開議午後1時00分
○議長(横田久俊)これより、本日の会議を開きます。
本日の会議録署名議員に、小貫元議員、林下孤芳議員を御指名いたします。
日程第1「議案第1号ないし第21号及び報告第1号」を一括議題といたします。
これより、昨日に引き続き、会派代表質問を行います。
通告がありますので、順次、発言を許します。
(「議長、9番」と呼ぶ者あり)
○議長(横田久俊)9番、松田優子議員。
(9番松田優子議員登壇)(拍手)
○9番(松田優子議員)平成26年第4回定例会に当たり、公明党を代表して質問いたします。
市長、教育長、理事者の皆様、よろしくお願いいたします。
最初に、財政問題について伺います。
小樽市の平成25年度の歳入内訳を見ると、地方交付税が約168億3,300万円と歳入内訳の約28パーセント、次いで国・道支出金が約145億8,700万円で約24パーセントとなり、市税は約135億1,900万円で約23パーセントとなり、歳入全体の4分の1弱にしかならない状態です。今後も、人口減少などで、市税収入の増加は見込めない状況になっておりますが、平成26年度の市税収入の見通しについて、平成25年度決算との比較でお示しください。
市税全体の収入率は低下し続けております。しかしながら、この市税収入は、地方交付税とともにさまざまな行政ニーズに対応するための一般財源として、その確保は重要なものです。
平成26年9月発行の財政の概況によれば、平成24年度、平成25年度の現年度分につきましては、収入率向上に向け努力した結果、微増ながら2年連続で上向いているとのことです。今後も市税の収入率向上は重要になってくると思われますが、現年度分の収入率を優先するため、滞納繰越分につきましては、後手後手にならざるを得なくなっているのではないかと考えます。滞納繰越分についての収納向上対策について伺います。
次に、歳出についてですが、平成25年度の目的別決算状況で見ると、商工費と土木費が平成24年度と比較し増加しているように思われますが、この増加要因についてお聞かせください。
また、性質別決算状況で見ると、扶助費のうち、生活保護費が2年連続で減少となっておりますが、この主な減少要因についてお聞かせください。
11月1日より電気料金が再値上げいたしましたが、まだ年度の半分を越したばかりであり、これから冬に向かうに当たり、ロードヒーティングの経費など、平成26年度の歳出額に影響が出ると思いますが、電気料金再値上げに伴う影響額はどのくらいになると見込んでいるのか、お聞かせください。
次に、平成27年度予算編成方針に関連して伺います。
市は、10月20日、財政部長名で庁内各部局に対し、平成27年度の予算編成方針を示したとのことです。それによると、人口減などによる市税収入の伸び悩みや扶助費の増加傾向などで、平成26年度当初予算より3億円多い12億円の財源不足が生じると想定し、さらに電気料金再値上げの影響も生じることから、原則として平成26年度当初予算の範囲内で予算要求を行うよう求めたということですが、この財源不足となる要素の中に除雪費の歳出増が見込まれているのか、伺います。
というのも、平成24年度は、過去最高の積雪量を記録したことから、当初予算8億円に対し、3回もの補正を行い、約15億円となりました。そして、平成25年度も、一昨年度に引き続き豪雪で、3億5,000万円の補正を組まなければなりませんでした。もちろん自然が相手ですから、なかなか予測がつかないのは当然で、予想外の積雪による年度途中の補正はある程度仕方がないと思いますが、初めから予算措置されているのとされていないのでは、市民の安心感が違ってくるのではないかと思われます。
そこで、この12億円の財源不足の具体的な試算の考え方をお示しいただくとともに、平成26年度と同様に、この12億円の財源不足分を財政調整基金で取り崩して収支均衡を図るとしたら、財政調整基金の残高は幾らになるのか、伺います。
市長は、本年8月の記者会見で、小樽市人口対策会議の話合いの中で、これは有効だという施策があった場合は、来年度予算に反映させていくことも考えられるのかという記者の質問に、「会議で最終的に意見を取りまとめる前の段階であっても、対策を講じなければならないものが出てきた場合には、来年度予算に取り入れていくことも考えていきたい」と述べていますが、11月28日に初会合を開いた小樽市人口対策会議では、委員から出された意見などを基に立案した具体策を翌平成28年度予算に反映させる方針となっており、8月の記者会見より後退した感があります。人口対策は早め早めが大事だと思いますが、たとえ有効と考えるものがあっても、人口対策については平成28年度でなければ予算づけをしないということなのか、再確認いたします。
ともあれ、地方交付税の算定単位の一つに人口があり、今後、人口減少が見込まれる小樽市では、地方交付税にも反映されてきます。このように、人口減少対策につきましては、市の財政にも多大な影響を与えます。このことを考えると、人口対策についてはできることから始めていただきたいと思いますが、この点について市長の御見解を伺います。
○議長(横田久俊)理事者の答弁を求めます。
(「議長」と呼ぶ者あり)
○議長(横田久俊)市長。
(中松義治市長登壇)
○市長(中松義治)松田議員の御質問にお答えいたします。
ただいま、財政問題について御質問がありました。
初めに、平成26年度市税収入の見通しについてですが、まず平成25年度決算との比較による26年度の市税収入の見通しにつきましては、今後の法人市民税などの収入状況にもよりますが、現時点の見込みでは、個人市民税では所得の減少により、法人市民税では納税額が大きく減少した法人があったことにより、たばこ税では販売本数の減少により、市税全体の収入額は減少するものと考えております。
次に、滞納繰越分について、収納向上対策につきましては、納税課では、平成24年度にグループ制を導入して滞納繰越担当を設け、従来から行っております差し押さえた動産や不動産などのインターネット公売による換価に加え、新たに他都市との合同公売会への参加や事務所等への訪問による強制徴収や自動車のタイヤロックを実施するなどの収納対策の強化を図ってきたところであり、今後も引き続き努力してまいります。
次に、歳出についてですが、まず平成25年度決算で、商工費と土木費が24年度と比べて増加している理由につきましては、商工費では、小樽観光振興公社に対する1億3,000万円の出資や中小企業への制度融資の貸付金の約3億2,200万円の増、土木費では、港湾建設費で約8,900万円、除雪費で約6,500万円、それぞれ増加したことなどが主な要因であります。
次に、生活保護費が2年連続で減少した主な要因につきましては、平成24年度は、医療扶助費の減少によるもの、25年度は、生活保護受給者の減少と生活扶助基準などの見直しによるものであります。
次に、電気料金再値上げに伴う影響額につきましては、来年3月31日までは軽減措置があり、若干、影響は抑えられているものの、昨年度同時期の電気使用量を基に積算した今年度影響額は、ロードヒーティングに係る影響額4,800万円を含め、総額で約6,000万円となります。
次に、平成27年度予算編成についてですが、まず予算編成方針で示した12億円の財源不足額における除雪費の見込みにつきましては、26年度当初予算をベースに試算しており、想定を超える降雪による補正対応分は見込んでおりません。
次に、財源不足額の試算の考え方につきましては、平成26年度予算をベースに、総務省の概算要求における地方交付税総額の8,400億円の減や本市の中期財政収支見通しなどを勘案して、約12億円と試算したところです。しかし、その後、消費税率の引上げ延期が見込まれる中で、消費税率の引上げにかわる社会保障制度改革の財源が示されていないことや、国の予算編成の動向も不透明であり、今後、財源不足額は大きく変動する可能性があるものと考えております。
また、財政調整基金の残高につきましては、今冬の除雪費など不確定要素がありますが、今定例会に提案しております補正予算後の残高は約12億6,000万円となりますので、ここから財源対策として、仮に12億円を取り崩しますと6,000万円となるものです。
次に、人口対策事業の予算化につきましては、1年程度の議論、検討を経て、最終的には平成28年度予算へ盛り込むこととしておりますが、早急に取り組むべきと考えられる事業があれば、平成27年度の予算へ反映したいと考えております。
次に、人口対策の取組につきましては、人口の減少はさまざまな要因が関係しており、どのような取組が効果的であるのか、また、実施に当たっては財源についても考慮する必要があることから、検討には一定の時間を要すると考えておりますが、早期に実施する必要があると判断したものについては、できるだけ早く取組を進めたいと考えております。
○議長(横田久俊)次に、第2項目めの質問に入ります。
(「議長、9番」と呼ぶ者あり)
○議長(横田久俊)9番、松田優子議員。
(9番松田優子議員登壇)
○9番(松田優子議員)2項目め、防災に関連して伺います。
先日、都内で行われたセミナーに参加した折、2011年3月11日の東日本大震災の被災地の一つとして、壊滅的な被害を受けながらも今日まで3年8か月余り、復興に向けて突き進んでこられた岩手県釜石市の野田市長による講義がありました。今後の防災教育のあり方にも言及される内容で、当事者の声であり、非常に説得力があるものでした。課題や反省点をあらわにしていくことで、後世に継承していく使命感のようなものを感じ取ることができましたので、今までも防災につきましては、我が党も含め他会派の議員も議論してきましたが、この講義を基にして、小樽市の防災体制について再度伺います。
最初に、災害対策本部の設置場所についてです。
釜石市では、当初、倒壊を免れた市役所の3階を対策本部としましたが、町の中心部にあった庁舎は瓦れきに囲まれ、通信手段も寸断されたため、市民は瓦れきを乗り越えて市役所に家族や友人・知人の安否確認に来なければならず、これでは災害対策本部の機能が果たせないと、途中から被災地ではない別のところに災害対策本部を移動させたということでした。このように災害対策本部の場所の設定が課題となったということですが、小樽市では、もし消防庁舎を含む市役所庁舎が災害対策本部として使用不能になった場合、代替施設としてどこを使用することにするのか、お考えを伺います。
次に、想定外にどう対応するかについてですが、小樽市では、現在、どの程度の浸水予測を立てられているのか、伺います。
岩手県が津波被害に遭うのは、今回が初めてではありません。過去に何度も津波被害に遭ってきましたので、それを踏まえて防災に取り組んできましたが、今回の津波は予想をはるかに超えたものとなりました。震災前の浸水予測は、最大遡上高が10.2メートルでしたが、実際は19.2メートルという予測の倍の津波であったため、防波堤も防潮堤も役に立たなかったそうです。
また、ハザードマップは、ここまで津波が来ると想定してつくられていたため、危険地域以外の人は安全だと受け止めてしまいました。このように、ハザードマップは安心マップとして受け止められ、浸水想定区域外で多くの犠牲者を出してしまい、何とそれは全死者の6割にもなったそうです。こういったことからも、ハザードマップのあり方について一考を要するのではないかと思いますが、御見解をお示しください。
小樽市では、ハザードマップは全市には配布されておりませんが、今後、全市に配布する予定はありますか、伺います。
次に、避難場所の見直しについてですが、釜石市では、この想定外の津波で、津波避難場所76か所中11か所が津波で浸水してしまいました。その後、釜石市では第1次避難場所を見直したそうです。小樽でも、先日の市民と語る会で、避難場所が土砂災害警戒区域の中にあるということが問題になっていましたが、この点についてどう認識していますか。見直すことは考えているのでしょうか、伺います。
2次避難所とは、危険が去った後の避難生活をするための拠点避難所との位置づけですが、それが住民に周知されず、釜石市では、2次避難所であった防災センターを1次避難所と思い込み、そこに避難されたため、多くの犠牲者が出たという反省点がありました。小樽市では、1次避難所と2次避難所との区別の周知はされているのでしょうか。
次に、防災教育の必要性についてですが、子供たちの避難行動として2校が紹介されておりました。震災が起きたとき、1校は、全員が学校管理下にあり、高台に避難しましたが、危険を察知し、さらに高台へ、またさらに高台へと避難し、全員助かりました。また、もう一校は、その時間帯は全員、下校していましたが、親がまだ大丈夫と言うのを子供が説得し、避難して助かった例もあり、184人の児童全員が助かりました。それを釜石の奇跡と言う人がいますが、釜石市長いわく、それは奇跡でも何でもなく、ふだんからの訓練のたまものであり、常に想定にとらわれず、状況で判断しているからだと言います。
また、避難訓練に参加する人が少ないというセミナー参加者からの質問に対し、釜石市長は、災害の悲惨さを住民が認識することが大切であり、小さいときからの防災教育が大事で、時には映像を生かし活用することが大事であり、防災から減災へ、3・11以降はこのように視点が変わったと強調されていました。
このように釜石市長は防災教育の重要性を強調しており、それは大人に対しても同じであると述べていましたが、小樽における防災教育について、現在、どのように取り組んでいるのか、お聞かせください。
次に、市職員の役割分担についてです。
