を指摘したもう一つの背景には、前市長が平成26年4月に施行された小樽市自治基本条例第18条を踏みにじり無視するかのように行った平成27年6月、平成28年4月、平成29年4月の全く理解しがたい人事があったからでした。正当な人事の目的の一つは人材の育成であり、もう一つは重要な施策の実現のためであります。
初めに迫市長は、前市長が行った人事について、市役所在職当時どのような所感をお持ちだったのかお聞かせください。
あわせて、平成31年4月の人事異動を行うに当たって、どのような考え方をお持ちなのか、前市長が行った人事と対比してお聞かせください。
この制度によって人事異動や人事評価を含む人事制度が明確になったことは、自治体経営、行政経営にとって大きな前進であったと捉えています。また、人材育成の考え方の中で、職員が必要な能力として行政経営を進めていくためのマネジメント能力、そして、行政の運営を経営と考え、目標を管理し、成果を上げる行政経営能力を規定したことは、大いに評価すべきであります。新年度において実施する職員研修プログラムの中で、特にマネジメント能力、行政経営能力を育成するメニューを考えているのであればお聞かせください。
よく組織は人なりと言われています。また、人材の「材」は材料の「材」ではなく、財産の「財」とも言われています。人によって成り立っている組織の機能を活性化し、強化するためには、組織の根本である人を大事にして育てることは自明の理であるとともに、組織にとって人材の育成は永遠の課題であります。
また、人材の育成の成果は、5年後、10年後、20年後に見えてくるものとも言われています。平成14年からスタートした小樽ジェットプロジェクト研究会に参加した迫市長を初めとする職員の皆様の現在の仕事に向き合っている姿を見るとき、この研究会の一番の成果は、報告書もさることながら、可能性を秘めた大事な人材を育んだことだと実感しています。
市長には、自治基本条例第18条に規定されているように、人材の育成について責任を有しています。この研究会のような事例を踏まえて、長期的な視点で、10年後、20年後を見据えた人材の育成を行っていただきたいと思います。見解をお聞かせください。
以上、第1項目めを終わります。
○議長(鈴木喜明)説明員の答弁を求めます。
(「議長」と呼ぶ者あり)
○議長(鈴木喜明)市長。
(迫俊哉市長登壇)
○市長(迫俊哉)濱本議員の御質問にお答えいたします。
ただいま、都市経営、行政経営に関して御質問がありました。
初めに、小樽ジェットプロジェクト研究会報告書につきましては、報告書の作成に携わった1人としては、まちづくりについて深く、かつ論理的に議論を重ねたことにより市政についての理解が深まり、自身の成長にもつながったと感じております。
今、改めて見直しても、基本的な環境分析に大きな変化はなく、少子高齢化社会の中で本市が活力を維持するための将来都市像などは、今の私の政策と共通する部分も多く、私の考えを形成する経験の一つになっていたのだと再認識したところであります。
また、これからのまちづくりは、限られた資源で最大の効果を生み出すことが不可欠であるため、この報告書にある将来都市像のほか、そこに至るまでのプロセスやフレームワークを用いた分析手法などは、政策形成の場面などで活用できるものと考えております。
次に、都市経営、行政経営に関する指針に対する見解につきましては、中松元市長時代は、人材育成基本方針や中期財政収支見通し、行政評価などの運用により市政の質の向上が図られるものと考えており、行政経営についての指針の策定が必要とまでは思い至っておりませんでした。ただ、現在は市長という立場で、限られた人員や財源で多くの課題に取り組むため、市の組織全体としての課題解決力向上や、市民や経済界の方々と力を合わせてまちづくりを進める必要性を強く感じているところであります。
次に、行政経営に関する指針などの策定につきましては、先ほど申し上げたように、組織の課題解決力向上などの必要性を強く感じていることから、他都市の指針、そして指針に基づく取り組みなどを研究し、本市にとっての必要性、有効性などを見定めた上で指針の策定について判断したいと考えております。
次に、今後の組織編成につきましては、人口減少や厳しい財政状況などの課題を抱える中、時代の変化に対応する組織を築く必要があるものと認識しております。そのためには、行政経営の観点から、限りある職員を人財、「財」は財産の「財」でございますけれども、人財という貴重な組織資源として捉え、最大限に活用するとともに、民間の経営手法を取り入れながら、より質の高い行政サービスを提供することができる効率的な組織をつくり上げるべきであると考えております。
次に、組織再編につきましては、私の任期中に実施したいと考えており、それを見据えた工程については、十分な庁内議論をしてまいりたいと思っております。
次に、前市長が行った人事につきましては、私が市職員在職当時に行われた平成27年度と28年度には、特に管理職の異動で内申に基づかない異動が見受けられたほか、当該ポストに求められる職務経験、在職年数、能力の実証など、客観的な視点が欠けていると感じておりました。
次に、来年度に向けた人事異動につきましては、前市長時代の人事異動においては、先ほど申し上げたとおり客観的な視点が欠けていると感じておりましたので、私としては、原部からの内申に基づき、当該ポストへ配置するに当たっての客観性を考慮しながら、職員が能力を十分に発揮し、組織力の向上が図られるよう努めてまいりたいと考えております。
次に、新年度に実施する職員研修メニューにつきましては、新任係長職や新任課長職などを対象に、マネジメント能力を身につけるための階層別研修を引き続き実施するほか、新たに5年後、10年後に組織の核となる若手・中堅職員の行政運営能力向上を図るため、職員みずからが関心のあるテーマを選び、企画立案して他都市を視察する先進地視察研修を予定しております。
次に、10年後、20年後を見据えた人材の育成につきましては、小樽ジェットプロジェクト研究会のように、若手・中堅職員が所属部署の枠を超えて市の重要課題や関心のある施策などについて調査・研究することは、将来を担う人材の育成にも大きな効果があるものと認識しております。現在取り組んでいる小樽市みらい創造プロジェクトチームも、若手による庁内横断的な政策検討を行っており、先ほど申し上げました先進地視察研修とともに、職員の資質向上、さらには人材育成につなげてまいりたいと考えております。
○議長(鈴木喜明)次に、第2項目めの質問に入ります。
(「議長、15番」と呼ぶ者あり)
○議長(鈴木喜明)15番、濱本進議員。
(15番濱本進議員登壇)
○15番(濱本進議員)次に第2項目め、市政執行方針及び施策に関して質問いたします。
2月20日の第1回定例会の本会議において、市長は提案説明の冒頭で、平成31年度の市政執行の所信と施策の概要についての発言がありました。
初めに、道内の他都市では、旭川市を初め、おおむね第1回定例会において、提案説明とは別にその年度の市政執行方針を述べています。また、一部の市では、その際に予算の概要を述べています。小樽市においては、これまで提案説明の際に市政執行の所信と施策の概要について発言するのが慣例でしたが、第1項目めで述べましたように、経営の観点から見ると、市政執行方針はまさにその事業年度の大事な経営方針であります。議案の提案説明の中に織り込むのではなく、他都市を参考にして独立した形で行うことがより明確に市長の方針を説明できると考えますが、所見をお聞きします。
次に、新年度は「夢あふれる元気な小樽」の実現をテーマに掲げていますが、このテーマを選んだ理由などについてお聞かせください。
市長は、三つの政治姿勢の1点目の「対話の重視」を実現するために、小樽スクラムミーティングを設置するとのことでした。市内の各種団体などとのパートナーシップを広げ深めることは、地域経営を進める運営で有意義な取り組みであると捉えています。この取り組みの具体的な内容についてお聞かせください。
政治姿勢の2点目の「経済と生活の好循環」では、経済の活性化の柱に観光を挙げて、観光都市としての整備の推進と関連産業との連携を深めるとのことですが、限られた経営資源を効率的かつ最適化をベースにして集中と選択が求められている現在、観光都市としての整備の推進及び関連産業との連携の具体的な内容についてお聞かせください。
あわせて、この二つの事柄が平成29年4月に策定された第二次小樽市観光基本計画において、どの位置づけになるのかお聞かせください。
また、第二次小樽市観光基本計画において、新たな観光推進組織として、地域DMOの構築を視野に推進体制の整備を進めるとありますが、新年度においては具体的な取り組みを行うのでしょうか、お聞かせください。
地域経済を支える中小企業の収益改善や雇用環境の改善に取り組むとのことですが、具体的な内容についてお聞かせください。
政治姿勢の3点目の「備え」では、北海道胆振東部地震に伴う大規模停電を踏まえて、非常用電源設備の設置など防災力の強化に重点的に取り組むとのことでしたが、具体的な内容についてお聞かせください。
あわせて、我が会派は、防災力の人的な強化の実現のために退官した自衛官の活用を提案していましたが、採用についてはどのようにお考えでしょうか、お聞かせください。
