開会午前10時00分
○議長(横田久俊)これより、平成27年小樽市議会第1回定例会を開会いたします。
直ちに、本日の会議を開きます。
本日の会議録署名議員に、小貫元議員、山田雅敏議員を御指名いたします。
日程第1「会期の決定」を議題といたします。
お諮りいたします。
本定例会の会期を、本日から3月16日までの20日間といたしたいと思います。
これに、御異議ございませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(横田久俊)御異議なしと認め、さように決しました。
日程第2「議案第1号ないし第51号並びに報告第1号及び第2号」を一括議題といたします。
まず、議案第1号ないし第50号並びに報告第1号及び第2号について、市長から提案理由の説明を求めます。
(「議長」と呼ぶ者あり)
○議長(横田久俊)市長。
(中松義治市長登壇)(拍手)
○市長(中松義治)平成27年第1回定例会の開会に当たり、ただいま上程されました各案件について提案理由の説明を申し上げるのに先立ち、今定例会が私にとりまして任期の締めくくりとなりますので、これまでの4年間の市政運営を振り返り、所信の一端を申し述べさせていただきます。
まず、この4年間、市政の運営に当たり、議員の皆様はもとより、市民各界、各層の多くの方々から温かい御支援と御協力をいただきましたことに、心からお礼を申し上げます。
私が市長に就任した平成23年4月は、未曾有の被害をもたらした東日本大震災が発生した翌月のことでありました。
我が国全体が自然災害の恐ろしさを実感するとともに、津波などで多くの方がお亡くなりになり、日本全体が重く沈んだ空気に覆われていたように思います。映像でも伝えられた被災地の状況はあまりにも衝撃的であり、さまざまな価値観を変えたとも言われております。
また、原子力発電所の事故による風評被害から、国内のみならず海外の観光客も激減するなど、経済環境への2次被害も甚大なものがありました。
本市においても、観光の中心である運河や堺町通りなどでは観光客が閑散とした状況となったことから、市内経済への大きな影響を憂慮し、東日本大震災に係る緊急経済対策として、落ち込んだ観光客の回復を図ろうと、札幌に宿泊している観光客に小樽までのバス券を贈呈する10,000人ウェルカム事業や、市内宿泊者に商品券を贈呈する観光振興券交付事業を実施いたしました。さらには、小樽は安全であることを海外へPRするなど情報発信に努めていたところ、折よく台湾立法院の王金平院長が来樽され、台湾に小樽の安全を伝えていただけたことは大変ありがたく思いましたし、台湾からのツアーがいち早く再開されたことも強く記憶に残っております。
我が国においては、地震や津波ばかりでなく、土砂、火山などの災害も各地で発生していることから、私は、市民の安全・安心な生活を守るための防災対策は最重要課題であると改めて認識し、避難所への防災行政無線や備蓄品の配備、津波ハザードマップの作成、避難訓練支援などの取組を進めてきたほか、平成25年には、運河のまちのつながりから、愛知県半田市、宮崎県日南市と災害時相互応援協定を締結したところであります。
さて、社会・経済情勢の変化は、ますます加速しているように感じます。アベノミクスの「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」により、我が国経済は多くの経済指標が改善傾向を示し、国全体としては回復基調にあると言われておりますが、一部の企業や東京を中心とした大都市圏での効果に限定されており、いまだ地方においては、賃金や消費の面で、その効果が行き届いていないのではないかと考えております。
本市においては、歯止めがかからない人口減少、さらには若い世代の減少による少子高齢化の進行が大きな課題となっております。人口減少に伴う市内経済の低迷や税収の減少、厳しい財政状況の中での社会資本の老朽化への対応など、課題は山積しておりますが、市民の皆さんが安心して豊かな生活を営むことができるよう、持続可能で自立した市民力を生かした「活力あるおたる」の創造を目指し、まちづくりを進めていく必要があります。そのため、本市の個性あふれる地域資源である、歴史・伝統・文化・自然環境などの本市が持つ強みと、市民の皆さんからいただいた多くの貴重な御意見や御要望を最大限生かすとともに、「市民力の活用」「安心・安全なまちづくり」「魅力ある生活都市の創造」の三つの基本姿勢と財政の健全化を念頭に置きながら、さまざまな課題に対して全力で市政運営を行ってまいりました。
まず、長年にわたり取り組んでまいりました市立病院の統合新築につきましては、昨年12月に小樽市立病院として開院することができました。建設場所や財源などさまざまな課題がありましたが、市民の皆さんが待ちに待った病院を無事完成させることができ、うれしく思うと同時に、責任を果たせたものと安心しているところであります。
小樽市立病院は、他の医療機関で担うことのできない疾患の治療や、地域医療連携機能を有する小樽・後志地域における基幹病院としての役割を担うこととなりますので、今後も健全な経営に向けた努力を続けていく必要があると考えております。
雇用の場の創出と拡大を目指す地域経済の活性化につきましては、就任当初から力を入れて取り組んでまいりました。私みずから小樽観光や地場産品のPR、クルーズ客船や新たな企業の誘致のためトップセールスを行い、その効果は着実に現れてきたものと考えております。
平成23年に日本海側拠点港に選定されたことを受けて環日本海クルーズ推進協議会が設立されたことを契機に、誘致活動を強化したことなどにより、クルーズ客船の寄港数が大きく増加したほか、関連する港湾施設の整備も積極的に進めてまいりました。
観光入込客数は、東日本大震災前の水準を超えるまでに回復し、さらにはアジアの国々を中心に海外からの観光客が増加していることから、外国人観光客に対応する小樽国際インフォメーションセンターを開設いたしました。
また、小樽観光の新たな魅力の創造に向けては、平成27年度完成予定の旧国鉄手宮線の整備や、小樽kawaiiティーパーティーの開催補助のほか、北運河や天狗山など、将来に向けた新たな観光拠点としての可能性を検討しているところであります。