先般の広島の土砂災害を受け、同じ坂のまちであり、道内他都市と比較し、土砂災害警戒区域が非常に多い小樽市ですが、先日、市民の方から、災害が起きたとき、避難所の鍵は誰があけてくれるのですかと質問を受けました。学校ごとに近隣の市職員があけることになっていますと説明しましたが、そのことを知らない市民が多いのではないかと思います。このことに対する市民への周知方法について伺います。
また、市職員も所属部ごとに役割分担が決まっているといいますが、市職員への役割分担の徹底はされているのでしょうか、伺います。
釜石市の野田市長は、講演の冒頭で、トップの判断が大事であり、それが課題であると言っておりました。それだけ市長の責任が重いということです。小樽市も、野田市長のこの意見を参考にして防災に取り組んでいただきたいと思っています。
中松市長の公約の一つに、市民の安心・安全を守るまちづくりがあります。最後に、市長の防災に対する決意をお聞きして、この項の質問を終わります。
○議長(横田久俊)理事者の答弁を求めます。
(「議長」と呼ぶ者あり)
○議長(横田久俊)市長。
(中松義治市長登壇)
○市長(中松義治)ただいま、防災について御質問がありました。
初めに、災害対策本部の設置場所についてですが、災害対策本部は、地域防災計画で市役所本館2階の市長応接室と定めており、市長応接室が使用不能となった場合には、新耐震基準の消防庁舎6階講堂を使用することとしておりますので、本市において想定される災害が発生した場合であっても、災害対策本部を設置することは可能であると考えております。
次に、想定外の対応についてですが、まず津波の浸水予測につきましては、北海道が平成22年3月に公表した浸水想定では、津波遡上高の低いところで祝津地区の1.13メートル、最も高いところは港湾地区の3.13メートルとしております。
次に、ハザードマップのあり方に対する見解につきましては、ハザードマップは想定される津波の到達時間や浸水範囲を表しているものですが、想定を超える事態が起こり得ることから、市民向けの講座や避難訓練の際に、より高く、より遠くへ避難する必要があることを強調してお知らせしているところであります。
次に、ハザードマップの配布につきましては、現在の津波ハザードマップは、平成22年3月に北海道が行った津波浸水想定に基づき作成し、津波の被害が予想される地域に配布しております。
本年8月に、国から日本海側における津波の想定が発表され、今後、北海道が、今年度中に日本海側の断層モデルを決定し、平成27年度に津波シミュレーションを行い、その後に各地区における浸水想定を公表することから、小樽市では、この想定に基づくハザードマップを新たに作成し、対象となる全世帯や希望される方などに配布したいと考えております。
次に、避難所の見直しについてですが、まず市民と語る会での御意見に対する認識につきましては、全国各地で大規模な災害が発生していることを機に、本年4月に災害対策基本法が改正され、災害の影響が少ない場所を指定するなどの基準に基づくよう義務づけられたものと認識しております。
本市におきましても、現在、市内に69か所ある避難所を、「土砂災害」「地震」「津波」及び「洪水」の4種類の災害に応じた避難所として指定するための作業を進めております。
次に、避難所の区別の周知につきましては、本市においては避難所の区別は行っておりませんが、避難訓練などを通じて安全を確保するため、避難所の位置にかかわらず、まずはより高く、より遠くへ避難するよう周知しております。
次に、市職員の役割分担の明確化についてですが、まず避難所の開設の周知につきましては、小・中学校の避難所については、各校ごとに開設を担当する職員2名をあらかじめ指定しておりますが、年度ごとに人事異動で変更となることから、年度当初に各町会長へ名簿を配付し、周知しているところです。
次に、市の職員に対する役割分担につきましては、職員向けの研修の際に、地域防災計画で定められた各部の災害時対応について周知しております。
次に、防災に対する私の決意につきましては、東日本大震災以降も、全国で大規模な災害が頻発している状況にあることから、本市においても、いつどのような災害に見舞われるかわかりません。このような現状を踏まえて、本市の災害時の危機管理対応能力の向上のみならず、平時からの備えを十分に行うことによって安全を守るまちづくりを実現してまいりたいと考えております。
(「議長」と呼ぶ者あり)
○議長(横田久俊)教育長。
○教育長(上林猛)松田議員の御質問にお答えいたします。
ただいま、防災教育の必要性について御質問がありました。
本市における防災教育の取組についてですが、本市の小・中学校においては、全ての学校で危機管理マニュアルを作成しており、年2回以上、火災のほか、地震等を想定した避難訓練を実施しております。
小・中学校の授業においては、教科の中で副読本などを活用し、みずからが自分を守る行動や習慣を身につけるなど、防災に関する基礎的知識を習得しているところであります。
また、旅行的行事においては、小学校では、札幌への見学旅行で防災センターを訪れ、災害の体験的学習を行っており、中学校では、修学旅行で東日本大震災の被災地を訪れ、被災地の状況を見聞するなど、体験的な防災教育も行っております。
今年度は、教職員を対象に、札幌管区気象台から講師を招き、危険予測・危機回避能力、非常時の行動や防災訓練のあり方などの研修も行っており、児童・生徒の安全確保に努めているところであります。
○議長(横田久俊)次に、第3項目めの質問に入ります。
(「議長、9番」と呼ぶ者あり)
○議長(横田久俊)9番、松田優子議員。
(9番松田優子議員登壇)
○9番(松田優子議員)3項目め、北海道社会事業協会小樽病院における分娩の新規受付休止について伺います。
北海道社会事業協会小樽病院の11月21日付けの新規分娩取扱休止のお知らせは、あまりにも急な話であり、市民に与えた衝撃は大きいものがありました。そもそも周産期医療とは、特別な医療が必要なハイリスク児、母体などに危険を及ぼす可能性が高いハイリスク分娩などに医療を提供するものと聞いています。
また、不規則で苛酷な勤務による離・退職や産婦人科医を目指す研修医の減少により産婦人科医が不足し、都市部への偏りなどで、ハイリスク分娩のみならず、正常分娩を行う産科医療でさえ確保できなくなったことが起因していると伺っています。
最初に、協会病院の分娩実績等についてお聞きいたします。
協会病院は、平成13年に、この地域周産期母子医療センターに認定を受けていることから、ハイリスク児の出産を含め、昨年は約400人の分娩を取り扱うなど、地域医療に貢献してきましたが、認定されてからの協会病院での過去5年間の分娩実績をお聞かせください。
昨今、出生率は大幅に減少しているのに、低出生体重児などのハイリスク児の出生率は増加していると言われています。小樽におけるここ5年間のハイリスク児の出生数はどのようになっていますか、掌握していたらお聞かせください。
市として、地域周産期母子医療センターである協会病院へ財政的支援等の助成を行ってきたと思いますが、どのような助成を行ってきたのか、お聞かせください。
協会病院は、北海道より地域周産期母子医療センターの認定を受けていますが、このように分娩を行わなくなった場合、この認定はどのようになるのでしょうか。この点について、北海道等に問い合わせ等はしたのでしょうか、伺います。
次に、分娩受付休止による影響について伺います。
協会病院産婦人科の診療体制の縮小に伴う今後の対応として、近隣の産科クリニックや他の総合病院を紹介するとのことですが、先日、開院した小樽市立病院は、協会病院が地域周産期母子医療センターの認定を受けていることから、産科を持つことは困難と判断し、産科は開設しませんでしたので、市内の産科はおたるレディースクリニック一つだけとなりました。しかし、おたるレディースクリニックの今の状況は、医師1名、助産師6名であり、ベッド数は15床ということですが、分娩の受入れは可能なのでしょうか。この点について、御見解をお聞かせください。
経済的な理由により出産費用の負担が困難な方に出産費用の一部を助成する制度があり、協会病院は、その制度を利用できる助産施設になっていますが、どのくらいの方が利用していたのでしょうか。ここ5年間の助産制度利用実績と分娩休止による影響について、あわせてお示しください。
また、協会病院の新規分娩受付の休止は、事小樽だけの問題ではなく、二次医療圏である後志管内の町村に与える影響も大きいと言わざるを得ません。協会病院のここ5年間における後志管内町村からの受入れ人数をお示しください。また、あわせて、影響についての見解もお聞かせください。
今、人口減少の要因の一つとして、女性が産む子供の人数が問われていますが、それ以前に、出産しようとしても、市内にその子供を産む病院が1件しかないということはゆゆしき問題と言わざるを得ません。これでは、小樽市では子供を産めないのだからと小樽市を離れる女性が増えるとしたら、人口減少にますます拍車がかかることになり、なおさら深刻です。もし、今回、公募等で医師確保ができ、急場をしのげたとしても、またいつ再燃するかわからない問題です。市民の皆さん、特にこれから子供を産みたいと思っている方は非常に不安に思っています。この問題に対して、今後、市としてどのように取り組んでいくのか、市長のお考えを伺います。
○議長(横田久俊)理事者の答弁を求めます。
(「議長」と呼ぶ者あり)
○議長(横田久俊)市長。
(中松義治市長登壇)
○市長(中松義治)ただいま、小樽協会病院の分娩の新規受付休止について御質問がありました。
初めに、小樽協会病院の分娩実績等についてですが、まず過去5年間の分娩数につきましては、暦年で申し上げますと、平成21年が521件、22年が513件、23年が495件、24年が422件、25年が398件と聞いております。
次に、過去5年間のハイリスク児の出生数につきましては、統計値のある出生時の体重が2,500グラム未満のいわゆる低出生体重児の数でお答えいたしますが、暦年で申し上げますと、平成21年が68件、22年が78件、23年が92件、24年が60件、25年が65件であります。
次に、小樽協会病院への財政支援につきましては、平成22年度から、定住自立圏の構成自治体である小樽・北しりべしの6市町村により、周産期体制の維持を図るための財政支援として補助金を支出しております。実績といたしましては、6市町村合計で申し上げますと、平成22年度が約800万円、23年度が約700万円、24年度が約1,300万円、25年度が約1,200万円であります。
次に、地域周産期母子医療センターの認定につきましては、北海道に問い合わせをしたところ、新生児集中治療室など一定の機能がある限り、分娩を扱わなくなったことを理由として認定を取り消すことはないと聞いております。
次に、分娩の新規受付休止による影響についてですが、まず市内のクリニックでの受入れにつきましては、スタッフの数や施設の機能等により、ある程度、数は限られるものと考えております。
次に、小樽協会病院における過去5年間の助産制度利用実績につきましては、暦年で申し上げますと、平成21年は20件、22年は27件、23年は28件、24年は19件、25年は13件となっております。
また、分娩休止での影響につきましては、市内の助産施設は、小樽協会病院を含めて2か所ありますが、そのうち小樽協会病院における分娩割合が約7割を占めていることから、少なからず影響はあるものと考えております。
次に、小樽協会病院が受け入れている後志管内の町村分の過去5年間の分娩数につきましては、暦年で申し上げますと、平成21年は97件、22年は112件、23年は115件、24年は64件、25年は67件と聞いており、分娩の休止についての影響はあるものと考えております。
次に、この問題に対する市の取組につきましては、市内で周産期医療体制が維持できなくなる事態は何としても避けなければならないものと考えており、現在、小樽協会病院での分娩継続に向け、病院側と協議を行うとともに、北海道など関係機関にも働きかけているところでありますが、市としてもできる限りのことをしてまいりたいと考えております。
○議長(横田久俊)次に、第4項目めの質問に入ります。
(「議長、9番」と呼ぶ者あり)
○議長(横田久俊)9番、松田優子議員。
(9番松田優子議員登壇)
○9番(松田優子議員)4項目め、介護について何点かお聞きいたします。
最初に、施設入所待機者の対応策について伺います。
デイサービスを行っている事業所が、日中のデイサービスが終わる夕方以降、泊まりが必要な利用者を事業者の自主事業として引き続きそのまま受け入れるお泊まりデイというものがあると聞いています。これは介護保険の枠外ですが、「介護疲れ」「残業が続く」「旅行で家を不在にする」など、さまざまな理由から、同居する家族が親や配偶者を預けるもので、利用する人が最近増えており、厚生労働省の調査によると、本年3月末現在で、デイサービスを行っている全国約3万9,200事業者のうち約1割が、このお泊まりデイを実施しているのではないかと見ているとのことですが、小樽市内で、このお泊まりデイを行っている事業所はありますか、伺います。
このお泊まりデイが増えた理由として、特別養護老人ホームの待機者が多いことから、家族としてはなじみの施設にそのまま預けられる気軽さもあり、また、急な泊まりが必要になったときや在宅介護で限界を感じている介護家族にとって欠かせない、必要不可欠なサービスになりつつあるようです。しかしながら、このお泊まりデイについては、介護保険の枠外であることから、国の基準がなく、問題点も指摘され、利用者を保護するため、厚生労働省では定員を定めたガイドラインや施設の実態把握と指導を強化するため、都道府県への届出制も導入すると聞いています。小樽市では、このお泊まりデイについてどのような認識を持たれているのか、伺います。