次に、少子化対策について、地域性を考慮した独自の施策を展開するとのことですが、初めに、小樽の地域性をどのように捉えているのかお聞かせください。あわせて、独自の施策について具体の内容をお聞かせください。
ふれあいパス事業は、前市長の中央バスへの不誠実な対応が原因の一つとなって、中央バスからの金銭的な協力が打ち切られて、事業費用の全額が市の負担となりました。市長は、持続可能な新制度に向けた検討を行うとのことですが、いつまでに結論を出して、いつ新制度に移行しようとお考えなのかお聞かせください。
以上、第2項目めを終わります。
○議長(鈴木喜明)説明員の答弁を求めます。
(「議長」と呼ぶ者あり)
○議長(鈴木喜明)市長。
(迫俊哉市長登壇)
○市長(迫俊哉)ただいま、市政執行方針及び施策に関して御質問がありました。
初めに、市政執行方針を議案の提案説明から独立した形で述べることにつきましては、市政執行方針は、私が新年度において推し進める市政の方向性をお示しするものであり、提案する新年度予算の前提になるものであることから、これまでの例に倣い、提案説明の冒頭で述べさせていただいたところであります。
説明に当たっては、市民の皆様、議員の皆様に理解しやすい形で述べることが肝要でありますので、提案説明とは別建てとすることも含め、他市の状況を参考としながら、よりわかりやすい説明が可能となる方法を研究してまいりたいと考えております。
次に、市政執行方針に「夢あふれる元気な小樽」を掲げた理由につきましては、このフレーズは、市長選に立候補した際に、当時の市政では将来のまちづくりの方向性が見えず、市政の停滞感や閉塞感を感じる中で、まちづくりを再起動し、人もまちも元気にしたいという思いで掲げたものですが、新年度に臨むに当たっての決意として改めて掲げたものでございます。
次に、小樽スクラムミーティングにつきましては、小樽のまちづくりの現状と課題について、経済界等からの視点で、稼ぐ力と域内連携の強化を主眼に共通認識を持ち、より一層の協力体制を築きながらこれからのまちづくりをともに考えることを目的に、市と商工会議所が共同で開催するものです。メンバーは、小樽観光協会、小樽法人会、小樽建設事業協会、小樽青年会議所などの12団体を予定しており、テーマを設定した上で年1回程度の意見交換を行ってまいりたいと考えております。
次に、観光都市としての整備推進の具体的な内容につきましては、首都圏の社員食堂での水産加工品のPRやパンのまちでの新たなツーリズムの構築、浴衣の似合うまちとしての取り組みなどにより、観光資源の磨き上げを行うとともに、観光案内所の外国語通訳スタッフの増員や大型客船に対応する小樽港第3号ふ頭の岸壁改良の推進などにより受け入れ体制の充実を図り、観光都市としての整備を進めてまいります。
また、関連産業との連携の具体的な内容につきましては、水産物PR事業では、水産業や水産加工業、ツーリズムの構築ではパン業界、浴衣の似合うまちの取り組みでは呉服や美容業界との連携を深め、新たなブランドの確立や観光客の商店街などへの回遊性の向上につなげてまいります。
次に、観光基本計画での位置づけにつきましては、観光都市としての整備の推進は小樽の魅力を深める取り組みに、関連産業との連携は小樽の魅力を広げる取り組みにそれぞれ位置づけております。
次に、平成31年度における地域DMO構築に向けた取り組みにつきましては、観光協会と連携しながらDMO候補法人登録の申請を行い、その後、本登録に向けた準備を進めてまいります。
なお、小樽観光協会では、31年度に専任の職員を採用し、DMO構築に向けた組織強化を図ることとしております。
次に、中小企業の収益改善や雇用環境の改善につきましては、日本遺産の認定に向けた取り組みなど観光振興策を進めることはもとより、本市主要産業の一つである食品関連では、本市のブランド力を生かしながら、関東、関西での大規模展示商談会へ出展するほか、産学官連携のもと、ベトナムにおける商談会を実施するなど新たな販路開拓を目指すとともに、地元企業の発展に資する人材の育成や地域資源を生かした新たな商品開発を進めてまいります。
また、対岸貿易の活性化に向けて、ロシア沿海地域におけるポートセールスを行うほか、中心市街地のにぎわい形成に寄与する商店街への回遊性向上を図る取り組みや、産学官連携に金融を加えた産学官金の新たなネットワークである中小企業振興会議を開催し、今後の中小企業振興施策の立案に向けた取り組みを進めてまいります。
次に、防災力の強化のために取り組む施策につきましては、昨年の大規模停電の経験から避難所の停電対策が必要と考え、指定避難所63カ所のうち、全小・中学校30カ所、公立保育所4カ所と市民センターの計35カ所に、ポータブル発電機や投光器などを配備するほか、停電時の救急医療を継続できるよう夜間急病センターに非常用電源を整備します。
また、災害時の情報発信の重層化を図るため、沿岸部の市民や観光客を津波などから迅速に避難させる防災行政無線の整備に着手するとともに、市内全域に本市の防災情報が伝達されるよう、FMおたるの難聴地域解消に向けた調査及び実施設計を行います。このほか水防法の改正により、洪水浸水想定区域が見直された新川と星置川の洪水ハザードマップを作成するなど、防災力の強化を図ってまいります。
次に、退職自衛官の採用につきましては、自衛官は災害に関する専門的な知識や経験を有するため、退職自衛官を採用した場合には、災害対策の強化が図られるものと認識しております。しかしながら、現在の非常勤職員制度では勤務時間に制限があるため、災害時に適切な対応ができる勤務体系になりませんので、平成32年度から導入予定の臨機応変な勤務体系が可能となる会計年度任用職員制度を視野に入れ、引き続き採用について検討してまいりたいと考えております。
次に、少子化対策につきましては、小樽の地域性として、若い世代の札幌圏への流出による子育て世代の減少と、全国、全道平均よりも低い出生率などの課題があるため、安心して子供を産み育てられる環境を整える必要があると考えております。
このため、平成31年度の主な独自施策としましては、近隣自治体の制度も考慮して、こども医療費助成を中学生の入院にまで拡大したほか、新規事業として、不妊症の早期発見、早期治療のため、不妊検査助成事業を実施いたします。また、保育環境の充実を図るため、病児保育の補助事業を新たに行います。
次に、ふれあいパス事業の新制度の実施時期などにつきましては、庁内検討、事業者との協議及び議会議論を重ねた後、現時点では平成32年4月からの新制度への移行を目指したいと考えております。そのため、市民周知の期間などを考慮いたしますと、遅くとも年内には新たな制度の内容を決定したいと考えております。
○議長(鈴木喜明)次に、第3項目めの質問に入ります。
(「議長、15番」と呼ぶ者あり)
○議長(鈴木喜明)15番、濱本進議員。
(15番濱本進議員登壇)
○15番(濱本進議員)それでは、第3項目め、新年度予算及び主要事業に関して質問します。
平成31年度の一般会計予算は、歳入歳出同額の約572億130万円で編成されています。初めに、新年度予算を編成する上での基本的な考え方について、前市長との違いなどをお聞かせください。
次に、新年度予算計上額について、歳入、歳出のそれぞれについて、今年度当初予算額及び今年度最終補正予算額と比較の上、その理由などを含めお聞かせください。
市税については、固定資産税、都市計画税では大幅な増収が見込まれるとのことですが、これは恐らく市内の大型商業施設の再生が要因であると理解しています。増収は喜ばしいことではありますが、反面、個人市民税、法人市民税などでは残念ながら減収が見込まれるとのことです。この減収の要因とその金額についてお聞かせください。
次に、ふるさと納税関係経費が4,670万円計上されていますが、この内訳についてお聞かせください。
また、この経費に対応する歳入はどの程度見込んでいるのかお聞かせください。
あわせて、現在把握している直近の状況では、小樽市民が他の自治体にふるさと納税を行ったことによる本市の個人市民税の減収額をお聞かせください。
次に、新年度の主要事業のうち、その主な新規事業名及び目的、事業内容と予算についてお聞かせください。
また、あわせて、継続的な事業で予算が増額になった事業、減額になった事業、廃止になった事業について、その主な事業名、増額、減額、廃止の理由、根拠などについてお聞かせください。
次に、新年度の除雪費は、貸出ダンプ制度の経費を除く約15億4,280万円を計上していますが、排雪予定数量などの積算根拠を今年度予算と比較してお聞かせください。
関連して、新年度において雪対策基本計画の策定に着手するとありますが、計画の内容、策定手順、策定完了時期など、できるだけ具体的にお聞かせください。
当初予算では経費として計上していない貸出ダンプ制度について、抜本的な制度の見直しを含めた検討を行うとのことですが、市民に定着した事業ですので、制度の変更が市民に混乱を招かないように丁寧な対応が必要不可欠です。見解をお聞かせください。
以上、第3項目めを終わります。
○議長(鈴木喜明)説明員の答弁を求めます。
(「議長」と呼ぶ者あり)
○議長(鈴木喜明)市長。
(迫俊哉市長登壇)
○市長(迫俊哉)ただいま、新年度予算及び主要事業に関して御質問がありました。