企業誘致の取組では、企業に対する優遇制度の拡充を図るとともに、本市で初めてとなる東京や大阪での企業立地トップセミナーを開催いたしました。こうした誘致活動により、東洋水産株式会社や一正蒲鉾株式会社、横浜冷凍株式会社、北海道漁業協同組合連合会などの工場や物流センターが建設され、操業開始に至るなど、着実に企業の集積を進めてきたところであります。また、株式会社コトメンフーズの工場が建設着工されたほか、北海道内の電力の安定化と多元化が期待される石狩湾新港のLNG火力発電所建設計画における1号機の土木工事着工など、着々と取組の成果も現れてきているところであります。
地場産業の振興では、販路拡大に向けた海外バイヤーとの商談会の開催や、国内最大規模の商談展示会等への出展など、市内中小企業の商談機会がより多く創出されるよう、後押しを行ってまいりました。現在、市内の会社訪問を継続して行っておりますが、効果的な経済対策の立案に向けて、今後も多くの声をお聞きしてまいりたいと考えております。
また、中心市街地のにぎわいづくりでは、懸案でありました稲穂1丁目再開発施設の跡地に、サービス付き高齢者向け住宅と医療機関の新築移転に向けた事業が進められており、市としましても、今後、商業環境の変化に合わせた商店街振興に取り組んでまいりたいと考えております。
次代を担う子供たちへの取組としては、教育環境の整備といたしまして、少子化による小・中学校の小規模化が進んでいることから、教育委員会において学校規模・学校配置適正化基本計画に基づく適正配置を進めているところであり、この再編とあわせて校舎の耐震化や改築などの施設整備にも取り組んできたところであります。
そのほか、安全でおいしい給食を提供するため、新学校給食センターによる調理を開始したほか、子供の居場所を確保するため、放課後児童クラブの充実にも努めてまいりました。
また、学力と教育力の向上を図るため、学校や家庭での音読活動や、実物投影機などのデジタル教材の導入を進めてまいりました。
子育て環境の整備では、子供の預かりを行うおたるファミリーサポートセンター事業を平成23年度から開始したほか、奥沢保育所や子育て支援センターを併設した銭函保育所の建替えを行うとともに、延長保育、産休明け保育などを拡充し、保育環境の充実に努めてまいりました。
高齢者への支援としては、急速に進む高齢化に適切に対応するため、小樽市社会福祉協議会が運営する小樽・北しりべし成年後見センターへの支援拡大や、要介護高齢者の在宅生活を支える定期巡回・随時対応サービス、複合型サービスなどの地域密着型サービスを開始いたしました。
また、平成27年度からは、地域包括支援センターを1か所増設し、高齢者の相談体制を強化するなど、地域包括ケアシステムの構築に向けた取組を進めています。
障害者への支援としては、相談支援所の増設による相談支援体制の充実を図るとともに、さまざまな機関と連携しながら、障害者への虐待防止を図るための組織づくりを進めるなど、障害者の自立した日常生活や社会生活を営むための環境整備に努めてまいりました。また、平成25年に施行された障害者総合支援法に基づき、ニーズに対応した障害福祉サービス等の提供を行ってまいりました。
医療環境の充実につきましては、さきに申し上げました市立病院の統合新築のほか、夜間急病センターを新築し移転いたしました。一方、子供を産み育てる環境づくりのために重要な周産期医療については、その体制確保に向け、引き続き努力してまいりたいと考えております。
住環境の整備では、オタモイ市営住宅の建替えを行うとともに、リフォーム費用の一部を助成する住宅リフォーム助成事業に取り組みました。
公共施設などの老朽化対策では、道路や橋梁などの計画的な修繕更新や、民間大規模建築物の耐震診断の支援、市有建築物の耐震診断を行うほか、本市の地域資源の一つである歴史的建造物の保全に対する支援に継続して取り組んでまいります。
まちづくりでは、昭和47年の北海道新幹線建設促進後志・小樽期成会の設立以来、長きにわたって要望を続けてきました北海道新幹線の札幌までの延伸が、40年の節目の年に正式に決定され、さらに、本年1月14日には、政府・与党整備新幹線検討委員会において、札幌までの開業時期の5年前倒しを目指すこととされたところであります。本市としましても、今年度から3か年かけて(仮称)北海道新幹線新駅周辺まちづくり計画の策定を進めていくこととしております。
消防力の強化では、高機能消防指令センターの運用を開始したほか、消防救急無線のデジタル化への移行や、消防署長橋出張所と塩谷出張所を統合した(仮称)オタモイ出張所の建設に向けた取組を進めてまいりました。
重要課題である財政健全化につきましては、平成24年度の予算編成から他会計からの新たな借入れを行わずに収支の均衡を図ってまいりました。しかしながら、平成26年度末では約42億円とまだ多額の借入残高があることから、真の財政再建に向けて、引き続き財政健全化の取組を進める必要があります。
そうした中、限られた財源を有効に活用し、多様な行政ニーズに対応するには、適切な事業の選択をはじめ事業の重点化や収入確保に向けた取組と、効果的・効率的な行財政運営の推進が必要であることから、小樽市総合計画後期実施計画の策定や、PDCAサイクルの確立に向けた行政評価の取組を進めてまいりました。
また、本市が抱えるさまざまな課題への解決に向け、市民の皆さんと議会、行政が互いの役割や責任を理解し合い、協力して取り組んでいくことが何より重要であることから、市民参加と協働によるまちづくりを進めるための基本的なルールとなる小樽市自治基本条例を平成26年4月から施行いたしました。以上、これまでの4年間を振り返り、主な施策・事業の概要を説明いたしましたが、市政の運営に当たっては、主体性と熱意を持って、また、創意工夫を重ねながら、しっかりと前を向いて取組を進めていかなければなりませんし、市民の皆さんお一人お一人が充足感を持って将来への夢を抱きながら地域で暮らすことができるよう、心豊かで活力あるまちづくりを進めていくことが重要であると考えております。
これまでの市政運営に当たって、議員の皆さんをはじめ市民の皆さんお一人お一人の力強い御支援に対し、改めて感謝申し上げます。