さて、特別養護老人ホーム入所待機者の受皿とも言うべきこのお泊まりデイですが、第6期小樽市高齢者保健福祉計画と介護保険事業計画の策定委員会において、介護給付費の増加に伴う財政負担増を避けるため、小樽市では、老人保健施設やグループホームも含め、新たな施設整備は行わない方針を示し、同意されたとお聞きしました。小樽市における各施設の入所待機者数と特別養護老人ホーム入所待機者の人数を介護度別にお示しください。
市では、施設整備を行わない対応策として、待機者には在宅サービスの充実をすることとし、小規模多機能型居宅介護と訪問看護を組み合わせた複合型サービスを行う事業者や定期巡回・随時対応型サービスの拡充を図ると考えているようですが、特養待機者の受皿とも言うべき複合型サービスは、市が公募したにもかかわらず、事業所の応募はなく、定期巡回・随時対応型サービスも利用が伸び悩んでいると聞いています。本当にこれが特養待機者の受皿となり得るのか懸念されますが、新たな施設整備を行わない方針に同意するまでの策定委員会の議論経過をお示しください。
この両サービスが受皿となり得なかった場合、特養待機者はますます増加すると思われますが、このことに対する御見解もお示しください。
次に、介護職員不足の対応策について伺います。
人口減少が社会に与える一般的影響の一つとして、労働者数の減少が挙げられますが、そうした中で深刻なのが介護職員不足であると指摘する声があります。その理由として、高齢者が増加することに伴い介護を必要とする人が増える一方で、生産人口が減少することにより、介護人材の大幅な不足が考えられるからです。今後、小樽市ではどのくらい不足すると考えているのか、団塊の世代が全員、後期高齢者になる2025年度をめどにお示しください。
また、介護職員は、他の産業と比較しても離職率が高いと言われています。資格を持っていても、実際に資格を生かし、現場に立つ人は6割にとどまっているのではないかと伺っています。このように、需要が増える一方で、離職者の多さが人手不足に輪をかけているように思います。
その理由の一つに、激務の割に賃金が低いことが挙げられています。ある統計調査によれば、全産業に対して、女性の場合は月額にして四、五万円低いのに対し、男性の場合は何と10万円も低くなっています。かつて寿退社といえば女性に対して使用することが多かったのですが、昨今は男性の介護職に対して使われる言葉になりました。賃金が安く、これでは妻子を養っていけないと、結婚と同時に離職し、他の職種への転職を図るというものです。これは笑い事ではなく、かつて我が家に営業で訪れた人が、まさしくこれに該当する方でした。市は、これ以外に、介護職員が定着しない理由についてどのように認識しているのか、御見解をお聞かせください。
市では、本年、失業中の方を対象に、北海道の緊急雇用創出事業として介護人材確保支援事業により、市が委託する受託施設や事業所で働きながら介護職に必要な知識・技術を習得させる事業を行っていますが、応募状況はどうだったのか、伺います。
また、市では、本年、介護従事者処遇状況等調査を行うと聞いています。この調査は、過去にも行ったことがあると思いますが、どのような視点で調査を行うのでしょうか。そして、その調査結果についてはどのように公表し、どのように活用するおつもりか、お考えをお聞かせください。
5月末の人口統計調査で、小樽市は、道内10都市で初めて高齢化率が35パーセントを超えました。そのうち、単身で暮らされている方や高齢者だけで世帯を構成されている方もいます。これからは、介護サービスを必要とする高齢者が増えることがあっても減ることはないと思います。小樽市にとって、この介護人材不足は大変深刻な問題です。家族だけの支えでは、おのずと限界があります。利用料金が別枠でかかったとしても、先ほど述べたお泊まりデイを利用する人が増えた理由の一つに介護疲れとあるように、在宅でサポートする家族の負担軽減につなげるためにも、介護職員の確保に向けて市としてもしっかりと取り組んでいただきたいと要望いたしますが、この点について、この項の最後に市長の御見解を伺います。
○議長(横田久俊)理事者の答弁を求めます。
(「議長」と呼ぶ者あり)
○議長(横田久俊)市長。
(中松義治市長登壇)
○市長(中松義治)ただいま、介護について御質問がありました。
初めに、施設入所待機者の対応策についてですが、まず市内のお泊まりデイを行っている事業所につきましては、5事業所があるとの情報を得ておりますが、介護保険適用外のサービスですので、正確な実数を把握しているものではありません。
次に、お泊まりデイの認識につきましては、介護保険適用外のサービスのため、法的な規制がない状態にあり、夜間に起きた事故の報告義務もない中で、転倒や誤飲、死亡事故なども起きているとの報道があることは承知しております。このため、国は、来年度から、ガイドラインとして1人当たりの床面積や連泊数などを示し、都道府県への届出を義務づけ、その内容を公表することとしており、今後は最低限のサービスの質が担保されていくものと認識しております。
次に、施設入所待機者数につきましては、平成26年9月の調査では、特別養護老人ホームでは685人、老人保健施設では103人、グループホームでは110人でありました。
また、特養の待機者の要介護度別人数は、要支援が9人、要介護1が87人、要介護2が184人、要介護3が140人、要介護4が152人、要介護5が113人となっております。
次に、新たな施設整備を行わないとした策定委員会の議論経過につきましては、本市の施設定員数を道内主要都市の高齢者人口1,000人当たりの定員数で比較すると、介護療養型病床とグループホームで割合が非常に高く、施設全体の定員数では一番高い状況であること、また、地域包括ケアシステムの構築のためには在宅サービスの充実が必要であること、将来の高齢者の人口は平成32年をピークに減少していくと見込まれること、さらに高齢者人口に対し、サービス利用者が6人に1人という実態にあることなどから、給付と負担のバランスを考慮すると、第6期計画の中では新たな施設整備は難しいのではないかといった議論が行われました。
次に、特養待機者が増加するのではないかとのことでありますが、新たな施設の整備が難しい状況の中では、介護サービスが必要な高齢者の在宅での生活支援を充実させる必要があります。確かに定期巡回・随時対応型サービスは、現状では利用が伸びておりませんが、利用促進に取り組み、また、複合型サービス、若しくは小規模多機能型居宅介護といった在宅サービスの充実により、待機者の増加に対応していかなければならないと考えております。
次に、介護職員不足の対応策についてですが、まず2025年度をめどにした小樽市の介護人材の不足につきましては、国は、今年度中に2025年度までの介護人材の需給量を都道府県別に推計する予定でありますが、市町村別の需給量は示されないことから、現時点では、本市独自の推計は難しいものと考えております。
次に、賃金が低いこと以外に介護職員が定着しない理由につきましては、職場をやめた理由として、結婚・出産・育児、職場の人間関係や勤務条件が合わなかったという国の調査結果がありますが、ほかにも腰痛などの体の不調、職員数の少ない夜間勤務時に何か起こるのではないかという不安があるなど、高齢者や認知症の方の世話をする介護職特有の精神的・身体的ストレスも要因と考えております。
次に、介護人材確保支援事業の応募状況につきましては、市内の介護サービス事業者に委託して、ハローワークで就業希望者の募集を行いましたところ、22名の応募がありました。このうち、10名が採用されております。
次に、介護従事者処遇状況等調査につきましては、小樽市内の介護サービス事業所の実態を把握するために、介護従事者数、雇用形態、採用・退職の動向についての調査を本年10月に実施し、職員給与については、来年1月に実施する予定です。調査結果については、市のホームページで公表し、介護事業所の労働環境の整備や介護従事者の質の向上に役立てたいと考えております。
次に、介護職員確保に向けた見解につきましては、本年9月に市で行った介護サービス事業所に対するアンケート調査からも、介護職員の確保は多くの事業所で大きな課題となっていることがわかりました。国では、介護職のイメージアップや処遇改善など必要な取組を進めておりますが、介護職員の確保は、本市に限らず全国の自治体共通の課題であります。本市としても、全国市長会を通じて介護従事者の不足について、国の責任において早急に措置を講ずるよう要望しているところであります。今後も引き続き要請してまいりたいと考えております。
○議長(横田久俊)次に、第5項目めの質問に入ります。
(「議長、9番」と呼ぶ者あり)
○議長(横田久俊)9番、松田優子議員。
(9番松田優子議員登壇)
○9番(松田優子議員)5項目め、街路防犯灯について伺います。
街路防犯灯の助成制度につきましては、5月に開催された市民と語る会での複数の市民の方からの御意見・御要望に端を発し、第2回定例会以降、活発に議論され、市長は、厳しい財政状況であるが、財源も含めて助成制度のあり方を検討していくとお考えを述べられておりましたが、先日行われた町会長と市との定例連絡会議において、市長は、街路防犯灯のLED化について、設置費の9割を市が負担し、来年度から3年間で全て交換するとの方針を示したとお聞きしました。
交換対象の街路防犯灯は約1万3,000灯とし、4億円から5億円の設置費用を3年間で均等に分けると、年間で1億3,000万円から1億7,000万円になります。一番心配される費用の財源確保ですが、11月28日の定例記者会見で、市長は、国や道の補助がない場合でも独自に取り組む考えを示したとのことです。街路防犯灯のLED化についての財源確保は本当に大丈夫なのか、伺います。
次に、交換方法についてお聞きいたします。
交換対象は約1万3,000灯で、今あるものを全部交換するということですが、現在の設置場所によって必要か、不必要かなどの交換場所の精査はしないのか、伺います。
町会は1割負担として、3年間で4,000万円から5,000万円程度を負担することになりますが、町会として一番多いところで何灯交換することになるのか、わかっていたらお聞かせください。
3年計画の分け方ですが、町会ごとの3分の1か、それとも市内を3分割にしてブロックごとで1年ずつ交換するのでしょうか。交換方法についての考え方をお聞かせください。
1灯当たりの交換費用は、単純に割り返すと3万円から4万円になり、今までの助成方法だと、町会でいったん交換費用を全額負担し、後で市に請求して助成金が支払われることになっていましたが、町会によっては資金が潤沢で立替払が可能なところとそうでないところと差があると思われます。場合によっては、委任払いのように1割を町会で支払い、残りの9割を市が業者に支払うなど、支払方法には検討の余地はあるのでしょうか。御見解をお聞かせください。
次に、規則の変更について伺います。
本来の街路防犯灯の助成制度は、規則で設置費は2分の1以内とあり、助成金の額が定められていますが、新たな助成制度は規則を変更した上で行うのでしょうか、それとも特例として別枠で行うのでしょうか、お聞かせください。
また、来年度から3年間で全市内がLEDに交換することになりますが、それ以降も従来の街路灯助成制度については継続させるのか、お考えをお聞かせください。
最後に、制度の課題についてお聞きいたします。
3年間という短期間で一気に街路防犯灯を交換した場合、次回の交換時期が集中するのではと懸念する声も聞かれますが、制度全体を通して課題はないのか、伺います。
ともあれ、このたびの市長の英断は、町会にとって朗報と思われます。まだまだ課題はあるかと思いますが、LEDへの交換は省エネという側面もあります。街路防犯灯のLEDへの交換がスムーズにいくようよろしくお願いいたします。
○議長(横田久俊)理事者の答弁を求めます。
(「議長」と呼ぶ者あり)
○議長(横田久俊)市長。
(中松義治市長登壇)
○市長(中松義治)ただいま、街路防犯灯について御質問がありました。
初めに、LED化の財源確保についてですが、財源につきましては、今後、予算編成を行う中で確保し、対応してまいりたいと考えております。
次に、交換方法についてですが、まず交換場所の精査につきましては、その地域の状況を十分承知している各町会において、既に設置されている街路防犯灯の必要性について判断していただきたいと考えております。
また、町会として最も多い交換灯数につきましては、およそ900灯であります。
次に、交換方法についての考え方につきましては、LED化による電気料金の縮減効果が各町会においてできるだけ均一になるようにするため、町会ごとに対象となる街路防犯灯の3分の1ずつを1年間に交換していただくことを考えております。
次に、助成金の支払方法につきましては、従来の街路灯設置費助成金の支払方法では、町会に一時的に立替払が生じますので、委任払いも含めて町会に立替払が生じないような方法について検討しているところであります。
次に、規則の変更についてですが、まず新たな助成制度を実施するための規則につきましては、新たな助成制度は3年間に限定した制度と考えておりますので、特例として現行の街路灯助成規則とは別に要綱を定め、事業を進めていきたいと考えております。
また、従来の助成制度につきましては、今回の事業終了後につきましても、引き続き継続してまいりたいと考えております。
次に、制度の課題でありますけれども、財源を確保することはもちろんのこと、町会間の公平性を確保すること、短期間で事業を円滑に進めるために制度内容の十分な周知の徹底を図ることなども課題と考えております。
○議長(横田久俊)次に、第6項目めの質問に入ります。