初めに、平成31年度予算を編成する上での基本的な考え方につきましては、私が政治姿勢として掲げた「対話の重視」「経済と生活の好循環」「備え」の三つのキーワードをまちづくりの基本方針として、公約を優先するばかりではなく、これまでの議会議論において御指摘いただいた課題や社会的要請に応えるため、職員と議論を重ね、選択と集中の観点で事業を厳選したものであります。
しかし、31年度予算編成に当たっては多額の収支不足が見込まれていたことから、全ての事務事業について、その必要性、有効性や事務事業に無駄がないのかを十分に検証し、子育て事業にとどまらず、有利な起債や債務負担を活用しながら、災害対策事業、建設事業や維持補修などのハード事業にも投資するなど、将来を見据えた予算編成としたものであります。
次に、歳入歳出の平成30年度当初予算との比較につきましては、31年度予算計上額は572億130万1,000円であり、30年度当初予算額よりも20億9,098万9,000円増加しております。
増加した主な理由は、歳出においては、30年度まで第3回定例会で補正していた除雪費を、貸出ダンプ関連経費を除いて当初予算に計上したことや、幸小学校の校舎等耐震補強等事業費の計上などによるものであり、歳入においては、普通建設事業の財源としての国庫補助金や市債のほか、財政調整基金繰入金が増加したことによるものです。
また、30年度最終補正予算との比較につきましては、5億7,642万円増加となっておりますが、先ほど申し上げたとおり、除雪費を第3回定例会補正で計上したことや扶助費の増額補正などにより30年度予算の規模が膨らんだことから、31年度予算との差が縮小しているものであります。
次に、個人市民税、法人市民税の減収の要因と金額につきましては、個人市民税は、人口減少による納税義務者数の減少はあるものの、近年の個人所得の増加傾向により現年課税分の税額をほぼ前年度並みと見込んでおりますが、現年課税分の収入率が堅調に推移している結果、滞納繰越分の調定額が減少していることから、平成30年度当初予算と比較して840万円の減額と見込んだものであります。
また、法人市民税は、企業の業績に大きく影響を受けることから、その動向を予測することは難しく、直近の30年度決算見込みを勘案した結果、30年度当初予算と比較して1億1,000万円の減額と見込んだものであります。
次に、ふるさと納税関係経費の内訳につきましては、個人の寄附者へ贈呈するお礼の品の関係経費が4,000万円、ポータルサイトの管理や決済手数料などにかかわる経費が200万円、礼状などの送付経費が140万円、繁忙期対応の臨時職員に対する賃金が120万円、パンフレットや広告などの事務経費が210万円となっております。
次に、ふるさと納税の収入につきましては、これまでの寄附の実績をもとに約6,000件、1億800万円程度を想定しております。
次に、ふるさと納税に伴う本市の個人市民税の減収額につきましては、平成29年1月から12月に行われた寄附により、30年度の課税に反映された額で申しますと約4,500万円となります。
なお、減収額の約75%は普通交付税で補塡される仕組みとなっております。
次に、新年度の主な新規事業につきましては、新年度予算は、安全・安心への備えと次世代の育みをテーマにしたところであり、まず備えとして、防災力の強化を図る主な事業としましては、大規模停電に備えて、指定避難所となる小・中学校などへの非常用発電機の配備等を行う非常時停電対策関係経費が1,949万6,000円、災害時に市内全域に情報を提供できるようにするためFMおたるの送信局増設に向けた調査及び実施設計を行う防災情報通信設備整備事業費が1,000万円であります。
また、育みとして子育てなどを支援する主な事業としましては、先ほど少子化対策として申し上げた不妊検査助成事業費100万円、病児保育事業費補助金が427万5,000円のほか、ひとり親世帯や経済的に不安のある世帯などの子供の自立に向けて、学習支援や困り事相談を行う子どもの学習・生活支援事業費が426万9,000円であります。
加えて、経済活性化のための主な事業としましては、日本遺産を観光客増加などにつなげていくことを目指す(仮称)北前船寄港地フォーラムin北海道小樽・石狩実行委員会補助金が200万円、首都圏におけるネットワーク構築により本市におけるビジネスの機会を拡大し、企業誘致につなげていくことを目指す北海道・小樽ビジネスフォーラム開催事業費が180万円であります。
次に、継続的な事業で予算額が増減あるいは廃止となった主な事業とその理由につきましては、まず増額となった主な事業は、障害者への支援の充実のため、助成対象に視覚障害2級の方を追加した障害者タクシー利用助成事業費、外国人観光客対応の強化のため通訳スタッフを増員した観光案内所運営費交付金などであります。
減額となった主な事業は、訪問先を厳選したことにより事業費を圧縮した小樽港物流促進プロジェクト事業費などであります。
廃止となった主な事業は、事業効果を検証した結果終了することとしたアンテナショップ展開事業費、費用負担のかからない手法を検討すべきと判断し、予算計上を取りやめたスポーツ選手交流事業費などであります。
次に、除雪費の積算根拠につきましては、まず地域総合除雪における排雪は、平成30年度は過去5年間の実績排雪量の平均値50万立方メートルを計画排雪量としており、31年度は今冬の計画的な排雪作業が一定程度の評価をいただいたものと受けとめておりますので、同様の計画排雪量を計上したところであります。
また、雪堆積場管理などの委託費やロードヒーティングの電気代などの費用につきましては、30年度の単価での積算額や過去5年間の実績などを勘案して算定するとともに、10月から予定されている消費税増税分の費用を見込んで予算計上したものであります。
次に、雪対策基本計画につきましては、この計画は、上位計画である第7次小樽市総合計画と単年度の除排雪計画をつなぐ中・長期計画に位置づけるものであり、冬の安全で安心な市民生活を支えるために、課題や問題点を改めて整理し、将来を見据えた雪対策にかかわる基本的な考え方を定めるものであります。
策定の手順につきましては、学識経験者や交通事業者等で組織した懇話会などを立ち上げ、市民の皆様からの御意見を伺いながら、今後の雪対策のあり方や市民との協働、役割分担などを検討し、パブリックコメントを経て、平成32年度の策定を目指したいと考えております。
次に、貸出ダンプ制度の検討につきましては、利用団体から、これまでの制度変更に伴い利用しづらいことや、高齢化に伴い費用負担ができないなどの地域の事情により、利用できなくなってきているとの御意見も伺っておりますので、抜本的な制度の見直しも含め、改めて検討が必要であると考えております。このため、今後の制度の見直しに当たっては、市民の皆様から課題や問題点についての御意見を伺いながら、拙速な制度変更により混乱を招かないよう丁寧に進めてまいりたいと考えております。
○議長(鈴木喜明)次に、4項目めの質問に入ります。
(「議長、15番」と呼ぶ者あり)
○議長(鈴木喜明)15番、濱本進議員。
(15番濱本進議員登壇)
○15番(濱本進議員)それでは、第4項目め、教育行政執行方針について質問します。
地方教育行政の組織及び運営に関する法律が平成26年6月20日に改正、公布となり、平成27年4月1日から施行となりました。この改正により、総合教育会議を設置する地方公共団体の長は、教育基本法第17条第1項に規定する基本的な方針を参酌し、その地域の実情に応じ、当該地方公共団体の教育、学術及び文化の振興に関する総合的な施策の大綱を策定することとなりました。
小樽市においては、平成26年7月17日付の文部科学省からの地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律の通知の第三の2の(3)①で記載されているように、第6次小樽市総合計画基本計画の該当部分をもって教育大綱とすることを平成28年3月の総合教育会議において決定しました。本年は第7次総合計画基本計画が策定されますが、この基本計画の該当部分をもって新たな教育大綱とすることになるのでしょうか、見解をお聞かせください。
また、文部科学省の通知によれば、教育大綱が対象とする期間は四、五年と想定していますが、小樽市においてはいかがでしょうか、お聞かせください。
次に、教育長は、現在ある学校教育推進計画と社会教育推進計画を教育計画としての総合性を高めるとともに、両計画の整合性を図るために、(仮称)小樽市教育推進計画を平成31年度中に策定すると述べていましたが、どのような作業工程、タイムスケジュールを想定されているのでしょうか、できるだけ具体的にお聞かせください。
小樽市学校教育推進計画の重点目標の5点目、「信頼に応える学校づくり」に向けた取り組みで、小中一貫教育推進地区を指定するとのことでしたが、これの具体的な内容及び将来の展望をお聞かせください。
小中一貫教育などによる教育環境の質的な向上は、小樽の未来を託することのできる人材を育む重要な要素の一つであり、また、人口減少を抑止する効果が内在していると捉えています。教育長の見解をお聞きします。
以上、再質問を留保して終わります。(拍手)
○議長(鈴木喜明)説明員の答弁を求めます。
(「議長」と呼ぶ者あり)
○議長(鈴木喜明)市長。
(迫俊哉市長登壇)