次に、平成27年度予算編成に当たっての基本的な考え方を説明申し上げます。
新年度当初予算は、改選期であることから、継続的な事務事業などを中心とした骨格予算として編成いたしましたが、効果の早期発現を勘案した上で、街路防犯灯のLED化助成を当初予算に計上したところであります。
また、国の緊急経済対策の一つである新しい交付金に対応する事業を、26年度補正予算への前倒しにより計上したところであります。
歳入の確保につきましては、地方消費税交付金の増加は見込まれるものの、市税は人口減や制度改正等の影響により、国が示しているような大幅な税収の増加が期待できないほか、臨時財政対策債も大きく減少していることから、骨格予算ではありますけれども、引き続き予算編成に財源不足が生じている状況にあります。
このことから、できる限り一般財源の歳出縮減に努めたところでありますが、結果として約5億4,000万円の財源不足が生じたため、26年度と同様に財政調整基金を取り崩し、収支均衡を図ったところであります。
それでは、国の緊急経済対策の一つとして創設された新たな交付金に対応した取組と、新年度に向けた主要施策の概要を申し上げ、議員及び市民の皆さんの御理解と御協力をいただきたいと思います。
初めに、国の新たな交付金に対応した取組であります。
我が国は、人口減少時代への突入と世界の主要国の中では最も早い少子高齢化の到来を迎え、国民の生命を守ることや、持続的な豊かさをどう実現していくのか、これまでの価値観や考え方を大きく転換する必要性に迫られております。
昨年5月には日本創成会議が、2040年までにおよそ半分の自治体で消滅の可能性があるとし、今、目の前に横たわる現実として、国民の大きな関心事となりました。
このため、国もまち・ひと・しごと創生本部を設置し、人口減少克服と地方創生を目指す取組をスタートさせたところであり、昨年12月には、今後目指すべき将来の方向性を提示する長期ビジョンと、今後5か年の目標や施策の基本的な方向、具体的な施策を提示する総合戦略を策定いたしました。
その中では、地方における安定的な雇用を創出することや地方への新しい人の流れをつくることにより、東京一極集中を是正することや、若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえることなどが目標として示されたところであります。また、地方自治体にも、地方版の総合戦略などの策定について努力義務が課されたところであり、本市では、小樽市人口対策会議において趣旨を同じくする検討を進めているため、新年度での策定に向け取り組んでいくこととしています。
そのような流れの中、国は、個人消費等に弱さが見られることなど、アベノミクス効果が地方へ十分に波及していないとして、地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策として平成26年度補正予算を成立させ、補正予算事業の一つとして地域活性化・地域住民生活等緊急支援のための交付金を計上いたしました。
本市において対応する取組をこのたび補正予算として計上しましたので、概要を説明申し上げます。
一つには、地方における消費喚起を支援する地域消費喚起・生活支援型で、プレミアム商品券を発行することで消費喚起を図ってまいります。プレミアム率は北海道の上乗せ分5パーセントを含む20パーセントとし、1万2,000円分の買物ができる商品券を1万円で販売するものであります。また、子育て世帯への生活支援といたしまして、18歳未満の方1人につき4,000円分の商品券を支給するものであります。
もう一つは、今後、自治体が策定する総合戦略にかかわる施策を国が先行して支援する地方創生先行型で、四つの柱から構成され、一つは「産業振興による働く場の創出・拡大」であります。
新たなものとして、「地場産業の振興」では、ポートセールスやロシア沿海地方の市場調査を行い、小樽港の物流促進に向けた取組などを進めます。
「企業立地の促進」では、食品や物流関連企業を対象に整備投資に関する意向調査を実施し、効果的な企業誘致活動につなげてまいります。
「交流人口の拡大」では、増加する海外からの観光客の利便性向上を図るため、観光拠点の一つである堺町商店街が運営する観光案内所の通訳配置に対する支援を行うほか、クルーズ客船の寄港時などにおける移動式公衆無線LANを整備し、受入れ環境の充実を図ります。
次に、「子育て支援と教育の充実」についてであります。
「保育等に係る支援」では、市内の保育所、幼稚園、子育て支援センターの絵本や遊具などの充実を図るとともに、子育て中の親子が市内で開催される行事に安心して参加できるよう、授乳やおむつ替えができる環境を整備いたします。
「教育の充実」では、学力と教育環境の向上を目的とした実物投影機などの配置を進めてまいります。
次に、「小樽市への居住促進」につきましては、利用可能な空き家の活用や危険な空き家に対する取組など、昨年公布された空家等対策の推進に関する特別措置法に基づく対応に向けた検討を進めるため、市内一円の空き家調査を実施いたします。
最後に、「地方版総合戦略の策定」につきましては、まち・ひと・しごと創生法に基づく地方人口ビジョンや今後5か年の目標や施策の基本的方向、具体的な施策をまとめる地方版総合戦略を策定する経費を計上したものであります。
続きまして、平成27年度当初予算の主要施策の概要につきまして、第6次小樽市総合計画の中のまちづくり5つのテーマの体系に沿いながら、説明申し上げます。
まず、「心豊かに学び、地域文化をはぐくむまち(生涯学習)」の分野についてであります。
学校教育では、リサイクルやごみ減量に対する教育の取組として学校給食で提供している牛乳パックのリサイクルを各小・中学校で実施するほか、学校だけでは対応が困難な児童・生徒のいじめや不登校などの問題解決に向けて、スクールソーシャルワーカーを配置いたします。また、子供たちの国際感覚を育むため、小学校5、6年生と中学生を対象に、英語漬けの時間を過ごす「小樽イングリッシュキャンプ」を昨年度に引き続き実施いたします。
学校施設の整備につきましては、手宮地区と山手地区の統合小学校建設を引き続き進めるほか、高島・手宮地区の統合中学校開校に向け、現手宮西小学校の校舎、屋内運動場の改修に向けた実施設計を行います。