(「議長、9番」と呼ぶ者あり)
○議長(横田久俊)9番、松田優子議員。
(9番松田優子議員登壇)
○9番(松田優子議員)最後の質問項目になります。
空き家対策について伺います。
5年に1度実施される住宅・土地統計調査の平成25年実施分の結果がまとめられ、この7月に総務省より発表されましたが、それによると、全国で空き家は820万戸で、賃貸・売却用や別荘を除く放置された空き家を含むその他住宅は318万戸で、5年前より50万戸増えたとあります。
そこで、この放置された空き家対策について伺います。
このことについては、今までに何度も何度も条例化を含め対策を講じるよう、機会あるごとに述べてまいりましたが、そのたびに、国の動向を見て条例化するか否かの判断をするとの御答弁に終始していたように思います。
そして、ようやく11月19日に、空家対策特別措置法が国会で成立しました。この空家対策特別措置法により、自治体で可能になる対策にはどのようなものがあるのか、伺います。
この空家対策特別措置法が成立したことにより、小樽市における空き家対策の条例化については必要がなくなり、今後、特別措置法に基づいて対策を講ずることになるのか、伺います。
なお、この特別措置法は、来年5月中には施行される予定と聞いておりますが、小樽市における空き家対策は今後どのように進められていくのか、お考えを伺います。
なお、この空家対策特別措置法ができたとしても、課題が残ると思われますが、小樽市における課題にはどのようなことが考えられるのか、お示しください。
この空家対策特別措置法により、今まで課題であった空き家の所有者の特定がしやすくなると思われますが、特定できるまでには日数がかかる上、たとえ特定できたとしても解体費用が捻出できない方などに対し、貸付制度、助成制度を設けるなど、新たな制度設計もしなければならないと思います。その点についての御見解も伺います。
また、ある事例として、遠方に住む所有者にかわり、業者やNPO法人、また、シルバー人材センターに管理を委託するなどの動きが出始めたといいます。これについても、御見解を伺います。
空家対策特別措置法ができたとしても、課題もあり、それで全部が解決できるとは思っていません。今後、人口減少により、空き家が増える可能性がますます大きくなります。法制化とともに、空き家を出さないための中古住宅の活用や住宅の新築抑制など、課題はまだまだ大きいと思いますが、ともあれ特別措置法が成立したことにより、小樽市だけではなく、条例を制定していなかった自治体にとっても新たな一歩を踏み出した意義は大きいと思います。一日も早く空き家対策が進むことを願っております。
以上、再質問を留保し、質問を終わります。
○議長(横田久俊)理事者の答弁を求めます。
(「議長」と呼ぶ者あり)
○議長(横田久俊)市長。
(中松義治市長登壇)
○市長(中松義治)ただいま、空き家対策について御質問がありました。
初めに、いわゆる空家対策特別措置法により可能となる対策につきましては、所有者等を把握するための立入調査や固定資産税情報の内部利用のほか、危険な空き家に対する措置として、助言、指導、勧告、命令、行政代執行ができると規定されたところであります。
次に、条例と特別措置法との関係につきましては、このたび特別措置法が成立したことから、今後は、まず法に基づいた対応の検討を進めていく必要があるものと考えております。
また、条例化につきましては、これまで検討を行ってきた内容が特別措置法におおむね盛り込まれておりますので、現在、特別措置法の条文を精査し、本市として法制化された以外に条例を制定して規定すべき項目がないか、確認作業を行っているところであります。
次に、今後、空き家対策をどのように進めていくかにつきましては、国においては、法の施行に伴い、国が講じる施策などを明記する基本指針や危険な空き家の判断基準、助言や指導などの手続の進め方を示すガイドラインを策定する予定であることから、それらに基づき事務処理の手順などを整理する必要があると考えております。
また、法には、市町村は、国の基本指針に即した空家等対策計画を策定できるという規定なども盛り込まれているところから、これら取組について検討を行ってまいりたいと考えております。
次に、本市における課題につきましては、これまで行政代執行を規定する条例を制定した自治体においては、危険で撤去が必要な家屋であっても、私有財産であることや費用回収の可能性が低いことなどを理由に、ほとんどが行政代執行の実施に至っていない状況にあります。このたびの特別措置法では、法的な根拠が付与されたほか、国などによる財政上の措置などが規定されておりますが、具体的な支援内容は今後示されるものであることから、本市に限ったものではありませんが、行政代執行に係る費用の回収は課題の一つであると考えております。
次に、解体費用に対する新たな制度につきましては、解体助成では、管理や撤去を自費でされている所有者との公平性や危険になるまで放置される可能性などが懸念されるところであり、公平性と市民の安全・安心の両面から慎重に検討する必要があるものと考えております。
次に、所有者にかわり第三者が管理をする動きへの見解につきましては、御質問にもありましたとおり、民間事業者やNPO法人、シルバー人材センターが空き家の管理を受託している事例については幾つか承知しているところであります。費用は、所有者が負担しているものと認識しておりますが、このような取組は、危険な空き家になることを未然に防ぐ手法の一つではないかと考えます。
(「議長、9番」と呼ぶ者あり)
○議長(横田久俊)9番、松田優子議員。
○9番(松田優子議員)御答弁いただいた中で、2点ほど再質問させていただきます。
まず、防災についてですが、防災教育の必要性について質問し、先ほど教育長から御答弁いただきましたけれども、やはり大人に対する防災教育も大事だと思います。釜石市長は消防団の経験があるということから防災意識が大変強い方でした。災害が起きたとき、市の職員もいろいろな役割を果たすことになります。
そこでまず、率先して市職員の防災意識の向上を目指すために、市職員に対する防災講座を別枠で設けるなど、啓発活動を考えていただきたいと思いますが、この点についてお考えをお聞かせ願いたいと思います。
もう一点は、空き家対策の件です。
空家対策特別措置法ができたことによって、今後は、この措置法に基づいていろいろ計画が行われるとお聞きしましたが、担当部署は今までと同じように、今まで庁内検討会議が行われてきましたけれども、そのまま、この検討会議が横滑りという形でこの措置法に向けての対策をしていくのか、その点についてお聞かせ願いたいと思います。
○議長(横田久俊)理事者の答弁を求めます。
(「議長」と呼ぶ者あり)
○議長(横田久俊)総務部長。
○総務部長(迫俊哉)松田議員の再質問にお答えいたします。
一つは、防災教育の関係で、市職員に対しても啓発をしてはどうかということでございますけれども、現在、職員の研修の中で、災害が起きた場合のそれぞれの役割分担ですとか、あとは今度、職場研修の中で災害が起きたときのそれぞれの対応などについて研修をさせていただいております。啓発ということですけれども、基本的には今の体制の中でやらせていただきたいというふうに思っております。
続きまして、空き家の担当部署についてでございます。
現在、人事編成の中で体制については考えていきたいと思っておりますけれども、3名程度の配置は考えていきたいというふうに考えてございます。来年は、統一地方選挙の年でございますので、人事配置は6月以降になりますけれども、6月以降には新たな体制で、この空き家対策に本格的に取り組んでいきたいということで考えております。
ただ、その3名をどの部署に配置するかということにつきましては、今後の人事編成の中で検討させていただきたいというふうに考えているところでございます。
○議長(横田久俊)松田議員の会派代表質問を終結し、この際、暫時休憩いたします。
休憩午後2時15分
――――――――――――――
再開午後2時45分
○議長(横田久俊)休憩前に引き続き、会議を再開し、会派代表質問を続行いたします。
(「議長、18番」と呼ぶ者あり)
○議長(横田久俊)18番、山口保議員。
(18番山口保議員登壇)(拍手)
○18番(山口保議員)民主党・市民連合を代表して質問いたします。
質問に入ります前に、突然の入院騒動で皆様に御心配、御迷惑をおかけしましたことを、まずもっておわび申し上げます。
さて、それにしても衆議院の突然の解散であります。政府の経済政策の失敗が言い逃れできないほど明らかになる前に解散しておこうという極めて身勝手な解散で、地域、国民にとっては迷惑極まりない話であります。
政府の経済運営は、低迷する日本経済の成長を促し、長引くデフレ経済から脱却するためには、異次元の金融緩和を行って円安誘導し、輸出を増やし株価をつり上げ企業競争力を高め、結果、企業収益が上がれば賃金が上昇し、円安による輸入物価の上昇も吸収され、また、雇用も増えるであろう、結果、日本の経済は、急速に成長軌道に乗るであろうというものであります。株などを持っていない大多数の国民も株価の急騰に何となく日本の誇りを取り戻した気分に浸っているという昨今の国の景色ではないでしょうか。
経済が成長し景気がよくなれば、雇用も増え国民の所得も増えるという常識は、もはや前世紀、正確に言えば1990年以前のものでしかありません。労働と資本の分配比率が変わらなかった1990年以前に比べ、経済のグローバリゼーションが始まり、資本が国境を越え、生産拠点を自由に選べるようになって以降、雇用の流動化が始まり、資本と労働の分配構造が限りなく資本の側に有利に分配されるよう変化してきたことは、国内でも戦後最長の実感なき好景気と言われたいざなみ景気時の各種統計指標を見れば、一目瞭然であります。景気回復もグローバルな資本、世界的企業には利益があっても、雇用者、国民には何の恩恵もなくなったと言わざるを得ません。
財務省国税庁の民間給与実態統計調査によりますと、いざなみ景気、2002年2月から2007年10月の間、2003年の雇用者報酬総額は203兆6,827億円で2006年には200兆346億円。3兆6,500億円も減少しております。この間の法人企業経常利益は、財務省の年次別法人企業統計調査によれば、2003年度36兆2,000億円から2006年度54兆4,000億円と18兆2,000億円も積み増ししております。
ちなみに、この間の2004年には、小泉内閣による労働法制の規制緩和により、製造業への派遣労働が解禁されております。安倍内閣発足前の2012年の雇用者報酬総額は191兆996億円であり、2013年には200兆3,597億円と9兆2,600億円増加していますが、これは一部大企業のボーナス増や若干の賃金増、それに雇用者数の増加が反映していると思われます。
しかし、実態を見てみますと、正社員は3,327万人から3,305万人と22万人減少し、非正規社員は、逆に1,829万人から1,952万人と123万人増加しており、中身はパートや契約社員や65歳以上の高齢者であり、特に高齢者は2年前の365万人から424万人に増加しているというのが実態であります。
また、年収200万円以下の人は1,090万人から1,120万人に増加、株・預貯金のない人の割合も26パーセントから30.4パーセントと増加いたしております。円安による物価上昇を加味すれば、実質賃金と家計の実質所得はさらに減少しているというのが実態ではないでしょうか。消費が6割を占める我が国のGDPが下がるのも、そうした実態を素直に反映しているのではないでしょうか。
いずれにしましても、景気の動向によって多少の雇用者報酬の変化はあっても、1990年以降、グローバリゼーションが広がるにつれ、下がり続けていることは、先ほどお示しした民間給与実態統計調査の指標1998年を見ますと、222兆8,375億円あったものが、2013年には200兆3,597億円となっておりまして、22兆4,778億円も減少しているわけですから、消費は上向くはずもなくデフレは続くほかないわけであります。円安によるインフレ誘導は、消費に悪影響を与え、国内需要に依拠しているサービス業や国内産業の弱体化を招く結果となります。政府の経済運営は、国家の弱体化や不安定化につながりこそすれ、繁栄に向かうものでは決してないと私は断言していいと思います。
また、衆議院解散によって不成立になったものの、非正規労働を拡大、常態化してますます低賃金労働者を増やす労働者派遣法の見直しや成果主義による企業経営を標準化する「残業代ゼロ法」の導入、法人税率の低減など、国民国家の崩壊は加速するばかりであります。特に、成果主義の企業への導入は、アメリカに倣っていち早く導入して、没落しつつあるソニーの教訓を思い起こすべきだと思います。
本年8月、公表された厚生労働省の労働経済白書原案の中では、就労意欲と企業の売上高に占める経常利益の相関関係の結果が示されております。就労意欲が高い企業の利益率は4.7パーセントに対し、就労意欲が低い企業の利益率は3.0パーセントとなったと報告されております。短期利益を追い求める成果主義は、こうして失敗をするわけであります。
私見ですが、私は、労働者の直接雇用が大原則だと考えております。労働基準法第6条には、「何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない」とあります。たとえ経済のグローバリゼーションによって労働環境が世界的に変化したとしても、正規労働者の平均賃金の半分にも満たない非正規労働者の実態は放置されていいはずがありません。少なくとも同様に労働者派遣法を制定したドイツやフランス、オランダなど、派遣元企業や派遣先企業の責任を法律で明確に義務づけ、正社員に与えられているのと同じ賃金と労働条件であることを派遣労働者に保障することが義務づけられているEU諸国並みに制度をこの国も整えなければ、非正規労働者の多くを占める若年層の将来不安はますます増大し、社会の不安定化につながることは目に見えております。そして、少子化はますます進み、また、低所得者層の増加は国内経済を縮小させ、社会保障制度の維持は困難となり、国の変質、崩壊につながっていくことは自明であります。