○市長(迫俊哉)ただいま、教育行政執行方針について御質問がありました。
初めに、新たな教育大綱の策定につきましては、教育大綱は教育行政における市民の意向をより一層反映させ、本市における教育、学術、文化の振興に関する総合的な施策の根本となる方針を定めるものであることから、総合計画との関連性は十分考慮すべきものであると考えております。
新しい教育大綱につきましては、新年度の早い時期に総合教育会議を開催し、大綱の策定方針について教育委員会と十分協議を行ってまいりたいと考えております。
次に、教育大綱の対象期間につきましては、国の通知では、首長の任期が4年であることや、大綱作成に当たり参酌すべきとされる国の教育振興基本計画の対象期間が5年であることから、四、五年程度で想定されておりますので、それらを踏まえて検討してまいりたいと考えております。
(「議長」と呼ぶ者あり)
○議長(鈴木喜明)教育長。
○教育長(林秀樹)濱本議員の御質問にお答えをいたします。
ただいま、教育行政執行方針について御質問がございました。
初めに、(仮称)小樽市教育推進計画の作業工程につきましては、当該推進計画は、総合計画基本計画の個別計画として位置づけておりますことから、基本計画の策定に合わせて作業を進める必要があるものと考えております。
また、計画の策定に当たっては、校長会、PTA連合会などの教育関係団体や、社会教育施設に設置されている各協議会等の御意見を伺うとともに、最終的には教育委員会や社会教育委員会議の御審議をいただいた上で策定してまいりたいと考えております。
次に、小中一貫教育についての具体的な内容及び将来の展望につきましては、本市におきましては、義務教育9年間での学力や体力の向上、小学校から中学校へ進学する際の円滑な接続、小・中合同研修による教員の指導力向上などを目指し、9年間を通じた系統的な教育を行うため、まずは平成31年度から北陵中学校、高島小学校、手宮中央小学校の北陵中学校区と朝里中学校、豊倉小学校、朝里小学校の朝里中学校区を小中一貫教育推進地区として指定し、各地区における目指す子供像の設定や、9年間を通じたカリキュラムの編成、中学校体験入学や中学校入学前のガイダンス、小・中合同の研修会の開催などの取り組みを進めてまいります。
また、推進地区以外の中学校区におきましては、それぞれの学校や地域の状況に応じた小中一貫教育を進めてまいります。
将来的には、推進地区の成果を各中学校区に普及し、全ての中学校区において本市が目指す小中一貫教育の取り組みが実現できるよう進めてまいりたいと考えております。
次に、小中一貫教育などによる教育環境の質的な向上にかかわる見解につきましては、教育行政執行方針でも申し上げたとおり、小樽の未来を託すことのできる人材を育成する取り組みは、本市において最重要課題であると認識しておりますので、教育委員会といたしましては、学校、家庭、地域、行政が一丸となって各種施策に取り組み、教育環境の質的な向上を一層推進していく必要があるものと考えております。
(「議長、15番」と呼ぶ者あり)
○議長(鈴木喜明)15番、濱本進議員。
○15番(濱本進議員)以前と比べると大変質の高い、丁寧な答弁をいただきまして、再質問については、今後の委員会等で行いたいと思いますので、以上をもって私の質問は終わらせていただきます。○議長(鈴木喜明)濱本議員の会派代表質問を終結し、この際、暫時休憩いたします。
休憩午後2時12分
――――――――――――――
再開午後2時40分
○議長(鈴木喜明)休憩前に引き続き、会議を再開し、会派代表質問を続行いたします。
(「議長、19番」と呼ぶ者あり)
○議長(鈴木喜明)19番、林下孤芳議員。
(19番林下孤芳議員登壇)(拍手)
○19番(林下孤芳議員)平成31年第1回定例会に当たり、立憲・市民連合を代表して質問いたします。
まずは財政問題についてであります。
私は3期12年間、小樽市議会議員を務めさせていただき、4人の市長と議論を闘わせてまいりましたが、その間、一貫して小樽市の財政をめぐる課題は、常に歳入不足に悩み続けてきたことでありました。私が初当選させていただいたときには、三位一体改革で地方交付税が大幅に減額され、全国の多くの自治体が軒並み財政危機に陥る中で、夕張市が財政破綻し、市民からは、小樽市を絶対に財政破綻させてはならないと市政に関心が高まり、多くの新人議員が誕生しました。
当時の山田市長は、国に対する抗議の意味を含めたかどうかは今では定かではありませんが、自治体としては異例の赤字予算を組み、全国的にも大きく取り上げられておりました。しかし、国は、赤字国債の増発などによる財政危機の解決は国際公約であるとして、国の財政危機を優先し、地方自治体に対する財政措置は行わず、全国市長会などの反発を招き、結果的に政権交代につながったと思われます。
当時の民主党政権は、地方の自立を掲げ、事業仕分けなどで無駄を省き、一括交付金による地方財政に対する措置を実施することで多くの自治体が財政の健全化を達成し、小樽市も財政調整基金を積み立てるまでに財政の健全化を達成しました。
2012年暮れの衆議院選挙で政権復帰を果たした安倍総理は、国の財政再建を棚上げし、デフレ対策として世の中に出回るお金をふやせば、物価が上がり景気がよくなる、企業業績が改善し、賃金も上がるという経済学者の進言に基づくアベノミクスを強力に推進しました。市場も歓迎し、円安、株高が急速に進み、日銀の規制緩和で大量の紙幣が供給されましたが、その効果は大企業や大都市に偏重し、地方自治の税収効果や物価も賃金もほとんど上昇することなく、国債が増発された分、現在は日本の財政再建に対する国際的な信用不安が増してきているのではないかとの専門家の指摘もあります。
雇用問題も、この6年間で非正規雇用の労働者は増加が続いており、賃金の上昇は最低賃金の上昇分にとどまり、その結果、大都市と地方、大企業と中小企業の業績や賃金の格差が拡大し、政府は、経済成長に伴う人手不足を主張していますが、地方では経済効果も限定的で、人口の流出も続いています。このことが、今また地方自治体の税収不足に深刻な影響を与えることが懸念されるのではないかと思われます。
小樽市も、国の方針がこのまま続くとすれば、人口減少や高齢化がさらに進み、税収不足により財政運営が再び行き詰まることが心配されます。
迫市長は早速、昨年11月に、今後7年間の小樽市収支改善プランをまとめました。今後の歳入不足を補うための事務事業費の削減、職員定数の適正化、手数料・使用料の値上げなど、市民にもその対処法を明らかにした市長の収支改善プランは、歳入不足からの脱却の処方箋として評価されますが、前市長の3年半を除けば、歴代の市長は乾いた雑巾を絞るという財政健全化努力を続けてきた結果であり、それでもなお経常収支比率の改善には至らず、むしろ硬直化は進んできたのではないかと感じています。
国も、これまで行政のスリム化と地方の人口減少に歯どめをかけるための施策と称して、市町村の合併を強力に進め、道内では212市町村を179市町村まで減らしましたが、かつてない広いまちが誕生するなどの動きがありましたが、これらの結果を見る限り、行政経費の縮減や人口減少に歯どめがかからず、成果に疑問が残されてきました。
国は、さらに昨年、複数の自治体でつくる圏域を新たな行政主体に位置づける構想に着手したと報じられておりますが、こうした国の施策に従うだけでは、地方自治体の展望は開かれないのではないかと思います。
私は、課税制度の見直しと地方の実情に合わせた税の使い道を判断できる一括交付金を国に求めていくことが、地方自治体の再生の一つになるのではないかと考えています。
そこで、2012年ごろは、一括交付金や地方交付税の増加により地方自治体の財政は急速に健全化を達成したと思いますが、過去5年間、地方交付税と臨時財政対策債を合わせた実質的な交付税の推移はどのようになっていますか、お示しください。
次に、国の一般会計税収は60兆円にも達すると言われ、過去最高の水準になったと言われていますが、これは景気の回復や賃上げが追い風になっていると分析されております。そこで、過去5年間の個人と法人それぞれの市民税収入の推移をお示しください。
次に、市税収入を見れば、国の言っているような景気の回復や賃上げによる大きな効果は余り感じられず、多少の増収があったとしても、本市ではそれを上回る地方交付税の減額が続いており、経費の節減や歳入増の新たな努力で黒字に転ずることは極めて難しいと思います。
今後、経常収支比率の改善のためには、どのような取り組みをしていかなければならないと考えているのかお示しください。
私は、経常収支比率が他都市と比べ小樽市は極端に高いことに注目し、視察の際には、視察先でいただいた資料で経常収支比率に注目してきましたが、視察先では質問の前に、小樽市は全国的に有名な都市で観光客も非常に多く、うらやましい限りですが、なぜ経常収支比率がこれほど高いのかと逆に質問され、答えに窮したことがあります。
こうした調査を踏まえ、同規模の自治体や小さな自治体を比較しても、小樽市は経常収支比率が断トツに高いことは明らかです。いずれにしても、基本的な国の地方財政対策の方針が変わらず、十分な地方交付税総額の確保が図られない限り歳入不足が続き、経常収支比率の改善は難しく、市長が今後政策に生かすべき予算は極めて限定されたものにならざるを得ないことになります。