また、朝里中学校の木造・コンクリートブロック造校舎改築の実施設計や、奥沢小学校、銭函中学校の耐震補強及び大規模改修を行ってまいります。
社会教育では、地域教育力の向上と活性化を図るため、生涯学習プラザを拠点とした家庭教育ネットワークの構築など、学校、家庭、地域全体で子供たちを育む体制づくりを推進するほか、引き続きおたる地域子ども教室や学校支援ボランティアなどの取組を行ってまいります。
放課後児童クラブにつきましては、平成27年4月から対象児童を小学校6年生まで拡大するとともに、各クラブに2名の支援員を配置いたします。これまで一部のクラブで土曜日は開設をしておりませんでしたが、平日・土曜日通年開設を全クラブに拡大いたします。
2点目は、「ともに支え合い、安心して健やかに暮らせるまち(市民福祉)」の分野についてであります。
子育て支援では、本年4月から子ども・子育て支援新制度がスタートすることから、制度改正に伴う所要の経費を計上したほか、子供とその保護者の方が、教育・保育施設や子育て支援事業などを円滑に利用できるよう、新たに専任の相談員を配置いたします。
また、改築を進めておりました銭函保育所につきましては、市内3か所目となる地域子育て支援センターを併設し、本年4月から新園舎を開園いたします。
高齢者福祉では、中部地域包括支援センターを分割し、済生会小樽病院内に新たに南部地域包括支援センターを設置するほか、地域包括ケアシステムの構築に向けて、在宅医療と介護サービスを一体的に提供できる体制整備に向けて取組を始めます。
保健衛生では、エボラ出血熱患者等を指定医療機関へ移送するための車両改造などを行い、感染症に対する体制強化に努めてまいります。
病院統合新築事業につきましては、旧市立小樽病院の解体と駐車場の整備を進めてまいります。
3点目は、「安全で快適な住みよいまち(生活基盤)」の分野についてであります。
まず、街路防犯灯のLED化につきましては、町会をはじめ皆様方から多くの要望をいただきましたことから、平成27年度から3か年の予定で、助成率を90パーセントとする助成制度を行います。
次に、公共建築物や上下水道、道路、橋梁などの耐震化や老朽化対策につきましては、長期にわたる取組が必要となってくることから、道路ストック修繕更新計画や橋梁長寿命化計画などに基づく計画的な更新や維持・管理を実施し、市民生活の安全と安心のために必要な整備を進めるほか、総合福祉センターなど市有建築物の耐震診断や市内の民間大規模建築物所有者に対する耐震診断費用の助成を引き続き実施してまいります。
また、おたるドリームビーチへの歩行者の安全を確保するため、ガードレールなど交通安全施設の整備を行うことといたしました。
市街地整備としましては、新幹線新駅周辺整備などの指針となるまちづくり計画の策定に向けて、交通量推計や観光客アンケート調査などを実施してまいります。
防災・減災対策では、避難所の環境整備を引き続き実施するほか、町会等での研修など、津波避難訓練の支援を継続してまいります。
また、市民や観光客の迅速で的確な避難を図るための避難誘導看板や海抜表示板を引き続き整備するとともに、避難行動要支援者名簿を作成いたしたいと思います。
原子力防災対策としましては、連絡通信機器や地図情報システムの整備などを進めてまいります。
消防体制の整備につきましては、(仮称)消防署オタモイ出張所新庁舎を建設するための実施設計のほか、消防救急無線のデジタル化移行に対応するシステム整備を引き続き進めてまいります。
4点目は、「人・もの・情報が交流する活力あるにぎわいのまち(産業振興)」についてであります。
商店街関係では、市内商店街や市場などの活性化に向けた取組を支援するにぎわう商店街づくり支援事業や商店街活性化支援事業、さらには店舗家賃等の一部を助成する空き店舗対策支援事業に引き続き取り組みます。
クルーズ客船関連では、多くのクルーズ客船が本市へ寄港することにより観光消費が期待できることから、小樽港クルーズ推進協議会や環日本海クルーズ推進協議会を中心に、引き続き積極的な誘致活動を行うとともに、受入れ体制の強化に努めてまいります。
港湾施設の整備につきましては、クルーズ客船や外航船などへの対応を含め、老朽化した第3号ふ頭と第2号ふ頭の岸壁及び附帯施設の改良工事や、合同庁舎周辺の臨港道路の整備を行うほか、小樽港を取り巻く諸情勢の変化に対応するため、港湾計画の改訂に向けた作業を進めてまいります。
姉妹都市との交流では、ダニーデン市とは提携35周年、ソウル特別市江西区とは提携5周年の年に当たることから、使節団による訪問を行ってまいります。
5点目は、「自然とまちなみが調和し、環境にやさしいまち(環境保全)」についてであります。
桃内にあります廃棄物最終処分場につきましては、かさ上げによる延命化を図るため、埋立計画を策定してまいります。
また、し尿及び浄化槽汚泥につきましては、現行の処理施設が老朽化したことから、中央下水終末処理場において施設整備を行い、平成27年度から処理を行います。
公園の整備では、小樽公園の再整備を引き続き実施するほか、入船公園やさくら公園などの老朽化した遊具の更新を実施してまいります。
最後に、その他の施策について申し上げます。
社会保障・税番号制度、いわゆるマイナンバー制度の導入につきましては、国の導入スケジュールに合わせてシステム整備を行ってまいります。
生活困窮者自立支援法に基づく取組では、生活サポートセンターを開設し、就労などの自立に向けた支援を行います。
また、昨年4月に消費税率が引き上げられたことにより、所得の低い方々や子育て世帯の負担を緩和するため、臨時的な措置として国が実施する臨時福祉給付金と子育て世帯臨時特例給付金を、昨年度に引き続き、支給業務に係る所要額を計上いたしました。
なお、財政事情により、平成16年度から11年間にわたり実施しました一般職員の給与の独自削減については、この間の財政健全化に向けた努力もあり、22年度決算で累積赤字が解消されたことや、職員団体との交渉経過も踏まえ、新年度から国公準拠の給料表に戻すことで考えております。あわせて、今年度の人事院勧告による給与の総合的見直しを受け、行政職においては経過措置を設け、平均2パーセントの給与の引下げなどを行うこととしたものであります。