今世紀に入って以降、経済成長神話は人々を豊かにすることはなくなったのではないかと私は考えるようになりました。そしてまた、リーマン・ショックで見られた金融の暴走は再び引き起こされ、グローバリゼーションにより国家の足かせを解かれた企業は、国民国家の利害を無視した経営に向かわざるを得ず、結果、国民国家は、ますます劣化、崩壊に向かっている、それが今日の現状ではないかと考える次第であります。
一方、地方の現状はどうでしょうか。データでは、資本金10億円以上の製造業では給与、賞与ともにわずかに上昇しておりますが、資本金1億円未満1,000万円以上では下がり続けております。地方の景況感が悪いわけであります。
公共事業拡大による地方経済対策は、景気対策の常套手段でありますが、高度経済成長の時代でさえ、地方には恩恵が薄かったことは、内閣府で公表された都道府県別社会資本ストックの実質額、1960年から2009年によって明らかになっております。ここでは、2009年には1人当たり実質県民所得が小さい都道府県ほど人口1人当たりで多くの社会資本ストックを持っているにもかかわらず、そうした社会資本の地域的重点配分が地域の生産性向上、所得の向上に結びついていないことが示されております。2013年の県民所得は、東京都で437万円、沖縄県をはじめ北海道でも東京都の半分の所得でしかありません。
また、社会資本が増加した場合の生産の変化率では、東京都で0.63、最も低い島根県、高知県では0.13と、地域経済に必ずしも恩恵を与えていなかったことが実証されております。低成長時代に入って以降、地域の土建建設業は縮小、公共事業が拡大されても大手事業者が事業を受注するばかりで、わずかな恩恵を下請、孫請で奪い合う構図は皆さん御承知のとおりであります。
また、地域に所得が残らない構造は、本市のように、これといった製造業に乏しく、卸・小売の商業に依存してきた地域には、はっきりと表れてきております。2000年の6月、大規模小売店舗法が廃止されて、出店規模がほぼ無審査で自由に立地が可能となって以降の地方都市や郡部の商業は、壊滅的な打撃を受け、廃業や事業縮小で地域経済に深刻な影響を与えております。
本市への影響については、これまでも機会あるごとに触れさせていただき皆さんも御承知と思いますが、いま一度、本市各種統計資料で確認をさせていただきたいと思います。
卸・小売業の年間販売額の推移で見ますと、2000年以前は、おおむね卸・小売合わせて4,000億円台で推移していたものが、2000年以降、急速に下がり始め、統計上、2000年に近い1999年の3,887億1,000万円から8年後の2007年2,929億6,000万円と大幅減、実に957億円の減少、率にして約25パーセントも減少しております。2012年が直近のデータとなりますが、2012年の調査は国の経済センサス活動調査によるデータに変わっておりまして、それまでの調査との若干の相違が出たとしても、2012年の年間商品販売額は、2,144億8,000万円と2007年の前回調査時の2,929億6,000万円から784億8,000万円も減少しており、5年間で26.8パーセント減少と、急速に地域経済の縮小が起きていることがわかります。この間の人口減少は、おおむね5年間で5.5パーセント減、労働力人口も約11パーセント減ですから、地域経済の衰退のスピードが、いかに急激なものかが理解できると思います。
市民所得についても見てみますと、市民税所得区分別所得金額では、2009年度1,364億2,339万1,000円に対し、2013年度1,213億1,307万9,000円ですから、5年間で約11.1パーセントの減少となっております。地域に所得が残らない構造が進み、行政の運営もますます地方交付税頼みとなり、硬直化が進むという現状ではないでしょうか。先ほどの卸・小売業年間販売額の推移で、卸売と小売と分けて見てみますと、2007年から2012年の5年間で卸売は実に35.6パーセントの減少に対し、小売は17.3パーセントの減少であります。2011年の東日本大震災・原発事故の影響を考慮すれば、小売の落ち込みは、相対的に小さくなっております。
私は、本市は、観光を持っている分だけ、それだけ幸せだと言わなければならないと思います。かつて2000年と2004年に本市観光の経済波及効果が調査されております。おおむね本市経済に占める観光の効果は35パーセントとなっておりました。一方で、観光産品の地場調達率は、2000年65パーセント、2004年49.3パーセントと減少しております。それ以来、調査がないので推測するしかありませんが、ますます地場調達率は下がっているのではないかと危惧いたしております。観光の産業化がうまくいっていない証左であります。
私は、これまで菓子製造業や食品製造業の既存商品の評価見直しや包装デザインの見直しなど、観光土産品や贈答品などの商品力の向上には、専門家による評価や助言が必要ではないかと申し上げてまいりました。単年度の事業としてではなく、行政の施策としてしっかりと政策に組み立て、実行されるときではないかと考えております。
先日、私はちまたで評判になっているというので、日本総研の藻谷浩介さんとNHK広島取材班が書かれた里山資本主義という本を読ませていただきました。先ほど述べさせていただきました経済のグローバリゼーションの中で、ノルマに追われ短期の成果を求められ疲れ果てる正社員や、低賃金で人間の尊厳も奪われ使い回される非正規で働く若者も、多少多くの賃金を稼げるにしても、生活物価が相対的に高い都会で暮らし続けるより、水も食料もエネルギーも自給できる方法が残され、住まいも格安で借りたり手に入れられる田舎に生活を求めるほうがいいのではないか、都市と地方との格差が広がり、郡部では過疎化が進む今こそ可能になった生き方ではないか、過疎となった地域では、行政によるさまざまな移住支援も行われており、そうした選択が日本の経済のサブシステムとしてもう一度機能するのではないか、本書ではさまざまな事例が紹介され、静かにそうした流れが始まっていると感じさせていただきました。
本年10月末、会派の視察で、人口約2万4,000人、高齢化率40.8パーセント、九州の九重連山の山合いにある竹田市に行ってまいりました。2009年、新市長の誕生を受けて、農村回帰推進室を新設、専任職員2名が配置され、2010年には地域住民を集落支援員として組み入れ、農村回帰支援センターが設立され、移住・定住の支援体制の整備がなされております。
空き家バンク制度は、2005年から始められておりますが、固定資産税の納入通知書を発送する際に、空き家バンクへの登録のお知らせを同封し、空き家バンクへの登録を促して以降、2010年には26件、2011年には20件、2012年には50件と多くが登録され、一方で登録空き家の利用申込みは2013年度151世帯、世代別内訳を見ますと20代5世帯、30代51世帯、40代21世帯、50代26世帯、60代以上38世帯となっており、20代から40代が約6割を占めるという成果を上げておられます。空き家バンク制度が発足した2005年から2014年9月末までの延べ登録件数は188件、成約済数123件、現在公開中が30件だそうであります。
移住支援や空き家利用については、さまざまな支援制度が設けられておりますが、移住目的で空き家を購入した移住者が、その空き家を改修する際には費用の2分の1、上限100万円を助成、空き家の所有者と移住者の間で売買若しくは賃貸借契約が成立した場合、空き家の所有者に対して10万円を支給、お試し移住のために市内に連続して2日以上宿泊する場合、1人当たり1泊分3,000円を助成するなど、手厚い制度となっております。ほかにも、起業支援として地域で培われてきた歴史文化に根づいた起業を目指す各種工芸家などクリエイティブな移住者への100万円を上限とした2分の1の助成なども実施されております。
これらに対する各年度の決算状況は、2010年度273万3,000円、2011年度317万2,000円、2012年度764万5,000円、2013年度1,010万6,000円となっており、一般財源から手当されているとのことでありました。
移住実績では、2010年度12世帯21名、2011年度20世帯42名、2012年度30世帯59名、2013年度18世帯31名となっており、地元大分市内からの移住はもとより、全国各地からさまざまな業種での移住者の構成となっており、人口減対策や空き家対策というより、地域に新たな多様な人材を受け入れ、それが地域の刺激となり、将来のまちづくりにつながると理解をいたした次第であります。
空き家の活用につきましては、これまでもさまざまな議論をさせていただきましたが、本市でも新たな取組が必要だと感じております。いかがでしょうか、御所見を伺います。
次に、政府の原発を中心としたエネルギー政策と地域のエネルギー自給について触れさせていだたきたいと思います。
2011年の東京電力福島第一原子力発電所の大事故は、地域に重大な傷跡を残し、今なお収束しておらず、また、収束のめどさえ立っていないことは皆さん御承知のとおりであります。原発はエネルギーコストの安い電力と宣伝されてきましたが、先進国で最も高い電気料金を企業も家庭も払わされていることが、ようやく理解されることとなりました。
政府は、相変わらず原発を国内エネルギーのベースロード電源と位置づけ、国内のみならず輸出にも力を注ごうとしております。私は、EUを中心に自然エネルギーの利用のみならず、ガスや褐炭、これは亜炭とも言いますが、これらを利用した火力発電にシフトし始めているときに、我が国のこうした選択を大変奇異に感じております。
特に、褐炭の利用については、国内でも2013年11月、日本経済新聞朝刊で紹介されているように、東電が福島県広野町に出力50万キロワットの石炭ガス化コンバインド発電2基を新設、2020年から運転を始めると伝えられております。
褐炭は、かつて亜炭とも呼ばれ、戦前には日本各地で、また、北海道でも夕張などで採掘されてきた低品位の石炭のことであります。褐炭は、歴青炭など炭素の含有量が高い石炭とは違い、地表に近い層に集中しており、露天堀りで採掘されますが、重量の半分を水分が占め、発熱量も非常に低いために国内では全く利用されておりません。こうした褐炭を利用した石炭ガス化コンバインド発電とは、IGCCといいますが、まず褐炭を蒸し焼きにした際に発生する一酸化炭素や水素などの可燃ガスを燃料としてガスタービンを回して発電し、その際の排熱を利用して、もう一度蒸気タービンを回して発電する高効率の発電方式だそうであります。
東電広野発電所は三菱重工業株式会社が建設を担うそうですし、株式会社IHIはドイツのシュタインミュラー・エンジニアリング社を買収し、褐炭だきボイラーの開発を加速させるとのことであります。三菱日立パワーシステムズ株式会社は、ポーランドで褐炭だき臨界圧火力発電所建設プロジェクトの契約を本年7月に締結したと企業情報に報告されております。
また、こうした低品位の石炭は、世界各地のどの地域にも資源として埋蔵量が十分にあるとのことであります。国内重工業各社は、一方でこうしたエネルギーのシフトを原発などから切り替えつつあるのは、皆さんもあまり御存じないのではないかと思います。
北海道は、かつて国内有数の産炭地であったわけですから、こうした低品位炭である褐炭の利用が進めば、私はもう一度産業として成立し、エネルギーの自給も期待できるのではないかと考える次第であります。地域のエネルギー自給の動きは、木材の関税撤廃以降、放置され、保水力を失って土砂災害の一因ともなっている我が国の森林資源を間伐により手を入れ、山の復活と並行して得られた間伐材などの木質バイオマスを燃料とする発電が各地で始められております。
岡山県真庭市は、その先進地として全国的に注目されているまちであります。人口は約5万人、中国山地の山合いの、かつては林業で栄えたまちだということであります。今年9月8日の日経電子版によりますと、集成材大手の銘建工業(本社岡山県真庭市)など官民9団体は、間伐材などの木質バイオマスを燃料とする発電会社真庭バイオマス発電を設立、出力は1万キロワット、2015年4月の稼働を目指すとありました。総事業費は41億円、補助金16億円、借入れで23億円を調達し、燃料は真庭市を中心とした地域から間伐材など未利用材を年間9万トン、製材所から出る端材など5万8,000トンを集め、燃料購入費として年間13億円、そのほとんどが木材収集のための人件費に回ることから、雇用効果は200人から300人に上り、地域経済の活性化につながると期待されているそうであります。この発電所による電力は、真庭市の半数の世帯の1年間の電力を賄えるそうであります。
また、この発電を中心的に担う銘建工業は、木質ペレットも製造しており、1キログラム20円で販売、近隣の農家は、ハウス栽培の燃料を重油からペレットボイラーに切り替え、コストを切り下げて利益を上げているとの紹介もあわせてありました。一般家庭でも灯油からペレットストーブへの転換も進んでいるとのことであります。