小樽市は、人口減少対策や災害対策、老朽化している公共施設の更新や耐震化、庁舎の建てかえなど多額の予算を必要とする喫緊の課題がめじろ押しに迫っております。これらに対応する財源の確保のために、国に対してどのような要望をしていく必要があるとお考えなのかお示しください。
以上で1項目めの質問を終わります。
○議長(鈴木喜明)説明員の答弁を求めます。
(「議長」と呼ぶ者あり)
○議長(鈴木喜明)市長。
(迫俊哉市長登壇)
○市長(迫俊哉)林下議員の御質問にお答えします。
ただいま、財政問題について御質問がありました。
初めに、過去5年間の実質的な交付税の推移につきましては、1,000万円単位で申し上げますが、平成25年度192億9,000万円、26年度190億円、27年度186億1,000万円、28年度178億4,000万円、29年度176億6,000万円となっており、減少傾向にあります。
次に、過去5年間の市民税収入の推移につきましては、現年課税分の収入済額を1,000万円単位で申し上げますが、個人分は、平成25年度42億3,000万円、26年度42億6,000万円、27年度42億1,000万円、28年度42億1,000万円、29年度42億4,000万円となっております。また法人分は、平成25年度14億円、26年度13億6,000万円、27年度13億3,000万円、28年度13億1,000万円、29年度13億6,000万円となっており、個人分、法人分ともにおおむね横ばいとなっております。
次に、経常収支比率の改善に向けた取り組みにつきましては、経常収支比率は財政構造の弾力性を示すものであり、この比率が高いということは財政構造が硬直化していることを示しておりますが、本市の場合は、人口減少などにより、市税や普通交付税などの一般財源収入の伸びが期待できない中で、今後も社会保障の充実などにより扶助費の増加が想定されることから、この比率を引き下げることは容易ではありません。
しかしながら、事務事業の見直しによる経常的な経費の節減を行うなど、小樽市収支改善プランにある取り組みを着実に推進する一方で、子育て支援や産業振興策により人口減少に歯どめをかけ、税収の確保に努めるなど、自主財源の確保に向けた取り組みを進めることによって、経常収支比率の改善を図ってまいりたいと考えております。
次に、財源確保のための国に対する要望につきましては、国では地方の財政需要を一定程度見込みながらも、近年においては我が国の好調な経済動向から、地方税収の増などを見込むことにより、地方交付税と臨時財政対策債を合わせた実質的な交付税を減少させております。
しかしながら、人口減少対策や老朽化施設の更新などの喫緊の課題を抱える地方の財政運営には、財源調整と財源保障の機能を持つ地方交付税の確保が極めて重要であることから、必要な地方交付税総額の確保について、引き続き北海道市長会などを通じて強く要望してまいりたいと考えております。
○議長(鈴木喜明)次に、第2項目めの質問に入ります。
(「議長、19番」と呼ぶ者あり)
○議長(鈴木喜明)19番、林下孤芳議員。
(19番林下孤芳議員登壇)
○19番(林下孤芳議員)次に、収支改善プランにおけるふるさと納税制度の取り組みについてお伺いいたします。
昨年11月、小樽市は2019年度から2025年度までの7年間の収支改善プランを発表しました。財政調整基金が再来年にも底をつくことが懸念されていただけに、歳入不足にどう対応するかは喫緊の課題であり、私どもも以前から指摘してきたことであり、経常収支比率が極限状態にあることも含めて対応策を市民に明らかにしたことは評価しているところであります。ただ、行政サービスの低下を招く施策や市民負担に直結する施策は、さまざまな意見があることから慎重な対応が求められます。
そこで、歳入不足の対応策として、ふるさと納税制度のさらなる推進で、7年間で約3億円の効果額を見込んでいるのでお聞きしますが、これまで私どもも、ふるさと納税制度の過度の返礼品競争など弊害を指摘し、実施の際には慎重な対応を求め、ふるさと納税の趣旨からしても、歳入対策として中心に据えることは問題があると指摘しつつ、地方交付税の減額が続き、これを補う方策が見当たらないとすれば、背に腹はかえられず、また今後この制度の活用も提案してきたところであります。このたびの企業版ふるさと納税などの新たな取り組みも必要ではないかと考えます。
本来、税の一極集中の対応策として、2008年の制度の開始以来、ふるさと納税の寄附額は、国の発表では順調にふえ続け、2017年には3,653億円にも達していると言われています。総務省は加熱する返礼品競争に歯どめをかけるために、調達費が寄附額の30%以下の地場産品とする地方税法の改正案を提出していますが、賛否両論があるものの、国は6月から新たな制度を実施するための法改正が行われ、返礼品が限定されることによって、ふるさと納税に対する国民の関心が急速にしぼんでしまうのではないかと指摘されています。
そうした情勢の中で、小樽市は、平成31年度にふるさと納税制度についてどのような取り組みを考えているのかお示しください。
また、企業版ふるさと納税は、地域の再生計画として国の認定を受けた事業に対し寄附をした企業に優遇措置があることから、これから迫市長が進める企業誘致の推進や北海道・小樽ビジネスフォーラムの開催事業と連動させれば、大きく伸びる可能性が期待されますが、制度の内容と今後の取り組みについての考え方をお示しください。
以上、2項目めの質問を終わります。
○議長(鈴木喜明)説明員の答弁を求めます。
(「議長」と呼ぶ者あり)
○議長(鈴木喜明)市長。
(迫俊哉市長登壇)
○市長(迫俊哉)ただいま、収支改善プランにおけるふるさと納税制度等の取り組みについて御質問がありました。
初めに、平成31年度におけるふるさと納税制度の取り組みにつきましては、本市のふるさと納税のお礼の品は、総務省から返礼品のあり方に関する通知がある前から寄附額の3割以下の地場産品としておりますので、地方税法の改正による変更を行う予定はありません。
また、お礼の品の提案や発送管理などを委託する事業者を公募によるプロポーザル方式で選定し、本市の魅力発信により寄与する地場産品の提案を受けながら、お礼の品を充実させることで、本市を応援してくださる方々からの寄附金の増加に向けて取り組んでまいります。
次に、企業版ふるさと納税の制度につきましては、地方公共団体が行う地方創生の取り組みに対する企業の寄附について、現行の寄附控除に加え、寄附額の3割を法人関係税から控除を受けられるものであり、対象となる取り組みについて地域再生計画を策定し、国の認定を受ける必要があります。そのため、平成31年度のこども医療費助成の拡大を対象とした地域再生計画の認定申請を行っているところであります。
今後は、北海道・小樽ビジネスフォーラムなどを通じて寄附企業の掘り起こしを行うほか、企業にとって魅力を感じていただけるような新たな事業案を検討し、さらなる本制度の活用による財源確保に努めてまいります。
○議長(鈴木喜明)次に、第3項目めの質問に入ります。
(「議長、19番」と呼ぶ者あり)
○議長(鈴木喜明)19番、林下孤芳議員。
(19番林下孤芳議員登壇)
○19番(林下孤芳議員)次に、原発事故の避難計画についてお伺いいたします。
原発事故の避難計画は、2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロ事件をきっかけに、我が国でも2001年10月5日に政府がテロ対策特別措置法を提出し、同月29日に成立したものが原点となり、原発がテロ攻撃を受け、原発に甚大な被害が発生した場合、国が定めた住民の避難方法が示されたものであります。
当時、私は、国が定めた指定輸送機関の一員として、住民避難の輸送に当たる乗務員や従事者の放射線の防護の対策はどこが責任を持つのかといった議論になりましたが、当時は、関係自治体が法律上は持つことになるとのことでありました。
私は、2007年市議会議員初当選のときに、議会や行政の最も重要な役割は住民の命と財産を守ることと再認識させられ、以来、今日まで忘れることなくこの課題を追求してきました。泊原発のプルサーマル発電計画のときも、議会で原発事故の対応に当たる消防職員や防災担当職員、住民を避難させるべき輸送機関の職員の防災服の扱いや安全の確保について質問をしておりますが、当時は、原発事故は起きないという考え方が前提で、議論がなかなかかみ合わない状況でした。
しかし、福島原発事故が発生し、現実に住民避難が必要となりましたが、30キロメートル圏内は立入禁止となり、住民避難に当たる輸送機関の職員には防災服はどこからも配布されず、30キロメートル圏内に立ち入ることができないという事態が発生しています。自力で住民とともに避難した首長が、目の前まで救援のバスが来ているのに入れないのは何事かと怒りをあらわにしたインタビューは、いまだに忘れることはできません。
また、総務常任委員会視察で新潟市を視察させていただいたときには、福島原発事故で派遣された消防職員の防災服の装備が不十分な中で事故対応に当たられたことや、派遣した消防車が汚染のために現地に残さざるを得なかったことなどを伺い、装備と備えの大切さを改めて思い知らされました。