次に、今定例会に上程された各案件について説明申し上げます。
初めに、議案第1号から議案第14号までの平成27年度各会計予算について説明申し上げます。
最初に、平成27年度一般会計予算の主なものについて説明申し上げます。
まず、歳入についてでありますが、市税につきましては、国全体では地方税の大幅な増収が見込まれておりますが、本市においては、人口減や税制改正に伴う法人市民税の法人割の税率引下げ、固定資産の評価替えに伴う固定資産税の減収が見込まれることから、前年度と比較して1.7パーセント、2億2,700万円減の129億2,220万円を見込みました。
地方交付税につきましては、国の地方財政計画の伸び率などを基本に、本市の特殊事情を勘案しながら積算した結果、普通交付税をほぼ平成26年度当初予算額並みの153億4,000万円と見込みましたが、特別交付税は改選後の肉づけ予算等に係る財源とするため、当初予算への計上を留保したところです。
地方消費税交付金につきましては、消費税増税の影響などから、43.6パーセント、6億4,700万円増の21億3,000万円を見込みました。
また、歳出について主なものについて経費別に申し上げますと、いわゆる義務的経費では、職員給与や各種委員会等の委員報酬の独自削減の解消などの影響により、人件費が0.3パーセントの増、扶助費については、子ども・子育て支援新制度に伴う増額が見込まれますが、生活保護費の減額や、平成26年度に実施した臨時福祉給付金や子育て世帯臨時特例給付金について給付額を減額して実施することなどにより0.7パーセントの減、公債費が12.7パーセントの減となったことにより、合計で2.7パーセントの減となり、歳出合計に占める割合は、前年度を0.4ポイント下回る58.4パーセントとなりました。
行政経費では、市長及び市議会議員選挙費や、子ども・子育て支援新制度に係る放課後児童クラブの対象児童拡大と支援員の増員に伴う経費の計上などにより、4.5パーセントの増、建設事業費につきましては、手宮地区及び山手地区の統合小学校改築事業や、その他小・中学校校舎等の耐震補強等事業を推進するための所要の経費を計上したことなどにより、15.5パーセントの大幅な増となりました。
負担金、補助及び交付金につきましては、既存街路防犯灯のLED化推進のための助成経費や石狩湾新港管理組合負担金などの増により4.7パーセントの増、維持補修費につきましては、大部分を占める除雪費につきまして、当初予算では4月から6月までの所要経費のみを計上したことにより、67.4パーセントと大幅に減、繰出金につきましては、青果物卸売市場事業、介護保険事業、後期高齢者医療事業及び下水道事業分で増となりましたが、水産物卸売市場事業、国民健康保険事業、住宅事業、簡易水道事業、産業廃棄物処分事業、病院事業及び水道事業分が減となり、総額では2.9パーセントの減となりました。
次に、特別会計及び企業会計の主なものについて説明申し上げます。
国民健康保険事業におきましては、歳出では、被保険者数の減少などより、保険給付費が1.3パーセント減の118億363万円となるほか、制度改正により、共同事業拠出金が89.3パーセント増の39億4,952万円となりました。歳入では、保険給付費の減に伴う国庫支出金等の減が見込まれるほか、保険料の予算総額は0.7パーセント減の27億1,450万円となりました。
介護保険事業につきましては、3年に1度の計画の策定に伴い、これまでの利用実績と今後の利用見込みを勘案し算定した結果、保険給付費は0.2パーセント増の137億9,182万円、介護予防推進のための地域支援事業費は15.2パーセント増の2億4,007万円となり、保険料につきましては7.0パーセント増の27億4,109万円と見込みました。
後期高齢者医療事業につきましては、保険料14億4,423万円、低所得者等に対する保険料軽減に係る公費負担金4億9,515万円及び事務費3,551万円を事業の実施主体である北海道後期高齢者医療広域連合へ支出するものであり、前年度に比べ1億4,055万円の減となっておりますが、これは主に徴収する保険料について保険料軽減対象の拡大及び実績を基に算定した結果、減となったためであります。
病院事業につきましては、旧市立小樽病院解体、駐車場整備として5億9,100万円を計上し、この事業をもって小樽市立病院統合新築工事は全て完了することとなります。
平成27年度は、小樽市立病院が通年で開院する、スタートの年であります。
新病院の目標は、質の高い信頼・安心できる医療を小樽市民だけではなく後志の住民にも提供することです。このため、総合的診療体制のとれる地域完結型病院を目指してまいります。
また、病院の機能分化や役割分担、医療機関相互の連携と地域への貢献が求められている中、地域医療の中心的役割を担うため、他の医療機関との連携を進め、病院事業管理者の下、職員一丸となって健全で自立した病院経営に努めてまいります。
水道事業につきましては、長期的かつ安定的な水の供給を図るため、配水管や送水管の更新や耐震化を進めるとともに、浄水場や配水池の老朽化した施設の更新を行うほか、清風ヶ丘配水槽の移設工事を実施してまいります。資金収支の見通しは、平成27年度末においても引き続き資金余剰となる見込みであり、今後とも給水収益に見合った効率的な事業運営に努めてまいります。
下水道事業につきましては、処理場やポンプ場の機械・電気設備などの老朽化した施設の更新を進めるとともに、汚水管や雨水管の整備を実施してまいります。資金収支の見通しは、平成27年度末においても引き続き資金余剰となる見込みであり、今後の事業運営に当たりましても、効率的で健全な経営に努めてまいります。
産業廃棄物等処分事業につきましては、今年度も国道5号の忍路防災関連事業に伴う土砂搬入が予定されていることから、収益的収入は大幅な増を見込んでおり、収益的支出においては土砂搬入による業務増となりますが、平成27年度の収益的収支としては黒字が見込まれます。