こうした地域のエネルギー自給は、地域の所得を上げ、地域社会の再生を促す試みとして注目すべきだと考えます。北海道でも、上川町で間伐で出た木材をバイオマス燃料用のチップにする事業が始められております。本市を含む後志圏でも、豊かな森林資源がほとんど未利用となっております。北海道に働きかけ、本市もかかわり、真庭市のような取組が可能か検討を始めることが必要ではないでしょうか。市長のお考えを伺います。
最後に、本市まちづくりの根幹にかかわる問題について述べさせていただきます。
10月7日の北海道新聞に、民間シンクタンクのブランド総合研究所が発表した2014年都道府県・市区町村魅力度ランキングが掲載されておりました。市区町村の項で、本市は、昨年の6位から京都市に次いで4位と上がっておりました。
近年、本市議会でも、本市の人口減対策について多くの質問がなされております。都市の衰退は、長らく難問として残されております。先ほどから述べさせていただきましたように一自治体の努力だけでは解決は難しいと実感いたしております。しかし、これだけは肝に銘じておかねばならないと思います。それは、都市の持つ固有の魅力を持続的に高めていく努力だけは怠ってはならないということであります。その国の光を見るというのが観光だと申し上げてまいりました。これまで機会があるごとに本市のカジノ誘致については述べさせていただいておりますので、今回は多くを申し上げるつもりはありません。ただ、運河論争から今日に至るまで、官民挙げて築き上げられてきた本市観光のブランド力をおとしめることだけは絶対に認めることはできないと申し上げておきます。
私の本会議における質問は、今日で最後となります。これまで多くの機会を得て、長々と本市まちづくりに係る議論をさせていただきました。私のさまざまな提案に真摯に耳を傾け、さまざまな事業や施策に結びつけていただけたことを心から感謝申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。
まことにありがとうございました。(拍手)
なお、再質問は留保いたします。
(発言する者あり)
○議長(横田久俊)理事者の答弁を求めます。
(「議長」と呼ぶ者あり)
○議長(横田久俊)市長。
(中松義治市長登壇)
○市長(中松義治)山口議員の御質問にお答えいたします。
ただいま、我が国の経済構造の変化と地方のあり方について御質問がありました。
初めに、空き家利用と移住・定住についてですが、現在、人口対策を検討するための会議を立ち上げ、本市の現状に即した効果的な対策の立案に向けて検討を始めているところであります。移住・定住促進に向けた取組は、人口対策の一つとしても重要であると考えているほか、新たな住民の定住は、まちの活性化にも寄与いただけるものと考えております。
まちづくりは人づくりとも言われております。御質問の中では、都市住民の地方への回帰の可能性や空き家利用に向けた支援、起業支援などの事例を挙げられ、御提案がありましたが、そういった取組も参考としながら、また、空き家を資源として捉え活用する視点も踏まえ、移住・定住促進に向けた取組を検討してまいりたいと考えております。
次に、国のエネルギー政策とエネルギーの地域自給についてですが、真庭市の事例を参考とした本市を含む後志圏でのエネルギー自給の取組につきましては、真庭市のバイオマス発電は、間伐材や製材過程で発生する端材などを燃料として活用しているものであり、その導入によって地域の未利用資源の有効活用が図られ、地域の活性化につながるなどの利点があるものの、森林資源は広い地域に分散しているため、収集や運搬コストが高くなることや、燃料となる間伐材などを持続的に調達していけるか、設備投資に対して採算がとれるかなど課題もあるものと考えられます。このことから、エネルギーの地域自給の取組の可能性について検討を行うに当たっては、事業性についてなど、十分な情報収集を行う必要があると考えておりますが、地域で利用されていない資源などを有効に活用して、雇用の創出や地域内の富の循環を高めることは、地域の自立と活性化に向けて大変重要な視点であると考えております。
(「終わります」と呼ぶ者あり)
○議長(横田久俊)お疲れさまでした。
山口議員の会派代表質問を終結し、この際、暫時休憩いたします。
休憩午後3時23分
――――――――――――――
再開午後3時50分
○議長(横田久俊)休憩前に引き続き、会議を再開し、会派代表質問を続行いたします。
(「議長、3番」と呼ぶ者あり)
○議長(横田久俊)3番、中村岩雄議員。
(3番中村岩雄議員登壇)(拍手)
○3番(中村岩雄議員)第4回定例会に当たり、一新小樽を代表して質問させていただきます。
まず、小樽の少子化対策について、何点かお伺いいたします。
小樽市の直面している最も深刻な問題は、少子高齢化に伴う人口減少です。現在、日本は少子化にとても苦しんでいます。戦後の高度経済成長を支えた団塊の世代をピークに出生率は徐々に低下し、大家族の形態は崩れていきました。さらに、20年前のバブルの時期、人々は自分たちの楽しむ時間を最優先し、自分の生活を犠牲にしてまで結婚して子供を育てることを望まない時期がありました。しかし、バブル崩壊後、今度はデフレの波が押し寄せ、経済的格差が広がりました。余裕のある生活は不可能になり、娯楽にお金を費やすことなどできなくなり、生きていくことだけで精いっぱいな人たちがあふれてきました。特に、若い人たちは安定した収入を得られず、自分の生活だけでも困難であり、家族を養う自信さえ失うようになりました。そうしたさまざまな要因なども絡み合い、非常に深刻な少子化問題が生み出されてきたように感じます。このままでは、日本は衰退の道を進むのみとなり、早急な対策が必要となってきました。
私たちの住むまち小樽では、都市部よりも急激な少子超高齢化が進み、一刻の猶予も許されない状況です。早急かつ長期的な対策が必要です。そのためには、人々が安心して生活できること、つまり、ここ小樽でやりがいや生きがいのある仕事につき、家族とともに安定した楽しい生活ができなければなりません。
また、小樽に移り住みたいと思ってもらえる環境をつくる。安心して子供を産み、自然豊かで充実した医療・教育環境で子育てができ、安定した収入が得られ、温かい触合いのあるまちを目指すことが目標です。そのためには、医療機関、特に産科や小児科の充実が必要であり、今回のような小樽協会病院産科の休止に関しては、北海道の未来を考えていない行動と考えられ、早急な対処が必要でしょう。この件に関しては、一般質問で後ほど成田議員より質問があると思います。
北海道が京都府を抑えて、訪れたい都道府県の1番になりました。その中でも小樽市は魅力のあるまちとして人気があります。それにもかかわらず、少子高齢化と人口減が他の地域より進んでいます。もっと私たち小樽人が小樽市の本当の魅力を認識して、観光に行きたいまちから一歩進めて住みたいまちへ進化させるために何が必要なのか考えることが重要です。そのためには、行政の思い切った行動が必要であろうと考えます。例えば、小さな子供がいる人は、市民税などの減額をしていく。子供3人なら半額、子供4人なら全額免除など検討してはどうでしょうか。
また、小樽で起業したいと希望する人には中古物件などを用意し、短期間、事務所として無料で賃貸するなど、起業をバックアップするシステムをつくっていくのはどうでしょうか。御所見を伺います。
平成26年10月24日の新聞に、北海道人口減少問題対策本部が初会合を開き、骨子案を取りまとめたという記事が記載されていました。それによると、道内では農林水産業に従事する人の割合が高い自治体ほど合計特殊出生率が高い傾向にあること、また、観光業が盛んな自治体では若者が定着し、女性が子育てと仕事を両立しやすい環境づくりにつなげることが重要とされ、さらに人口減について、道庁内の関係部局が連携して取り組むため、11月に全庁から職員を集めて、同問題を専門に扱う部署を設置することを明らかにしたという内容の記事であります。
小樽市でも8月に人口対策庁内検討会議を立ち上げ、さらには11月に貞村英之副市長や小樽公共職業安定所長、小樽商工会議所や子育て支援団体の関係者、小樽商科大学生、公募で選ばれた市民ら計11人のメンバーによる小樽市人口対策会議を設置し議論を進めていくとのことですが、この対策会議にぜひ医療・福祉関係者も参加していただき、小樽市の医療や介護の未来像なども含め、幅広い意見も参考にすべきであると思いますが、いかがでしょうか。御所見を伺います。
○議長(横田久俊)理事者の答弁を求めます。
(「議長」と呼ぶ者あり)
○議長(横田久俊)市長。
(中松義治市長登壇)
○市長(中松義治)中村議員の御質問にお答えします。
ただいま、小樽の少子化対策について御質問がありました。
初めに、子供がいる世帯への市民税の減額につきましては、子育て負担の軽減に結びつく手法の一つと考えられますが、租税は公平に負担されるべきであるという原則がありますので、慎重な検討が必要であると考えております。
次に、起業をバックアップするシステムづくりにつきましては、本市では、これまで起業を考えている方などを対象に、経営の基本的なノウハウを学ぶ小樽商人塾を開催するとともに、この受講者等を対象に小樽市商業起業者支援事業として家賃助成により起業支援を実施しております。起業者を増やすことは、本市の人口対策においても重要なテーマであり、人口対策庁内検討会議や小樽市人口対策会議の中で議論を深めるとともに、国における地域の創業支援策も注視しながら、本市としての効果的な創業支援策を検討してまいりたいと考えております。
次に、医療・福祉関係者など幅広い意見も参考にすべきとのことにつきましては、人口対策はさまざまな要素が関係することから、小樽市人口対策会議の設置に当たっては、学識経験者や雇用・経済、子育て関係者など各界の皆様に委員をお願いし、できるだけ幅広く御意見をいただくこととしたものであります。今後の会議では、どのような人口対策が効果的であるのか検討を進めますが、御提案の件につきましては、議論の状況を見ながら必要に応じて判断したいと考えております。
○議長(横田久俊)次に、第2項目めの質問に入ります。
(「議長、3番」と呼ぶ者あり)
○議長(横田久俊)3番、中村岩雄議員。
(3番中村岩雄議員登壇)
○3番(中村岩雄議員)次に、小樽における病診連携から医療介護連携についてお尋ねいたします。
小樽市立病院が開院しました。掖済会病院は現在工事中ですが、来年には小樽の四つの基幹病院がそろいます。各病院の特色を生かしたネットワーク化、病院から診療所、かかりつけ医への病診連携の重要性を考える必要が大切になっています。プライマリーケアを担う診療所と2次病院、高次救急病院との連携をさらに強め、診療分野や治療ステージごとの役割分担を行い、効果的な医療を行うことが必要です。つまり、かかりつけ医はふだんの病状を十分把握しており、必要に応じて往診や治療を行いますが、病態が悪化したときは救急病院への搬送が必要となります。その後、回復して退院した後は、もとの診療所での往診や加療を行うように病院から患者を戻すよう連携をとります。
また、超高齢化社会を迎えた小樽市では、長期入院、長期入所が可能な療養型施設が非常に重要な役割を担ってくると考えられます。新聞にこのような記事も載っていました。救急病院に運ばれた高齢者のうち1か月後にもとの生活に戻れた人は約半数にすぎず、ある程度回復しても約2割が救急病院にそのまま入院し続けていたという調査結果が日本救急医学会で発表されました。この調査は、東京都指定二次救急医療機関254病院が対象です。調査期間の救急患者は、6割が65歳以上でした。搬送前の生活場所別に分析すると、介護施設から搬送された高齢者のうち介護施設に戻れたのは50パーセント、23パーセントが1か月後も救急病院で入院を続けていた。また、自宅から搬送された高齢者のうち自宅に戻れたのは57パーセント、約17パーセントがそのまま入院を継続していた。この調査をまとめた救急医学の専門家は、在宅医療や慢性期対応の医療機関など、高齢患者の救急病院退院後の受皿が不足していると話しています。高齢者の多い小樽でも、同様に慢性期対応の長期療養型施設が不足しているのではないでしょうか。
現在、小樽市で75歳以上の超高齢化も進んでいる中、現状の高齢者入院患者の流れについては、主に小樽市立病院、済生会小樽病院、協会病院、掖済会病院で入院治療を受け、状態が安定した後は中間病院へと移され、その後、長期療養が必要な患者は、介護療養型の病院かグループホームなどの施設に移る流れになっているようです。
しかし、現状では、介護療養型の病院は入院待ちがいっぱいであり、半年以上の入院予約待ちが必要となっており、中間病院がそれまで患者を入院させておくことができないため、介護療養型の病院かグループホームなどの受入れが決まらなければ、病院から患者を出すことができないというのが現状であると聞いています。そのため、病院がベッド満床のため、本来、入院治療が必要な患者を受け入れられないという状況が小樽では生まれているのです。この状態を解決するためには、各病院間の連携だけではなく、行政と医師会が連携して専門部署によるオープンネットワークをつくり、そこにアクセスや相談することによってスムーズに入院患者の流れをつくることも考えられます。
以前、代表質問の中で、施設入居者や入院患者の病歴、病状、薬剤情報を救急病院や各受診病院で確認できるようにしてはどうかと意見を述べましたが、その必要性が現在、高まってきたと考えられます。
そこで、在宅診療や施設往診で主治医が1か月に1回定期的に記載している診療情報提供書などを、お薬手帳や母子手帳のように受診時に持参してもらうようにしてはどうでしょうか、お考えをお聞かせください。
○議長(横田久俊)理事者の答弁を求めます。
(「議長」と呼ぶ者あり)
○議長(横田久俊)市長。
(中松義治市長登壇)