北海道が2015年に作成した原子力災害時における住民避難用バスの要請・運行要領は、北海道バス協会も了承し、国も承認した避難計画ではありますが、昨年7月、北海道バス協会は、原発事故時に住民を民間バスで輸送することは現状では困難との見解を示しています。これは、住民避難バスとして派遣される乗務員の防護服は、誰がいつ用意するのか、バスが汚染された場合の除染の責任とその後の運用など、具体的な問題の解決が進んでいないことへの不安と不信のあらわれではないかと思います。
私も長い間そうした懸念を抱きながら、市議会議員として原子力防災訓練も視察させていただきましたが、バスの乗務員も警察も、放射能汚染から体を守る防護服を着用しているのは見た記憶がありません。ただし、唯一、医療班や一部の行政関係者は防護服を着用し、線量計でチェックしていたことだけは記憶しております。
私は、市長が防災対策を重点政策として取り組むことは大変高く評価しておりますが、国や道の事故対応は不十分で曖昧なものが見受けられ、後志圏内最大都市の小樽市がこうした指摘をし、具体的な対策や責任ある対応を求めなければ、問題の解決はできないものと考えます。
本来このことは、あくまで国の責任において行うべきものですが、これらの予算措置を含めた対策は、小樽市が積極的に対策や対応を求めなければ改善されずに時間が経過し、事故の際にまた混乱が起きるのではないかと懸念するところであります。
泊原発で事故が発生した場合、小樽市の消防職員は出動が求められる可能性や、住民避難用のバスも小樽市に集結する場合も想定されますが、防災設備や体制に不備があるとすれば、小樽市の役割として、それを正していかなければならないのではないかと考えます。
住民の生命と財産を守る、職員の命を守ることはできないのではないかと思います。小樽市はUPZから最も近い避難場所として、まだ多くの役割が求められているとは思いますが、これまで指摘してきた不備や不安にどう対応していくのか、考えをお示しください。
以上、3項目めの質問を終わります。
○議長(鈴木喜明)説明員の答弁を求めます。
(「議長」と呼ぶ者あり)
○議長(鈴木喜明)市長。
(迫俊哉市長登壇)
○市長(迫俊哉)ただいま、原発事故の避難計画について御質問がありました。
原子力災害対応の支援派遣時の防災装備及び体制につきましては、泊発電所に起因する原子力災害時に被災自治体から本市への応援要請があった場合は消防隊を派遣することとなり、その際、消防隊が使用する簡易防護服、全面マスク及び線量計については、本市において既に配備済みであります。
また、広域避難に従事するバスの乗務員に対しましては、北海道が運転手用防護資機材を準備することとなっております。
今後において、事故対策などに改善が必要となった場合には、本市も参加している泊発電所の安全確認協定に関する連絡会で意見を述べてまいりたいと考えております。
○議長(鈴木喜明)次に、第4項目めの質問に入ります。
(「議長、19番」と呼ぶ者あり)
○議長(鈴木喜明)19番、林下孤芳議員。
(19番林下孤芳議員登壇)
○19番(林下孤芳議員)次に、さっぽろ連携中枢都市圏ビジョンについてお伺いいたします。
さっぽろ連携中枢都市圏ビジョンは、総務省が2014年から政令市や中核市などに交付税を措置して、連携中枢都市圏の形成を呼びかけたものだと理解しておりますが、指定の趣旨は、全国的な人口減少、少子高齢化を展望し、行政コストの削減や運営の効率化に対応するとされています。
これまでも総務省は、比較的規模の小さい市町村合併を推進し、行政経費の削減につながるとしてきましたが、しかし、北海道では合併によってより大きな自治体が生まれるなどしていますが、交付税措置による行政機関と組織の統廃合が終われば、行政範囲が拡大した分コストの削減効果はなく、人口減少も歯どめがかかっていないと言われています。全国的にも、私どもが視察してきた市町村合併の事例を見ても、多くの自治体は同じ悩みを抱えていると感じてきました。
また、小樽市は北しりべし定住自立圏で中心都市宣言を行い、北後志の各町村と連携し、公共交通の維持などに取り組んできた経緯があり、定住自立圏とのかかわりについても心配があるところです。
また、北海道全体で見ると、この20年間連続して人口が減少する一方、札幌への人口集中が進み、道内の地域間格差は拡大し、鉄道やバスなどを初めとする生活インフラの維持が難しい状況が生まれています。
そうした現状を踏まえると、さっぽろ連携中枢都市圏ビジョンは、札幌圏8市3町1村の連携によって、ただでさえ本市から札幌市への人口流出が進む中で、ますます札幌への一極集中が進むのではないかと考えられます。北海道の均衡ある発展を放棄することにつながるのではないかとの懸念も生じるところで、私どももこれまでも指摘してきたところです。
しかし、さっぽろ連携中枢都市圏ビジョンは、昨年の年頭から議論が始まり、数多くの会議を積み重ねてきたことを踏まえて、決して反対するものではありませんが、やはり北後志の中心市としての役割や信頼関係を今後どうしていくのかという点だけは十分に配慮し、連携することが望まれます。
そうした懸念を払拭し、既に昨年2月には首長による会合が行われ、その後も事業や役割について協議が進んできたと思いますが、小樽市として、さっぽろ連携中枢都市圏ビジョンに参加し、ビジョンに基づく取り組みを行うことにどのようなメリットがあると考えているのかお示しください。
北しりべし定住自立圏との関係は今後どのようになるのか、連携中枢都市圏構想は本当に小樽市のためになると考えているのかお示しください。
さっぽろ連携中枢都市圏ビジョンでは40事業が示され、来年度から実施するとされていますが、小樽市とかかわりのある事業はどのようなもので、これまで小樽市の政策とのかかわりでそごを生じることはないのかお伺いいたします。
次に、行政の効率化を重視するとすれば必然的に統廃合が生じ、中核的な自治体に行政機能が集約されることにならないのかお尋ねいたします。
次に、現状でも札幌市への一極集中が進み、政令都市では全国4番目の人口を擁し、道内経済も牽引していると言われていますが、ある調査によれば、札幌市の平均所得は全国の市町村ランキングでは372位で、中央との格差は余りにも大きく、道内的には、地方都市でも特殊合計出生率や平均所得が高く、定住率も高い地方都市が存在する中で、さっぽろ連携中枢都市圏ビジョンは、投資したくなる、選ばれるイメージを強く打ち出していますが、小樽市としてどのような取り組みをしていくのかお示しください。
以上、4項目めの質問を終わります。
○議長(鈴木喜明)説明員の答弁を求めます。
(「議長」と呼ぶ者あり)
○議長(鈴木喜明)市長。
(迫俊哉市長登壇)
○市長(迫俊哉)ただいま、さっぽろ連携中枢都市圏ビジョンについて御質問がありました。
初めに、本市として、さっぽろ連携中枢都市圏に参加することのメリットにつきましては、このビジョンによる取り組みを札幌市と連携して進めることにより、本市の強みである観光や産業振興といった分野における各種事業で相乗効果が期待できるほか、公共施設等の相互利用などを検討することにより、住民サービスの向上も期待できると考えております。
次に、北しりべし定住自立圏との今後の関係と、連携中枢都市圏構想は本市のためになるのかにつきましては、北しりべし定住自立圏については、これまでと同様に本市が中心市としての役割を果たし、将来にわたり自立した活力ある圏域の形成に努め、魅力あふれる自然環境と歴史・文化が調和し、人、もの、情報が交流する圏域となることを目指してまいります。
また、札幌市との連携中枢都市圏構想についても、先ほど申し上げましたとおり、本市にとってもメリットがあることから、広域行政の推進に有効なものと考えております。
次に、札幌市と連携する事業につきましては、さっぽろ連携中枢都市圏ビジョンに示されている40の事業のうち、本市にかかわる事業としては、新産業の育成に向けた支援及び観光資源の活用や共同プロモーション等の推進、公共施設の相互利用や配置に関する検討、さらには災害に備える連携の推進など34の事業となっております。
また、これらの事業については、これまでの本市の政策とそごが生じることがないよう、庁内で十分に検討した上で、札幌市と協議を行ってまいります。
次に、中核的な自治体に行政機能が集約されることにならないかにつきましては、連携の目的には、御指摘のとおり、行政コスト削減や運営の効率化の実現が掲げられておりますが、一方では、それぞれの自治体の特徴を生かした密接な連携と効果的な役割分担を図りながら、圏域全体において、よりきめ細やかな住民サービスを提供することも掲げられておりますので、この連携によって必ずしも行政機能が集約されるものではないと考えております。
次に、今後の取り組みにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、さっぽろ連携中枢都市圏ビジョンに示されている取り組みの推進により、その効果を最大限引き出し、住民サービスの向上につなげるように取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(鈴木喜明)次に、第5項目めの質問に入ります。
(「議長、19番」と呼ぶ者あり)
○議長(鈴木喜明)19番、林下孤芳議員。
(19番林下孤芳議員登壇)
○19番(林下孤芳議員)次に、地域公共交通についてお伺いします。