以上の結果、平成27年度の財政規模は、一般会計では550億4,786万1,000円、特別会計合計では366億7,393万円、企業会計合計では234億4,189万1,000円、全会計合計では1,151億6,368万2,000円となり、前年度予算と比較いたしますと、一般会計は2.0パーセントの減、特別会計は4.5パーセントの増、企業会計は30.4パーセントの減となり、全会計では7.8パーセントの減となりました。
次に、議案第15号から議案第21号までの平成26年度各会計補正予算について、主なものを説明申し上げます。
一般会計では、まず歳出におきまして、国の地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策としての新たな交付金により、地域の消費喚起・生活支援や、総合戦略の策定及び地方創生施策の先行的実施に対し、国が支援を行うということですので、それらにつきまして前倒しにより補正予算に計上し、平成27年度に繰り越した上で事業実施をしてまいりたいと考えております。
その主なものといたしましては、地域消費喚起・生活支援型のメニューとして、プレミアム付商品券の発行や、子育て世帯に対する商品券の支給、地方創生先行型のメニューとして、産業振興による働く場の創出・拡大や、子育て支援と教育の充実、さらには本市への移住促進などに取り組んでまいります。
歳入におきましては、昨年度基金に積み立てしました地域の元気臨時資金基金を全額取り崩し、保育所建設事業などの財源に充当したほか、普通交付税及び市債についての増額など、所要の補正を計上いたしました。
以上の結果、一般会計における補正額は、歳入歳出ともに5億3,532万2,000円の増となり、財政規模は581億8,789万1,000円となりました。
次に、特別会計及び企業会計の主なものについて説明申し上げます。
まず、国民健康保険事業につきましては、保険給付費の増額等について、住宅事業につきましては、繰越明許費として、オタモイD住宅の用途廃止事業費を計上いたしました。
次に、病院事業につきましては、新病院開院準備に伴い、職員の時間外手当が当初予想を上回ったことなどにより、所要の補正を計上いたしました。
続きまして、議案第22号から議案第50号までについて説明申し上げます。
議案第22号青少年問題協議会条例案につきましては、地方青少年問題協議会法の一部改正に伴い、青少年問題協議会の委員の人数及び構成の見直しを行うとともに、所要の改正を行うため、全部改正するものであります。
議案第23号住居表示整備審議会条例の一部を改正する条例案につきましては、住居表示整備審議会の委員の人数、構成及び任期の見直しを行うとともに、所要の改正を行うものであります。
議案第24号特別職報酬等審議会条例等の一部を改正する条例案につきましては、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正により、教育長が特別職となることに伴い、所要の改正を行うものであります。
議案第25号地域包括支援センター運営協議会条例案につきましては、地域包括支援センター運営協議会を附属機関として設置し、その組織及び運営に関し必要な事項を定めるものであります。
議案第26号行政手続条例の一部を改正する条例案につきましては、行政手続法の一部改正に準じ、行政指導をする際の許認可等の権限の根拠の明示、行政指導の中止等の求め及び処分等の求めの手続の規定を追加するとともに、所要の改正を行うものであります。
議案第27号特別職に属する職員の給与条例及び病院事業管理者の給与及び旅費に関する条例の一部を改正する条例案につきましては、人事院勧告に準じ、特別職に属する職員の期末手当の支給割合を改定するものであります。
議案第28号教育委員会教育長の給与、勤務時間その他の勤務条件に関する条例の一部を改正する条例案につきましては、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正に伴い、所要の改正を行うとともに、人事院勧告に準じ、教育長の期末手当の支給割合を改定するものであります。
議案第29号報酬、費用弁償及び実費弁償条例の一部を改正する条例案につきましては、非常勤職員に対する報酬額の減額措置を解消するものであります。
議案第30号職員給与条例及び職員退職手当支給条例の一部を改正する条例案につきましては、人事院勧告に準じ、給料及び諸手当の改定を行うとともに、給料月額の独自削減を解消するものであります。
議案第31号資金基金条例の一部を改正する条例案につきましては、小樽市立病院の開院に伴い、市立病院新築資金基金を廃止するものであります。
議案第32号手数料条例の一部を改正する条例案につきましては、建築基準法の一部改正に伴い、構造計算適合性判定に係る加算金を廃止し、特定用途誘導地区内の建築物の高さの許可申請手数料等を設けるとともに、所要の改正を行うものであります。
議案第33号保育の実施に関する条例を廃止する条例案につきましては、児童福祉法の一部改正に伴い、保育の実施基準を条例で定める必要がなくなったためのものであります。
議案第34号特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営に関する基準を定める条例等の一部を改正する条例案につきましては、これまでにいわゆるリンク方式を採用した条例について、その条例が引用する内閣府令又は厚生労働省令の一部改正があった場合に、その都度、条例案を提出する必要があることとするものであります。
議案第35号児童福祉施設条例の一部を改正する条例案につきましては、児童福祉法の一部改正に伴い、所要の改正を行うほか、銭函保育所の仮設園舎及び長橋保育所を廃止するものであります。
議案第36号廃棄物の減量及び処理に関する条例の一部を改正する条例案につきましては、中央下水終末処理場内に整備した、し尿処理の前処理施設の供用の開始に伴い、所要の改正を行うものであります。
議案第37号国民健康保険条例の一部を改正する条例案につきましては、国民健康保険法施行令の規定に準じ、後期高齢者支援金等賦課限度額及び介護納付金賦課限度額を改定するものであります。
議案第38号介護保険条例の一部を改正する条例案につきましては、介護保険法の一部改正に伴い、介護予防・日常生活支援総合事業等の実施時期を定めるとともに、介護保険法施行令の一部改正に伴い、平成27年度から29年度までの保険料率を定めるほか、所要の改正を行うものであります。