○市長(中松義治)ただいま、小樽市における病診連携から医療介護連携について御質問がありました。
在宅診療や施設往診において主治医が記載する診療情報提供書等を受診時に持参することにつきましては、主治医と患者が話合いの上で個別に決定されることと考えております。
○議長(横田久俊)次に、第3項目めの質問に入ります。
(「議長、3番」と呼ぶ者あり)
○議長(横田久俊)3番、中村岩雄議員。
(3番中村岩雄議員登壇)
○3番(中村岩雄議員)次に、小樽市の地域包括ケアについてお尋ねいたします。
高齢化の進展により医療内容は、つい先日言われていた病院完結型から地域全体で治し、支える地域完結型が求められるようになりました。今回改正になった国の社会保障制度改革と北海道の地域医療については、北海道の地域医療の現状を踏まえつつ地域完結型医療という考えの下、地域包括ケアを行うというものです。
この改正の注目点は、まず地域の役割が最重要であることを強調したところです。地域により今後の高齢化の進展が違うこと、そして地域によって資源、状況が全く異なることを理解すべきとされた点、また、高齢化のピークも地域ごとで大きく異なるということを示し、高齢化率という割合ではなく、数を考えて対応していくということが重要であるとした点、そして状況は地域により千差万別であり、対策も各地域で当然異なると考えて議論していくことが必要であるとしたところです。
医療の考え方として、多くの病気が治せた時代は、治すこと、救うことが考え方の中心でしたが、高齢者の著しい増加に伴い、多くの病気を治せなくなる時代は、治すこと、救うことから癒やすこと、抱えて生きること、支えること、みとることが重要になってきています。
超高齢化社会では、高齢者となる私たちにとって価値ある人間として社会に役立っていると実感できることこそが、健康であり続けることの原動力になると思います。癒やす医療、支える医療が主体となり、その人のQOL、生活の質を高め、人間としての幸せや喜びを感じながら生きていくことが重要です。そして大切なことは、命は永遠のものではなく限りあるものであると私たちが正しく認識することです。命は限りあるからこそ輝いているのだと実感し、命の終わりを言葉にすることをタブーとするのではなく、きちんと向き合って対応することが大切であると思います。ただ在宅、在宅と言うのではなく、そこに人生の最期をどこでどのようにみとるかという問題が出てきます。人間として尊厳ある最期を温かく迎えられるような対応を考えるべきです。
医療機関が地域でどのような役割を果たすのかは、医療機関の経営にも絡む重要な事項であり、行政が指揮すればいいだけの問題ではありません。経営的にも安定した形で地域のために心のこもった医療や介護を積極的に考えてもらうことが必要です。今後、北海道の病床数は減らす方向で考えられていますが、現在までの姿は7対1が36万床、10対1が21万床、13対1が2万7,000床、15対1が5万4,000床、療養病棟が22万床となっていました。改革後は医療機能の名称は変わり、高度急性期18万床、急性期35万床、回復期26万床、慢性期28万床と、バランスのとれた形になる予定です。国は在宅医療を進めていますが、現実的には十分な医療と介護のバックアップ体制がなければ、高齢者を高齢者が介護していくという、もとの老老介護に戻ってしまう可能性が高いと思われます。国が考えるほど在宅ケアは容易ではないと思われます。
新しくなった小樽市立病院をはじめ、各基幹病院、診療所、療養型病床、グループホーム、サ高住などが連携した医療・福祉・介護ケアに重要な役割があると考えます。病気の人だけではなく、高齢者で日常生活の自立をサポートする必要がある人など、さまざまな支援が必要です。
高齢者に優しいまち小樽としてアピールしながら進んでいくことも大事です。そして、病院、介護施設や自治体と行政など地域との協力関係は、時間をかけて地道に築いていくことが大切です。
また、行政と病院の地域医療連携室との情報共有や連携も必要です。小樽の基幹病院には、地域医療連携室が設置されています。それは、地域医療連携の充実による地域包括ケアの推進のためにさまざまなことを行う必要があります。患者が救急病院や基幹病院での治療を終えた後、病気や障害を抱えながらでも地域で安心して暮らしていけるように退院支援などを行い、継続治療、経過観察、リハビリが必要な方に転院施設の紹介が必要です。
また、自宅に帰っても治療や看護、介護が必要な方には在宅医の紹介、介護保険サービス、障害福祉サービスなどを利用できるように、患者や家族と一緒に相談しながらの支援も必要と思います。
そこでお伺いいたします。
地域包括ケアの小樽にふさわしい形をどのようにお考えですか。行政と医師会、基幹病院、診療所、療養型病床、グループホーム、サービス付き高齢者住宅などの連携を中心にお考えをお示しください。
施設入居者や高齢患者は病態が急に悪化したときにどうすればよいのかというアドバイスが必要です。かかりつけ医に連絡すべきか、救急車を呼ぶべきか、少し安静にして家族に連絡すべきかなどです。小樽市で地域医療包括ケア専門部署を設置し、小樽市全体の病院、介護施設などの情報を共有し、情報共有型のシステムづくりを行い、医療施設や介護施設が閲覧できるサーバとしての役割を担う構想についてどうでしょうか、お考えをお聞かせください。
○議長(横田久俊)理事者の答弁を求めます。
(「議長」と呼ぶ者あり)
○議長(横田久俊)市長。
(中松義治市長登壇)
○市長(中松義治)ただいま、小樽市の地域包括ケアについて御質問がありました。
初めに、本市にふさわしい地域包括ケアの形につきましては、本年10月、小樽市医師会を中心に歯科医師会、薬剤師会、医療機関、リハビリなどの専門職や市などの関係機関で構成するおたる地域包括ビジョン協議会が設立され、医療・介護の連携について協議をしていくこととなりました。協議会での議論を踏まえ、医療機関や介護事業所などの地域資源を活用しながら、本市の特性に応じた地域包括ケアを目指す必要があると考えております。
次に、地域医療包括ケア専門部署の設置と病院・介護施設等の情報共有型システムづくりについてですが、情報共有型の仕組みづくりは重要なものと考えており、先ほど申し上げましたおたる地域包括ビジョン協議会において医療・介護連携の協議を進めていく予定でありますが、協議の方向性を見極める必要があることから、サーバなどのICTを活用したシステムづくりには時間を要するものと考えております。
また、専門部署の設置につきましても、協議会の議論を踏まえながら考えてまいります。
○議長(横田久俊)次に、第4項目めの質問に入ります。
(「議長、3番」と呼ぶ者あり)
○議長(横田久俊)3番、中村岩雄議員。
(3番中村岩雄議員登壇)
○3番(中村岩雄議員)それでは、次の項に移ります。
エボラ出血熱について何点かお尋ねをしてまいります。
エボラ出血熱は、フィロウイルス科エボラウイルス属のウイルスを病原体とする急性ウイルス性感染症で、出血熱の一つです。人にも感染し、50から80パーセントという死亡率を持つ種類も存在します。人類が発見したウイルスのうちで最も危険なウイルスの一つであると言われています。エボラウイルスは、他の多くのウイルスと異なり、生体の防御機構をほぼ完全にすり抜けるという特徴があり、これが驚異的な感染性の高さにつながっていると考えられています。
また、細胞を構成しているたんぱく質を分解することで、最強の毒性を発揮し血管を攻撃させ破壊し、全身の臓器を冒して発症者を死に至らしめる病気です。そのためエボラウイルスは、WHOのリスクグループ4の病原体に指定されており、バイオセーフティーレベルは最高度の4が要求されています。
現在、厚生労働省からは、エボラ出血熱の国内発生を想定した医療機関における基本的な対応について通知が出されています。集団発生では致命率90パーセントにも達すると言われており、非常に危険な感染症だということは周知の事実です。外国からの観光客が非常に多い小樽市では、特に他地域よりもこうした感染症が入り込む可能性が高いと考えて、十分に備えていくことが必要と考えます。新型インフルエンザの発生が予想されたときも、十分な対処の準備がなされていたとは言いきれませんでした。
このたび、エボラ出血熱の疑い症状のあるアフリカ発生国からの帰国者をエボラ出血熱疑似症患者として取り扱うこととなりました。この疑似症患者が特定感染症指定医療機関又は第1種感染症指定医療機関以外を受診した場合について伺います。
厚生労働省の通知では、「指定医療機関と連携しつつ、移送に当たる職員等の感染予防に万全を期すよう」となっております。つまり、発熱患者の渡航歴を確認し、ギニア、リベリア、シエラレオネの過去1か月以内の滞在歴のある患者はエボラ出血熱疑似症患者として、直ちに保健所長を経由して都道府県知事への届出を行うとなっております。この時点で、この医療機関から指定医療機関へと移送が行われることと考えますが、具体的にこの医療機関が行うべき対処方法をお聞かせください。
また、エボラ出血熱は一類感染症であるため、特定感染症指定医療機関又は第一種感染症指定医療機関でのみ受入れ可能となっていますが、第一種感染症指定医療機関が入院で使われた例は過去に全国でも3例のみですが、対応模擬訓練などを十分に行う必要があるものと考えます。
また、途上国の経済発展などの進行により、アフリカなどでもインフラ整備が進んでいくと、エボラ出血熱以外でも日本で一類感染症に指定されているラッサ熱、マールブルグ病、クリミア・コンゴ出血熱など、また別のウイルス性出血熱が日本にも入り込んでくる可能性が考えられます。感染者当たりの平均感染率を1人未満に抑えなければ流行は終息できません。新たな感染者を素早く見つけるために感染者から接触者を聞き出す接触者追跡調査が行われています。CDCアメリカ疾病予防管理センターは、見逃された一人の接触者が大流行、アウトブレークを引き起こし得るとして警告しています。そうしたことも考え、火災訓練や避難訓練のように、その感染症対応訓練を全医療機関が毎年数回は行うべきであると考えますがいかがでしょうか、お考えをお示しください。
今回のアメリカの例では感染者との接触があるなど感染の可能性がある場合は、潜伏期間を過ぎるまで公共交通機関での移動やレストラン、食料品店、映画館などの人の集まる場所への外出を控え、朝夕2回検温して検疫所に報告し、熱や症状の出た場合は地域の医療機関を受診するのではなく、最寄りの保健所に連絡をして指示を仰ぐ必要があるとしています。
また、アメリカの一部の州やアメリカ陸軍などでは潜伏期間中も隔離措置が行われています。確かに人権問題も考えなくてはなりませんが、エボラ出血熱の疑似症患者が一般の医療機関を受診してしまった場合、そのとき居合わせた他の受診患者の安全、病院スタッフの安全を確保するために、どのような行動と対処が考えられており、保健所などからどのような指示が行くことになっているのかお示しください。
○議長(横田久俊)理事者の答弁を求めます。
(「議長」と呼ぶ者あり)
○議長(横田久俊)市長。
(中松義治市長登壇)
○市長(中松義治)ただいま、エボラ出血熱について御質問がありました。
初めに、エボラ出血熱疑似症患者が特定又は第一種感染症指定医療機関以外の医療機関を受診した場合の当該医療機関の対応につきましては、保健所が第一種感染症指定医療機関である市立札幌病院に移送するまでの間、当該医療機関に対し、疑似症患者の待機を要請するため、当該医療機関はマスクの着用や他の外来患者との接触を避けるなどの感染防止対策をとることになります。
次に、医療機関における感染症対策訓練についてですが、各医療機関においては、日ごろからさまざまな感染症の診療を行っており、全ての患者があらゆる感染源を持つと想定した基本的な感染予防対策は、とられているものと認識しております。
また、医療法上、院内感染対策として年2回の研修が義務づけられております。しかし、エボラ出血熱を含む一類感染症については、国による主導により対策訓練が進められていくものと考えております。
次に、エボラ出血熱の疑似症患者が一般医療機関を受診した場合の安全確保にかかわる保健所の対応指示についてですが、そのような事態になった場合には、他の受診患者との接触を避けるため、疑似症患者には別室で待機してもらうなどの配慮や感染の機会をできるだけ少なくするための適切な消毒方法、マスクや手袋などの使用について指導をいたします。
○議長(横田久俊)次に、第5項目めの質問に入ります。
(「議長、3番」と呼ぶ者あり)
○議長(横田久俊)3番、中村岩雄議員。
(3番中村岩雄議員登壇)
○3番(中村岩雄議員)それでは、次に、国際観光についてであります。
先月、本市の本年度上期観光入込客数が公表されました。全体の観光入込客数は387万3,400人、前年度より4万5,900人減少し、対前年度比では98.8パーセントとなりました。宿泊客数は37万500人、前年度より1,400人減少し、対前年度比では99.6パーセントとなりました。これらは、数字的には若干の減少となりましたが、ほぼ前年度並みであると理解しております。その中で、外国人宿泊客数については3万9,064人、前年度より5,030人増加し、対前年度比114.8パーセント、外国人宿泊客の延べ数も4万3,047人、前年度より4,121人増加し、対前年度比110.6パーセントと大幅な伸びを示し、いずれもこれまでで最高を記録しました。私も運河沿いや堺町通りだけではなく、JR小樽駅前や天狗山などでも多くの外国人が家族連れやグループなどで散策やショッピングなどを楽しまれている光景を見てきましたので、この数字につきましては、実感として受け止めております。
そこでお聞きいたします。
最初に、本年度上期の外国人宿泊客の傾向と増加したその要因についてお示しください。