私は、前職時代に交通事業に携わり、交通政策にもかかわってまいりました。公共交通は、国が進めた規制緩和、自由競争によって大きな環境の変化を経て、交通政策基本法の制定によって地方公共団体が中心になり、地域の交通施策を実施することが義務づけられました。しかし、今、多くの自治体では人口減少が急速に進み、公共交通の維持、存続のための財政的な負担に対する財源の裏づけもない中で判断が求められ、責任が預けられているのが現状だと思います。事業者も競争が激化する中でぎりぎりまでの企業努力を強いられ、公共交通は一部の大都市を除けば存続の危機を迎えております。
小樽市は、これまで公共交通に極めて恵まれた地域として、観光客が800万人に達するなど、国内や海外にも観光都市として有名となり、公共交通を維持するために労することなくその恩恵に浴してきましたが、残念ながら、これまでは行政も市民もそうした認識はほとんど育っていなかったと思います。
迫市長は、地域公共交通活性化協議会を軌道に乗せ、事業者との信頼関係を回復させるなど、迅速に課題の解決に取り組んでいることは評価しておりますが、地域公共交通活性化協議会での議論を踏まえ、小樽市が公共交通のさらなる充実や現状維持の方針を国に求めても、国がその求めに応じることになるのか大変疑問とするところであります。
地域公共交通について市長はどのような展望を持って取り組んでおられるのかお示しください。
私は、北海道新幹線開業に向けて、経済効果や観光客を小樽市や後志全域に呼び込み、観光客の定着や新たな需要の掘り起こし、住民の利用も期待できる公共交通を後志の各町村と連携して充実させることを訴えてきましたが、いまだ実現しておりません。
この間、並行在来線の鉄路での存続を求める各自治体の考え方の違いもあり、都市間バスの運行は鉄路の廃止につながるという考え方がありますが、倶知安町では後志支庁と連携して、倶知安―函館間や道南地区を結ぶ都市間バスの実証運行を行いました。利用実績が上がらず終了したと聞いております。
また、私どもが開催した後志道政懇話会では、今、学校の統廃合が進み、まちに高校がなくなり、人口減少で医師もいなくなる、公共交通もなくなれば地域に人が住めなくなるという発言が多くあり、地域の崩壊が現実に起きるのではないかという、率直に不安を感じておりました。
また、最近の自然災害の多発と大規模化は市民生活を脅かすばかりでなく、農業を初めとするあらゆる産業にも多くの被害をもたらしております。特に災害のたびに観光客が激減する事態が繰り返されております。大規模地震や火山の噴火、大雨や台風などのリスクを分散するためにも、後志地域の公共交通の充実が求められております。しかし、公共交通の事業者は、採算性の問題や取り巻く環境の悪化などから、新たな投資には極めて慎重と言われています。
一方で、JR北海道は、期間限定ながら札幌―函館間に臨時特急を運行し、毎年ほぼ満席状態で運行されていると聞いております。こうした実情を見る限り、公共交通の需要はあることは確実です。利便性が向上すれば、地域住民の利用や観光客も確実に増加することが期待されます。当面は後志地域の通学や通院の移動手段の確保や利便性を向上させるためには、事業者から理解される採算面の不安や環境整備に、小樽市が後志の各自治体と連携し、支援、協力体制を築くことができるかが大きな課題と思いますが、市長はこうした考え方についてどのような考えをお持ちなのか伺います。
小樽市は今観光客のさらなる確保と定着や、市民の移動手段を確保するという後志地域との課題の違いはありますが、後志地域とつなげる新たな公共交通のネットワークづくりを構築する必要があると考えますが、市長の見解を伺います。
以上、5項目めの質問を終わります。
○議長(鈴木喜明)説明員の答弁を求めます。
(「議長」と呼ぶ者あり)
○議長(鈴木喜明)市長。
(迫俊哉市長登壇)
○市長(迫俊哉)ただいま、地域公共交通について御質問がありました。
初めに、本市の地域公共交通につきましては、特に市内路線バスについては、人口減少に伴い利用者が年々減少しており、このままでは地域公共交通の確保が難しくなることから、市民や来訪者の移動に支障を来すのではないかと懸念しているところあります。
このため、路線バスを初めとした市内公共交通における利便性の向上と利用促進を図っていくとともに、安定した運営のもとで円滑に運行がなされるよう、関係機関と連携しながら、将来にわたる持続可能な地域公共交通網の構築を目指してまいりたいと考えております。
次に、後志地域での移動手段の確保等につきましては、本地域内でのバス利用者は減少傾向にあり、路線の廃止や減便等が行われている現状があることから、地域住民の日常生活に影響が生じているものと認識しております。
この課題は自治体の範囲を超えた調整が必要であり、現在、後志総合振興局が事務局となり、管内の全自治体及び交通事業者で構成する後志地域生活交通確保対策協議会において、生活交通の確保について連携、協力し、取り組んでいるところであります。
次に、後志地域の公共交通ネットワークづくりにつきましては、昨年12月に余市町まで開通した後志自動車道は、後志を縦貫する主要幹線道路となるものであり、高速道路を活用した地域間の新たな交通ネットワークの構築は、移動時間の短縮や災害時の機能補完、さらには後志地域の住民、観光客の足の確保の観点からも重要なものと考えております。
○議長(鈴木喜明)次に、第6項目めの質問に入ります。
(「議長、19番」と呼ぶ者あり)
○議長(鈴木喜明)19番、林下孤芳議員。
(19番林下孤芳議員登壇)
○19番(林下孤芳議員)次に、北海道新幹線活用小樽まちづくり協議会についてお伺いいたします。
北海道新幹線札幌延伸に向けて、小樽市は新駅周辺まちづくり計画策定会議を2015年に立ち上げ、議論を始めてきました。しかし、人口減少が見込まれる中で、どれだけの利用者が見込めるのか、負担に見合う効果はあるのかといった否定的な意見がある中で、策定会議では、新駅周辺の駐車場の整備や、小樽駅や観光地へのアクセスをどうするかといった方向が示されたのみと言っても過言ではありません。
私どもは、新幹線の開業に伴うまちづくりの現状について視察や研究を続けてきましたが、全国的に共通するのは、周辺利用者の確保はもとより、いかに新たな利用者をふやすかという取り組みや、地域の資源を生かし観光客を呼び込むまちづくりの取り組みでありました。しかも、開業の10年以上前から計画を立て、多くの提言を実現するためにさまざまな資金を活用した投資を募るなど、専門家や市民の意見を参考に、具体化には多くの時間と労力を重ね開業に間に合わせたという事例は多くあります。そうした実情を踏まえると、開業に向けた取り組みは全体的に加速しなければ間に合わないのではないかと危惧していたところであります。
また、小樽市は、長い間、運河を中心とする歴史的建造物などで多くの観光客に人気を維持してきましたが、将来的にも小樽観光を維持していくためには、まだまだ地域に眠っている観光資源を開発していく必要があると指摘してきましたが、残念ながら、これまでの新駅周辺まちづくり計画策定会議では、そうした提言も取り入れられることなく、活動は極めて限定的な議論に終始していたように感じていました。
迫市長は就任早々、北海道新幹線活用小樽まちづくり協議会を発足し、北海道新幹線を活用した小樽まちづくりという視点に立って協議を始められたことは高く評価されるものであります。委員からも早速、建設的な意見や提言が出されたと伺い、やっと本来の北海道新幹線を活用した小樽の将来像ができることへの期待が見えてきたと感動しております。
新駅周辺まちづくり計画策定会議と前後して奥沢水源地の堤体に穴があいていることがわかり、水源地の利用を断念することになりました。そこで、長い間、炊事遠足や市民の憩いの場として利用されてきた歴史ある場所を何とか再活用できないかといった市民の声が多くあり、桜の名所にしてほしいといったアイデアなどもあり、溢流路のライトアップも実施されてきました。
私は、そうした意見や市民の熱意を具現化したいとの思いで、北海道新幹線新小樽駅は旧水源地に近い条件を考えると、背後地には手つかずの自然が残されており、貴重な鳥類や動植物を含めた自然観察のスポットとして整備することによって、小樽の新たな大きな観光地として注目されると確信し、代表質問でも取り上げてきましたが、残念ながら、新駅周辺まちづくり計画策定会議でそうした議論は行われることはありませんでした。
迫市長のもとで昨年から開催されている北海道新幹線活用まちづくり協議会では、委員からも、自然を生かした新駅周辺の環境整備を検討すべきとの御意見があったと伺いましたが、市長はこの意見をどう受けとめているのかお伺いしたいと思います。
私はこれまで、新駅周辺まちづくり計画策定会議では、北海道新幹線を活用した小樽のまちづくりという視点が欠けていたのではないかと思ってきましたが、活用という表現を取り入れた市長の思いをお聞かせください。
北海道新幹線活用小樽まちづくり協議会の提言を具現化するためには、他市の例を見ても多くの時間がかかることが想定されますが、残された時間は限られており、今後の進め方についての考えもお示しください。
以上、再質問を留保し、質問を終わります。(拍手)
○議長(鈴木喜明)説明員の答弁を求めます。
(「議長」と呼ぶ者あり)
○議長(鈴木喜明)市長。
(迫俊哉市長登壇)
○市長(迫俊哉)ただいま、北海道新幹線活用小樽まちづくり協議会について御質問がありました。