議案第39号指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営の基準に関する条例及び指定地域密着型介護予防サービスの事業の人員、設備及び運営の基準等に関する条例の一部を改正する条例案につきましては、介護保険法施行規則等の一部改正に伴い、指定地域密着型サービス及び指定地域密着型介護予防サービスの事業の人員、設備及び運営の基準等の一部を改正するものであります。
議案第40号指定介護予防支援等の事業の人員及び運営の基準等に関する条例案につきましては、介護保険法の一部改正に伴い、指定介護予防支援等の事業の人員及び運営の基準等について定めるものであります。
議案第41号地域包括支援センターの包括的支援事業の実施に係る基準に関する条例案につきましては、介護保険法の一部改正に伴い、地域包括支援センターの包括的支援事業の実施に係る基準について定めるものであります。
議案第42号建築基準法施行条例の一部を改正する条例案につきましては、建築基準法施行令の一部改正に伴う改正のほか、所要の改正を行うものであります。
議案第43号いじめ防止対策推進条例案につきましては、学校におけるいじめの防止及び早期発見並びにいじめに対する適切かつ迅速な対処のための取組を総合的かつ効果的に推進するため、その基本となる事項について定めるものであります。
議案第44号から第48号の定住自立圏の形成に関する協定の変更につきましては、積丹町、古平町、仁木町、余市町及び赤井川村との間において、定住自立圏の形成に関する協定の一部を変更する協定を締結するため、定住自立圏形成協定の議決に関する条例の規定により議会の議決を求めるものであります。
議案第49号市道路線の認定につきましては、ブライトタウン小路線ほか6線を認定するものであります。
議案第50号市道路線の変更につきましては、平磯線ほか2線の認定区間の変更についてであります。
最後に、専決処分報告についてでありますが、報告第1号につきましては、平成26年度港湾整備事業特別会計補正予算において管理経費に係る予算を措置するため、平成27年1月16日に専決処分したものであります。
報告第2号につきましては、平成26年度一般会計補正予算において除排雪関係経費及びロードヒーティング関係経費に係る予算を措置するため、平成27年2月5日に専決処分したものであります。
以上、概括的に説明申し上げましたが、なにとぞ原案どおり御可決、御承認賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
○議長(横田久俊)次に、議案第51号について、提出者から提案理由の説明を求めます。
(「議長、8番」と呼ぶ者あり)
○議長(横田久俊)8番、川畑正美議員。
(8番川畑正美議員登壇)(拍手)
○8番(川畑正美議員)提案者を代表して、議案第51号小樽市非核港湾条例案の提案理由の説明を行います。
今年は、第2次世界大戦終結70年の節目の年であり、侵略戦争で多くの犠牲を生み出した痛苦の教訓から、二度と海外で戦争しないと誓った憲法の平和主義を守り抜くことが求められています。
また、広島、長崎での被爆70年の年に当たります。核兵器を全面的に廃止し、廃絶する条約の交渉開始を求める国は、国連加盟国の3分の2を超え、今や核兵器廃絶を求める流れは、世界の趨勢となっています。
しかし、日本政府は、核兵器禁止条約の交渉の開始を求める国連総会決議に対して棄権の立場を続けています。日本は、被爆国として、この条約の開始を強く訴えることこそ、国際的な責務のはずです。
今、核兵器のない世界を目指す運動が世界の各分野で展開されています。その幾つかを紹介します。
核兵器の人道的影響に関する国際会議は、2013年3月にノルウェー、2014年2月にメキシコ、3回目は2014年12月にオーストリアで開催されました。
オーストリアでの会議では、核廃絶の具体化を求める呼びかけを発表しています。この会議への参加国は、当初120か国程度でしたが、回を重ねるたびに増え、3回目のオーストリアでの開催では約160か国となり、国連加盟国の4分の3以上の参加となっています。
一般的にNPT再検討会議と言われています核不拡散条約再検討会議は、今年4月27日から5月22日の予定で、5年ぶりにニューヨークの国連本部で開催されます。前回開催の再検討会議では、核兵器のない世界を実現するために必要な枠組みを確立する特別な取組を行うことを、核保有国も含めて全会一致で決定していました。しかし、第6条に基づく核軍縮・撤廃の約束は果たされておりません。今年のNPT再検討会議で核軍縮・撤廃について、より前進した議論となることが期待されています。
国際平和ビューローは、日本原水爆被害者団体協議会、通称日本被団協と、長崎の被爆者で日本被団協の谷口稜曄代表委員、そして広島の被爆者でカナダ在住のセツコ・サーロー氏の三者を、2015年ノーベル平和賞の候補に推薦しています。推薦に当たって、みずからの経験と闘いを語り、核兵器の全面禁止のために一貫して活動し、世界の政府と人々に訴え続けてきたことを挙げています。
小樽市が加盟している平和首長会議は、核兵器禁止条約の交渉開始を求める署名活動などを展開しています。平和首長会議への加盟数は、今年2月1日現在で160か国及び地域で6,538都市、日本国内においても1,539都市へと、年々拡大され、核兵器禁止条約の早期実現の理解が進んでいます。
さて、私たちが誇りにする小樽港についてです。小樽港は、平磯岬から茅柴岬まで引いた一線内を港域として、北、西、南の3方は山に囲まれ、常に港湾の静穏が保たれています。また、気象は海洋性の気候の影響を受けて、道内においては冬は比較的暖かく、夏は比較的涼しい地帯にあり、風速についても日本海の地域としては比較的弱い状況にある天然の良港として、高い評価を受けています。
今年1月6日、米艦船マスティンの小樽港寄港の申出があり、小樽市は、受入れの判断として入出港時及び接岸時の安全性、商業港としての港湾機能への影響、核兵器搭載の有無を慎重に検討し、また、外務省から「我が国政府としては、現時点において、核兵器を搭載する米軍艦船の我が国への寄港はないと判断としています」「米軍艦船マスティンについては、搭載能力がない以上、核兵器を搭載していないことにつき我が国政府として疑いを有していません」との回答を得たとして寄港を認めました。