現在、国においては、観光立国実現に向けたアクション・プログラム2014の中で東京オリンピックが開催される2020年に訪日外国人旅行者数を2,000万人とする目標を掲げ、ビザ要件の緩和やMICEの誘致・開催の促進、世界に通用する魅力ある観光地域づくりなどに関するさまざまな施策・事業が展開されています。
北海道においても、外国人観光客来訪促進計画の中で、平成29年度までに外国人の来道者数を実人数で120万人以上、訪日外国人客数における来道外国人客数のシェアを10パーセント、北海道にまた必ず来たいと思う旅行者の割合を60パーセントとする目標を設定し、国際定期航空路線等の誘致促進や戦略的な宣伝誘致活動を推進し、きめの細かい観光プロモーションを展開することとしております。
今や全国有数の観光地となり、中国や台湾はもとより、東南アジアのタイやシンガポールなどでの知名度も高くなった本市においても、国や北海道と連動した取組が求められ、国際観光の振興、外国人観光客の誘致は観光施策の中でも大変重要なものになってくるものと考えております。人口の減少などにより国内の旅行需要の大きな伸びが期待できない状況の中、本市が外国人観光客の誘致をより一層進めるためにも、私は受入れ態勢の充実と効果的な誘致宣伝の活動の継続が、その両輪となるものと考えます。
受入れ態勢の充実では、本市においては平成24年度から運河プラザ内に開設している観光案内所を小樽国際インフォメーションセンターに改称し、英語、中国語、韓国語に対応できる通訳案内職員を配置して、外国人観光客への対応をされておりますが、その利用状況と主な取組についてお示しください。
また、国際インフォメーションセンターの活動以外での外国人観光客の受入れについて、新たな取組などが行われていましたらお聞かせください。
宣伝誘致活動では、私は外国の方が来日され、本市だけを訪れ帰ってしまうということはまれなことであると考えており、近隣の市町村と連携し、エリアとしての魅力を発信することが、全国の観光地との競争に打ち勝っていくために必要であると考えております。そのような中、昨年度から本市が中心となり、北後志6市町村で小樽・北後志広域インバウンド推進協議会を組織し、広域で観光プロモーションを展開していることは、本市はもとより、後志地域、ひいては北海道全体にとって効果があるものと評価しているところであります。
そこでお聞きします。
本年度の小樽・北後志広域インバウンド推進協議会の事業内容と小樽観光協会が主催する事業も含めた本市の外国人観光客誘致に係る事業についてお聞かせください。
市長は、就任される際の公約の中で、「グローバル化時代の国際観光の挑戦」を掲げられておりましたが、現在の本市の観光振興において、まさに国際観光の振興、外国人観光客の誘致は大きなポイントとなっており、今後ますます重要な位置を占めるものになってくると考えております。
そこで、国際観光に関する質問の最後に、今後の外国人観光客誘致の展望と国際観光の戦略について伺いたいと思いますので、市長のお考えをお示しください。
再質問を留保して、質問を終わらせていただきます。
○議長(横田久俊)理事者の答弁を求めます。
(「議長」と呼ぶ者あり)
○議長(横田久俊)市長。
(中松義治市長登壇)
○市長(中松義治)ただいま、国際観光について御質問がありました。
初めに、本年度上期の外国人宿泊客の傾向につきましては、前年度比で中国が3倍以上、タイが2倍以上と大幅に増加しましたが、香港、韓国、シンガポールなどは減少し、上期のトップは、昨年まで8年連続の香港にかわり微増した台湾となりました。
増加の要因につきましては、円安傾向の継続や国のビザ発給要件の緩和に加え、中国については、自粛傾向にあった日本への旅行がハイペースで回復していること、タイについては、新千歳空港とバンコク間の直行便運航に伴い、本市をはじめとする道内各都市が観光プロモーションを展開したことなどが挙げられます。
次に、小樽国際インフォメーションセンターの利用状況につきましては、従来から運河プラザ内に設置の観光案内所を常時、外国人対応が可能な小樽国際インフォメーションセンターとして開設した平成24年度は、取扱件数が9万575件で、対前年度比108.7パーセントと増加し、平成25年度は8万9,901件で、ほぼ前年度並みとなっております。
主な取組といたしましては、窓口での観光案内業務のほか、観光協会が実施する外国語講座の講師や海外からの観光関連者招聘時における通訳、外国語資料の作成などを行っております。
また、新たな取組といたしましては、今年度、外国人観光客の需要が高い堺町通りに地元商店街が観光案内所を開設しており、英語、韓国語の通訳ができる職員を配置して、観光情報の提供を行っているところであります。
次に、本年度の小樽・北後志広域インバウンド推進協議会の事業内容につきましては、既にタイと台湾の旅行会社などの招聘や中国や台湾などで小樽・北後志を紹介するテレビ番組の放映、バンコクでの個人客向け旅行博への出展などを行ったところであり、今後は多言語での小樽・北後志マップの作成のほか、来年2月にバンコクで開催される国際旅行博への参加を予定しております。
また、本年度の本市の外国人観光客誘致事業につきましては、シンガポール、香港、タイの旅行会社やメディア、中国パワーブロガーの招聘などを行ったほか、北海道観光振興機構を通じてアジア諸国の旅行博14会場で、本市の観光パンフレットを配布したところであります。
次に、今後の外国人観光客誘致の展望につきましては、今後、訪日外国人旅行者のエリアが東アジア圏から東南アジア圏までに拡大していくことが想定されております。
また、国際観光の戦略につきましては、これまでに実績のある香港や台湾、中国などの東アジア圏に対しては、団体旅行から個人旅行へ移行していく流れを踏まえ、継続してメディアやウエブサイトなどを活用して最新の情報を発信していく必要があります。新たなターゲットとなる東南アジア圏に向けては、新千歳空港との直行便で結ばれる国々に対し、北後志の町村や札幌市のほか倶知安町やニセコ町などとも連携して、広域で効果的な施策を進めていかなければならないものと考えております。
(「議長、3番」と呼ぶ者あり)
○議長(横田久俊)3番、中村岩雄議員。
○3番(中村岩雄議員)詳しくは、予算特別委員会でやらせていただきます。
○議長(横田久俊)以上をもって会派代表質問を終結させていただきます。
次に、久末恵子議員から質疑及び一般質問を行いたい旨の申出がありますので、これを許します。
(「議長、28番」と呼ぶ者あり)
○議長(横田久俊)28番、久末恵子議員。(拍手)
(28番久末恵子議員登壇)
○28番(久末恵子議員)質問も終わりになりまして、皆さんお疲れのことと思いますが、少々のお時間をください。
質疑及び一般質問をさせていただきます。
初めに、赤岩遊歩道についてお伺いいたします。
この件につきましては、本年第2回定例会の質問をもちまして閉じさせていただくつもりでおりましたが、その後、新たな動きがありましたことから、報告も兼ねまして再度取り上げさせていただくことといたしましたので、御了承いただければと思います。
第2回定例会では、質問の最後に祝津のまちの中に赤岩遊歩道の案内看板を設置してほしいとの要望をつけ加えさせていただきましたところ、先般、道道沿いに早速取りつけていただき、大変うれしく思っております。この場をおかりいたしまして、御礼を申し上げます。
9月末には、北海道後志総合振興局による整備計画の説明会が赤岩会館で開催されまして、整備計画の内容についてお話を伺いました。3年計画の初年度としまして、10月には本年度の整備工事が始まり、微力ながら私の取組が着々と実を結んでいることを実感し、とてもうれしく感じております。
私も工事が始まったという一報を聞きまして、急ぎ赤岩山の駐車場へと向かいました。そこで見たのは、駐車場は満杯で、遠足で来られた幼稚園のバスが方向転換できるスペースもなく、そこからあふれた車は道沿いに列をなしてとめられており、その横を老夫婦が手を取り合って登ってこられましたが、道が狭く車が来たら危ないのではないかと心配になるような状況でした。多くの方が赤岩遊歩道の散策を楽しんでいただくことは大変うれしいことでございますが、残念ながら駐車場が狭く、今のままでは散策に来られた方に危険が及んでしまうのではないかと心配になります。この駐車場は市の所管ではないと伺っておりますが、ぜひとも駐車場の拡大について関係先への働きかけをお願いしたいと思います。まず、この件について市の見解をお伺いいたします。
また、駐車場までの道は市道とお伺いしておりますが、砂利道の上に車のすれ違いが困難なほどの道幅しかありません。側溝もただ掘っただけのもので、ひとたび雨が降れば道路に水が流れ、雨裂ができるような状態です。今後、赤岩遊歩道の整備が進めば、登山される方が増してくると期待がされております。この道路の拡幅や側溝の設置についても検討をお願いすることができないでしょうか。この件についても、市の見解をお伺いしたいと思います。
国定公園の指定を受けて50年、半世紀の中で、登山客層に変化が現れております。あの危険なロッククライミングに女性が挑戦し、男性とともに楽しんでいる、そういう時代になりました。また、最近では、小さな子供からお年を召した方まで大変幅の広い年齢層の方々が散策を楽しんでおられる姿を目にしております。赤岩遊歩道に来られた全ての方が安全に散策できる道となることを心からお願いするばかりでございます。
次に、本市の姉妹都市交流についてお伺いいたします。
今年7月にNPO法人ワールドユースジャパン主催の国際文化交流プログラムが本市で開催されました際に、アメリカの高校生の方たちが、宿泊先として赤岩会館を利用されました。その際に、若く元気な皆さんを見ておりまして、多くの海外の若い人たちが小樽においでになり、観光都市小樽の歴史的景観や建造物などを見ていただき、自国に帰ってから小樽のよさを周りの方々に情報発信していただければ、さらに小樽にお越しになる外国人の方が増えるのではないかと感じました。
そこでお伺いしますが、本市は国際交流として姉妹都市提携をしておりますが、どこの国と何年から提携されており、姉妹都市の皆さんが小樽においでになった際にどのような事業を行い、その中には市内見学が含まれているのかどうかお聞かせください。
また、自国にお帰りになってから、どのように小樽のよさを情報発信していただいているのか、あわせてお伺いいたします。次世代を担う若い方々の交流が、これからの小樽の経済、観光を支えていかれる原動力となることを心から期待するものであります。
以上、二つの項目についてお伺いし、私の質問を終わらせていただきます。
なお、再質問は留保いたしますけれども、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。(拍手)
○議長(横田久俊)理事者の答弁を求めます。
(「議長」と呼ぶ者あり)
○議長(横田久俊)市長。
(中松義治市長登壇)
○市長(中松義治)久末議員の御質問にお答えします。
初めに、赤岩遊歩道について御質問がありました。
まず、駐車場の拡大についてですが、当該地域はニセコ積丹小樽海岸国定公園内にあり、すぐれた自然環境であることから、国有保安林の風景林、環境緑地保護地区など厳しい規制を幾重にも受けて保護されているため、現在の場所では立木の伐採などを伴う駐車場の拡大は難しいと聞いております。しかしながら、駐車場の現状については、国定公園を管理しております北海道へ伝えてまいりたいと思っております。
次に、赤岩遊歩道駐車場までの道路の拡幅や側溝の設置につきましては、現在のところは道路整備を必要とする交通量ではないことから難しいものと考えておりますが、将来的には利用者の増加も考えられますので、その推移を見ながら拡幅や側溝の設置について検討してまいりたいと考えております。
次に、姉妹都市交流について御質問がありました。
初めに、姉妹都市の提携国と提携年、来樽時の事業内容についてですが、姉妹都市は3か国の都市と締結しており、ロシアのナホトカ市が昭和41年から、ニュージーランドのダニーデン市が昭和55年から、韓国のソウル特別市江西区が平成22年からとなっております。
また、来樽時の事業内容についてですが、今年8月に来樽いたしました江西区の少年少女使節団を例で申しますと、歓迎交流会の開催や学校訪問、市内家庭でのホームステイ、体験としてガラス製作を行うとともに、運河散策や天狗山山頂、総合博物館、水族館などを見学いただいております。
次に、自国へ帰ってからの情報発信についてですが、基本的に各市とも小・中学生の少年少女使節団が来樽されることもあり、さまざまなツールでの情報発信とはまいりませんが、自国での報告会などを通して小樽での交流体験やまち並みについてお話をいただいていると伺っております。
(「議長、28番」と呼ぶ者あり)
○議長(横田久俊)28番、久末恵子議員。
○28番(久末恵子議員)いろいろと御答弁いただきましたので、再質問はしません。どうもありがとうございました。
○議長(横田久俊)以上をもって、久末議員の質疑及び一般質問を終結いたします。
ただいま上程中の案件のうち、議案第1号及び第15号については、先議することといたします。
本件につきましては、直ちに一括採決いたします。
お諮りいたします。
いずれも可決とすることに、御異議ございませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(横田久俊)御異議なしと認め、さように決しました。
本日は、これをもって散会いたします。
散会午後4時54分
会議録署名議員
小樽市議会 議長 横 田 久 俊
議員 小 貫 元
議員 林 下 孤 芳