初めに、協議会委員から出された自然を生かした新駅周辺の環境整備に対する私の考えにつきましては、平成29年3月策定の北海道新幹線新小樽(仮称)駅周辺まちづくり計画において、新幹線の開業効果を最大限に生かすためには、まちそのものの魅力や観光の魅力を磨き上げることが重要であるとしており、私としましても、奥沢水源地を初め新駅に隣接する勝納川など、周辺の豊かな自然を生かした環境整備について検討してまいりたいと考えております。
次に、協議会の名称に「活用」という表現を取り入れたことにつきましては、北海道新幹線の札幌延伸を好機と捉え、その取り組みを新駅周辺の整備でとどめるのではなく、本市全体のまちづくりを考える大きな契機にしたいと考えていたからであります。
次に、北海道新幹線を活用したまちづくりの今後の進め方につきましては、北海道新幹線新小樽(仮称)駅周辺まちづくり計画で示したまちづくりの方向性に沿って、開業効果を最大限に生かすための具体的な取り組み事項を検討し、その実践に向けたアクションプランの策定を約2カ年かけて行う予定であります。策定後には、新駅と市内中心部を結ぶ2次交通対策や、国内外からの観光客誘致促進などのソフト対策に取り組み、本市が単なる通過点となることのないよう、より多くの方が立ち寄りたくなる魅力あるまちづくりを、関係機関と連携しながらスピード感を持って進めてまいりたいと考えております。
(「議長、19番」と呼ぶ者あり)
○議長(鈴木喜明)19番、林下孤芳議員。
○19番(林下孤芳議員)何点か再質問をさせていただきます。
財政問題については、市長の市政執行方針を聞いても、既に歳入不足の対策については十分検討されているというふうに私も理解をしております。ただ、今示されました5年間のデータが示しているのは、やはり交付税が減額され、補い切れない財源を臨時財政対策債で穴埋めせざるを得ない、そういうことがこの五、六年続いてきたということが言えると思うのですけれども、財政運営はこういうことが続けば今後もさらに厳しさを増すというふうに考えますので、この今示されたデータがそういう理解でいいのか少し確認をしたいと思いますので、お答え願います。
それと、企業版ふるさと納税の関係ですけれども、私は、今、市長が進めようとしているいろいろな取り組みについて、やはり何とかこういったものと企業版ふるさと納税を連動させる方法はないのか、このことについて非常に関心を持っております。
過去にはやはり、ふるさと納税を通じて企業が小樽市に直接投資をするとか、あるいは古い話になるのですけれども、望洋台開発を手がけた企業が北海道新幹線の活用を見込んでこの開発に着手したというふうに聞いておりますけれども、そうしたことを考えますと、こういった企業にももう一度アタックをする、そのことによってまた大きく小樽の方向が変わっていくのではないかと私は期待をしながら、ぜひその点についても市長の考えをお聞きしたいと思っております。
次に、原発事故の避難計画についてですけれども、小樽市が地域防災計画を平成30年2月にまとめた時点では、職員の安全の確保のため、防護服、マスク、線量計など機材の整備に努めるものとするとなっていますが、実はこの間、何回か、例えば本当に避難に当たるべき消防職員や、あるいは関係職員、そして避難に当たるバスの乗務員などの防護服が配置されているのかということを何回か聞いてきた経緯があるのですけれども、それがそこまで、強いて言えば消防職員と小樽市の関係職員のみで、バスで避難をさせるべきバスの乗務員などについての回答は、どうしても見えてこないという状況です。
結局、PAZやUPZに入っていかなければ防災服というのは準備されていないのではないかということが懸念されるものですから、その点について、配備されているのであれば、配備されているというふうにお答えをしていただきたいと思うのですけれども、その点について確認をしたいと思います。
また、先ほど新潟市の事例を申し上げましたけれども、例えば住民避難のために救援に行ったバスが、除染をする場所とか、除染をしなければならないという事象が発生した場合に、どこで、どういう対応をするという道の防災計画ではなっているのか、その点について小樽市としては不安はないのか、その点について考え方をお聞きしたいと思います。
それから、さっぽろ連携中枢都市圏ビジョンの関係ですが、これは今まで多くの専門家もかかわって議論をされてきたことですから、そのことは尊重したいと思いますけれども、これまで国が進めてきた市町村合併や、これから進めようとしている圏域という問題についても、私ばかりではなくて、新聞報道などによりますと、多くの自治体が疑問を持っているということが報道されております。
そういった意味で再度確認したいと思うのですけれども、いつの間にか、これから進めようとする国の圏域、そういったことに取り込まれていく心配はないのか。小樽市の行政機関が行政機能を失うとか、大幅に制限をされる、あるいは制度が変えられるということはないという理解でよいのか、その点だけは確認をしておきたいと思います。
○議長(鈴木喜明)林下議員に申し上げますけれども、質問の中で、バスが汚染された場合の除染云々というのは触れていますけれども、答えの中にはその件は出てきてはいないのです。そういう事例があったのでということだけで触れていますので、答えられたら答えていただくという形にします。
説明員の答弁を求めます。
(「議長」と呼ぶ者あり)
○議長(鈴木喜明)市長。
○市長(迫俊哉)林下議員の再質問について、お答えをさせていただきたいと思います。
私がお答えするのは、まず企業版ふるさと納税についてのお尋ねでございましたけれども、先ほど答弁を申し上げまして、今年度から行います北海道・小樽ビジネスフォーラムなどを通じてということで例示させていただきましたが、新年度になりましたら地域再生計画を策定し、国の認定を受けた上で、この企業版ふるさと納税に取り組んでいきたいというふうに考えておりますけれども、御指摘のとおり、さまざまな機会を通じて、この小樽に企業版のふるさと納税をしていただけるような取り組みをしっかりと進めていきたいなというふうに思っているところでございます。
それから、原発の避難計画につきまして、バスの乗務員に対する装備の御質問が再質問でございましたけれども、バス乗務員に対します防護服等の装備につきましては、先ほども答弁させていただいたように、北海道が準備をするということになっておりまして、これは装備をされているということでございます。
ただ、個別のバス事業者、あるいはその乗務員の皆さんにこのことについて周知が行き届いていなかったということで、そういった声が報道されたということもありますので、改めて北海道におきましては、こういった運転手用の防護資機材が装備されているということを、リーフレットですとか、そういったものを通じて今周知に努めているということで伺っているところでございます。
それから、住民避難のために使用したバスの除染についてでございます。除染の場所について不安がないのかということでございますけれども、これは大変申しわけございません、バスの除染については承知しておりませんので、委員会等でお答えできればなというふうに思っているところでございます。
それから、さっぽろ連携中枢都市圏について、いろいろな御意見がある中で御指摘があったところでございますが、先ほど答弁をさせていただいたように、本市におきます特にソフト分野、ソフト事業が中心になって我々は連携を進めていこうというふうに思っておりますけれども、本市の強みである観光、産業、そういった分野における各種事業で相乗効果を期待させていただきたいというふうに思っているところでございますし、公共施設の相互利用、こういったことを検討していく中で、あくまでも住民サービスの向上に向けた取り組みをこれから進めさせていただきたい、このように思っているところでございます。
(「議長」と呼ぶ者あり)
○議長(鈴木喜明)財政部長。
○財政部長(前田孝一)私から、再質問の冒頭にございました、財政問題の件で答弁させていただきます。
本質問の冒頭で林下議員も順に質問されていましたとおり、地方税、特に市民税につきましては、ほぼ過去5年間を見ても横ばい状況でございます。一方で、交付税、それと臨時財政対策債を合わせました実質的な交付税については、この5年間で毎年減少傾向にあるということで、大変厳しい状況にあるというふうに認識しております。
市長の答弁でもございましたけれども、収支改善プランにある取り組みを確実に進めながら、一方で、新年度予算につきましても、子育て支援、産業振興、こういったことで何とか、特に生産年齢人口の減少に歯どめをかけながら、将来を見据えた予算を計上したというふうに考えてございます。そういったことで、厳しい状況にあるのは間違いございませんが、今後も財政の健全化に向けて努めてまいりたいと思ってございます。
(「議長、19番」と呼ぶ者あり)
○議長(鈴木喜明)19番、林下孤芳議員。
○19番(林下孤芳議員)再々質問はいたしませんので、後ほどの委員会で質問させていただきます。
○議長(鈴木喜明)以上をもって本日の会派代表質問を終結し、本日はこれをもって散会いたします。
散会午後3時53分
会議録署名議員
小樽市議会 議 長 鈴 木 喜 明
議員 中 村 吉 宏
議員 中 村 誠 吾