米艦船の小樽港への寄港は、昨年7月の揚陸指揮艦ブルーリッジに続いての寄港です。外務省は、ミサイル駆逐艦マスティンが核兵器を搭載していないことに我が国政府として疑いを有していないとしていますが、核搭載が可能なことは多くの方々が認めているところであり、ほかの米艦船についても核兵器搭載が可能です。
核兵器搭載が可能な米艦船が日本の商業港に自由に寄港するのはなぜか。それは、日米間に核密約があるからです。
日米間の密約合意がなされたことは、米国の公文書公開によって明らかにされています。我が党の不破哲三前議長は、1960年1月の安保条約調印の際に結ばれた米国政府の解禁された一連の秘密文書を基に、2000年3月の党首討論において真相の徹底調査を求めました。この文書は、アメリカ代表が公式の席上で、核兵器を積載した軍艦が日本への事前協議なしに日本に寄港することを、条約上の権利として主張し、日本政府が条約、交換公文、討論記録の解釈を一体のものとして受け入れたことを示していました。このことからも、核兵器搭載に関して、米国との間に密約があったことが明白になっています。核密約が現在も生きていることから、外務省が核兵器登載の有無についての照会に対して曖昧な回答に終始しているのは、そのためであります。
道内の主要港湾については、国際拠点港湾の苫小牧港と室蘭港、重要港湾は石狩湾新港、函館港、小樽港、釧路港、留萌港、稚内港、そして十勝港、紋別港、網走港、根室港の10港があります。これらの港湾の中で外国艦船の入港が多いのは、小樽港の85隻をトップに、函館港の78隻、釧路港の50隻です。ただし、釧路港は、港湾管理者である釧路市に確認したところ、最近四、五年は入港していないとのことであります。室蘭港は41隻、苫小牧港が28隻と続いています。小樽港への外国艦船の寄港は、1961年に始まり、今回の寄港で85隻になります。小樽港への外国艦船の寄港状況を見ると、米艦船が76隻と、ほかの国の艦船9隻と比べても圧倒的な多さです。
米艦船は、1990年から1991年に海洋調査船が集中的に寄港し、その後、揚陸指揮艦のブルーリッジや航空母艦のインディペンデンス、キティホークなどの大型艦船が入港しています。事前に海洋調査船によって状況を調べ上げ、空母などの艦船を寄港させているわけです。米軍の寄港目的は親善・友好としていますが、有事に備えて小樽港を軍港化しようとしていることは明らかです。
商業港としての小樽港は、観光振興の一環としてクルーズ客船の寄港促進に力を入れ、2014年は過去最高の延べ41隻が寄港しています。2015年についても1月末で21隻の寄港が予定されています。観光振興にとって平和な小樽港への米艦船寄港の定期化は、重大なマイナスイメージになります。
神戸市会は、1975年3月18日、核兵器積載艦艇の神戸港入港拒否に関する決議を行っています。決議の要点は、「この港に核兵器が持ち込まれることがあるとすれば、港湾機能の阻害はもとより、市民の不安と混乱は想像に難くないものがある。よって神戸市会は核兵器を積載した艦艇の神戸港入港を一切拒否するものである」とし、入港を希望する艦船に対して非核証明書の提出を求めています。神戸市会で決議が採択された後、フランス、イタリア、インドなどの艦船は非核証明書を提出して入港していますが、米艦船は非核証明書の提出を拒み、入港しておりません。
小樽市が管理する港湾施設の管理及び使用について必要な事項を定めた小樽市港湾施設管理使用条例があります。その第8条では、「発火、燃焼又は爆発のおそれがあるもの」「劇薬又は毒薬であって取扱上危険のおそれがあるもの」「感染若しくは汚染のおそれがあるもの又は腐敗したもの若しくは不潔なもの」、そして「過大、過重等で港湾施設又はその附属物件をき損するおそれがあるもの」については、港湾施設の使用を禁止するとあります。これは、小樽港の施設と市民の安全を守るための条例であります。
昨年5月21日、福井地方裁判所は、東京電力福島第一原発事故後、関西電力大飯原発3号機、4号機の原発の運転差止めを命じた判決を下しました。判決は、国民の命と暮らしを守ること以上に大切なことはないという、そういう立場に立って再稼働ストップの判決を下したわけであります。原発は、一度事故が起きれば、被害は時間的にも空間的にも際限なく広がり、いったん起きた場合、取り返しのつかない危険を持っています。このことは、福島第一原発事故を見ても明らかであります。核兵器を搭載した艦船が寄港し、核兵器事故を起こした場合、取り返しのつかないことになります。
小樽市議会は、1982年第2回定例会において「核兵器廃絶平和都市宣言」を可決しています。平和都市宣言の内容は、「核兵器の廃絶、使用禁止は、もっとも緊急な課題であり、日本国民は、世界唯一の被爆国民としてこれを積極的に実現する崇高な責務をおっている。小樽市は、わが国の非核三原則が完全に実施されることを願い、すべての核保有国に対し、核兵器の廃絶と軍縮を求め、核兵器廃絶の世論を喚起するため、ここに核兵器廃絶平和都市となることを宣言する。」とあります。
港湾管理者である小樽市長は、市民の安全と平和な商業港を守り、小樽港を軍港化しないために、核兵器搭載艦船の寄港を断るべきです。同時に、小樽市議会においても、神戸市会のように非核港湾条例を可決して、核兵器登載の艦船の寄港を拒否し、非核証明書を提示させる手段を確立すべきであります。
各会派の皆さんの賛同をお願いして、非核港湾条例の提案説明といたします。(拍手)
○議長(横田久俊)日程第3「休会の決定」を議題といたします。
お諮りいたします。
議案調査のため、明2月26日から3月1日まで4日間、休会いたしたいと思います。
これに、御異議ございませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(横田久俊)御異議なしと認め、さように決しました。
本日は、これをもって散会いたします。
散会午前11時15分
会議録署名議員
小樽市議会 議長 横 田 久 俊
議員 小 貫 元
議員 山 田 雅 敏